かの女悪魔は声を上げて笑っていた。
古い知り合いが人間の女に骨抜きにされたという話を聞いて話の種にと人間の世界にやってきてからしばらくたつ。
あの一昔前は大暴れして、人間だろうが悪魔だろうが逆らうものは消し去ったあの男が子育てだなんてこれが笑わずにいられるものか。良い男ではあるがだからこそ笑える。

今日も今日とて男と女、悪魔と人間の子育て方針だか生活方針だかとてつもなく重要らしいこと(彼女にとってはとてつもなくどうでもいいが。生き物全て美しくあればいいのだ。細かいことを気にしてもしょうがない)を口論し始めた。きっかけはとてつもなく些細。これもいつものことだ。
ああこの流れで行くと、そろそろ始まるわねえ。毎日毎日よくもまあ飽きないこと。見ている側としては面白いからいいけれど。



人間の女が口うるさくものを言う悪魔の男をきっと見上げ、立ち上がった。





もういちいちいちいちいちいち細かいわこのヘンテコ眼鏡。

…へんてことはなんだへんてことはっ

ついでにその服も変です。いくらいったって同じ服ばっかりたくさん買ってくるんだから!

外見でしか罵れないとは程度が低いな。

ええええ知能指数の低い人間様でございますもの。

自覚があるんだな?

ええええ、英雄様とは出来が違います。だいたい世界を救った英雄様なら浮気の1つや2つして家に帰ってこなくていいですたまには。



なにか。








一瞬ばちりと火花が散ったように彼女は思った。
一瞬の沈黙を置いて女はソファーの下から出したバズーカを抱え
男はは壁に飾っていた日本刀を掴み。








女はその様子を面白おかしく見学していたが、ベビーベッドに無造作に転がっている小さな生き物を2つ腕に抱えふわりとその場から少し離れた棚の上に腰掛ける。
それを二人が確認したと同時に飛び散る爆音爆風閃光。ぱあんと破裂する電球、真っ二つにされる壁時計。
あら勿体のない。結構な価値があるものでしょうに。





とりあえずはこの本気の殺し合いを楽しんでも構わないだろう。










…どうせ最後は悪魔も頭痛を覚えるいちゃつきっぷりで幕を閉じるのだし。








ネヴァンは新婚さんのところに居座ってればいいな妄想。戻る