ゆびわものがたりEX




…で?今度は結婚指輪?はーやるねー皆守・夫。お前のようにとてつもなくアレな奴でも一丁前に結婚指輪を?贈ろうという?心意気に?乾杯?

夫って言うな。っていうか全体的にその疑問系をやめやがれ

そういうことは人生の先輩に聞いてみればいいじゃないの。夕薙くんとかさー

大和のとこにはもう電話した

おっ、仕事が速い。何だって?

…夫婦揃って爆笑しやがった

わはははははは!!

そのあと、『お前がそういうものをあげたいと思った時点で奇跡だから、デザインだの値段だのは思う存分悩め、悩んで大人になれ』とかほざきやがった

わはははははははは!!諭されてる!諭されてるよ!!さすが夕薙くん、おっとなー!奥さんはなんか言ってた!?

『でもあなたの出せる金額の範囲は把握しておくことね。相手に気を遣わせるようなことはしないようが良いと思うわ…余計なお世話かも知れないけれど』

ぎゃはははははははははは!!!め、目に浮かぶ…ッ!





例の店の入っているデパートに行くまでの幾度かの休憩中(何せ彼女は雑貨屋を見れば寄りたくなり、露天を見れば冷やかしたくなり、食べ物屋を見れば外のメニューを凝視して今度ここに入ろうと言いたくなる性質であった)、彼女がコンビニを目の前にしてちょっと飲み物買ってくるね!と言って涼しい店内に消えてしばらく。中できっとめまぐるしく陳列された菓子その他に彼女が目を奪われているそのすきに、彼は電話をかけた。今は”偶然にも”日本にいるらしい宝探し屋の友人へのエマージェンシーコール。例えそのコールに対する答えが息も出来ない大爆笑でも彼は電話を切らなかった。彼は、彼にしては自分でも恐ろしいくらいの忍耐力を持って友人との会話を続けた。今はこの男しか頼れる人間がいないのだ。それに、時間もない。いつ”婚約者”殿がビニール袋いっぱいの新製品菓子の数々を抱えて『ごめんね遅くなっちゃった!ほらこれ美味しそうでしょ!』などと言いながら駆けてくるかわかったものではないのだから。





分かった、分かったから何か役に立つことを言ってくれ。俺も正直限界だ

み、皆守さんが素直に…!?何をそんなに焦ってるのですかあなたは。もう婚約指輪もあげた仲でしょ?何を恥ずかしがるわけですか?

…これから

あ?

これから俺はこういうこっ恥ずかしいイベントをこなしていかなくちゃならないのか!?





結婚は、一度で良いかも知れない。恥は掻き捨て、この際それは我慢するとしよう。
だが結婚記念日は?
結婚という契約関係にある限り、毎回来るではないか。彼女のことだから毎年毎年、何かとんでもない企画を提案してくることだろう。

すいーとてんだいやもんど

などと囁かれたら憤死すること請け合いだ。




彼は本気だった。全く持って心の底から本気の台詞だった。
しかし帰ってくるのは腹に力を入れ声を震わせた、男の返事。







そ、それはマリッジブルーと言うのだよ皆守くん…っ!







彼は迷わず、電話を切った。
男のもう声にならない爆笑と”婚約者”の帰還をきっかけに。
















「ごめんね遅くなっちゃった!ほらこれ美味しそうでしょ!?」
と笑顔でポッキーの新味を掲げる彼女を無視して、無言で歩き出せばさっと取られる左手。握られる指。
彼はため息を返すことしか出来なかった。









「皆守くんやっぱり体調悪い?あっこれ夏みかん味だよすっぱい系だよ」

「つわりから離れろよ!」




つづく!














勝手に某同級生達を結婚させちゃいましたが、
これはまあひとつの妄想ということで勘弁していただきたい…!
というわけで次はお待ちかね、ビッグバードさんに一球入魂でバトンを投げ渡しますよ!(問答無用!?)
もしオチが思いつかなければビッグバードさんは最後さかなぎさんにお返しすればいいんですよ★(とてつもないものが渦巻くリレー)