カレーのおうじさま



カレーを食べる会に半強制的にお呼ばれしたので、財産であるマイスプーンだけを持って半強制的に舞台である屋上に乱入した彼はそこに見た。
風もない静かな屋上のそのど真ん中に火気厳禁の構内にどうやって持ち込んだのやら簡易コンロと巨大鍋。生徒会にでも見つかったのなら良くて即没収、悪くて独房入りだろう。独房があるのかは知らないが。あ、その前にこいつ自体生徒会だったか。職権乱用だ。
カレー魔人に対するべくもう一人の味方に連絡を取れば、ただいま青春真っ只中でテニスラケットを振り回すのに忙しいらしい。
しかしこんな屋上で開催するというところに何の利点があるというのか皆守くん。これが男のロマンか。結構アウトドア好きなタイプだな、こいつ。そんなことをつらつら考えていたら、良く来たなと彼なりの歓迎を受け、なにやら丸いものを手渡された。

「ほら、お駄賃やるから黙ってろ」

「わーい!……」

「なんだよ」

「なあ皆守くん。今その胸ポケットから出したのはにわとりでも育てて早起きしようという決意の表れ?」

「違う」

「…」

「…」

「…皆守くん。残念だけど、それはひよこにはならないタマゴなんだよ」

「哀れむな」

「俺的にはメンチカツとかコロッケとかを装備していたほしかったなあ。チェーン店のカレー屋みたいに」

「油が回るだろうが」

「ゆでたまごが腐敗するのはいいのか」

「腐敗しないように固ゆでにしてあるんだよ」

「わはははは!分かった、君の熱意は買うからせめてらっきょうの瓶はやめようぜ。瓶が割れたが最後ラベンダーの香りと相まって異臭騒ぎです。らっきょ殺人事件ですよ!」



被害を受けるのは主に俺とかやっちーとか我らが愛すべきクラスメートやら宝探しについてきてくれるみんななんですよ、その辺考えてくださいよ。暴発したら俺は半径3kmは近づきませんよ俺の全力を使ってでも自室に監禁生活ですよ。と訴えれば次からはタッパーに入れるとするかとうなずいた。
どうして君という男はらっきょなんて胸ポケットに入れたがるんだい。















「…皆守くん」

「なんだよ」

「…とっても残念だけどそれはひよこには」

「哀れむな」














ハバキくんも胸ポケットにに味塩コショウと味の素を隠し持ってます。