摩訶不思議アドベンチャー
憩いのひとときを昼の楽園で
あなたたちと。
「いらっしゃいませマミーズへようこそー!何名様ですかー?」
「4名様ごらいてーん!」
「誰だよ!?もう一人は誰なんだよ!?」
「心の恋人席」
「あ、3人だから3人。その辺勝手に座っとくから注文とってけ。カレー二つと、取手なんにする?」
「え、ええと…オムライスに、しようかな…」
「はーいご注文繰り返しまーす!マミーズ特製カレーお二つ、オムライスお一つ!ありがとうございまーす!」
「知らない間に問答無用でカレーなのはなんで!?なんでなの皆守さん!」
「美味いだろ、カレー」
「いやいやいやそれはいい、それはいいよ、だけどどうして取手くんにはオーダー権があるんですか。これは差別だ、差別ですぞ。しかるべき手段で訴えますぞ」
「ああ、ほら、それは、保健室で培ってきたサボリ仲間の友情じゃねえかな」
「あ、あの、九龍くんもしよければだけど…僕のと取り替えるかい?」
「ああいいんだいいんだ!俺のことは気にしないでもりもり食べるんだ取手くん!栄養をとるんだよ!」
「あ…うん。ありがとう」
「仕方ねえカレーで我慢すっか」
「お前取手相手とそうじゃないのでキャラ違うだろ」
「ああそれは取手氏の優しさを俺も少しはお返しなきゃという思いから」
「ああそうかい」
「あっいらっしゃいませマミーズへようこそー!お友達、もう来てますよ!」
「あっれみんな集まってる!ごはんこれから?」
「これからこれから!ほらこっち来て心の恋人席にお座り、やっちー」
「わーいお邪魔しまーす。九チャンなに頼んだの?」
「これから楽しくカレータイム」
「あっまた皆守クンカレー!?いい加減にしないと顔が黄色くなっちゃうよっ」
「望むところだ。黄色人種万歳だね。おーい店員、カレーもう一つ追加」
「承りましたぁ」
「う、うわっ!なんで知らない間にあたしまでカレーなの!?」
「お前も黙ってカレー食っとけ」
「えええええええ」
「あ、あの八千穂さん僕オムライスなんだけど…もしよければ交換しようか?」
「あっいいのいいの!あたしのことは気にしないで沢山好きなもの食べて取手クン!全身黄色になったらマズイもん!」
「き、黄色…?ええと、その、ありがとう」
「取手、こいつの言うことあんま気にすんな」
「あーなんか天然パーマのカレーレンジャーがなんか言ってますよー、やっちー」
「悪い子にカレーを無理矢理食べさせるなまはげみたいなカレーレンジャーがなんか言ってるねー九チャン」
「いちいち腹立つな、お前ら!…なんで笑ってるんだ、取手」
「え、うん、仲良いなって思って…」
彼は周囲で飛び交う言葉のぶつかり合いに静かに笑いながら心に決める。
自分の唯一の別メニューが来たら、一口ずつこの三人に差しだそう。
そしてスパイスの効いたそれを一口ずつみんなから貰おう。
きっとその時も何事かでもめるだろう。
しかし、それも
昼休みの、心休まるかと問われれば、紙一重のその時間。
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本館から移住その1
取手くんを大切にしましょう(自然と同等)