(C)two-way/小学校/総合/鉄道路線から見る都市づくり/高学年/まちづくり
TOSS静岡・浜松ジャルダン/鈴木滋雄
まちの発展と鉄道は多くの面で関係があります。
鉄道の歴史と都市の関係を考えます。LRTとまちづくり,コンパクトシティの学習へつながります。 (TOSS静岡推薦)
1. 駅の名前と都市
黙って提示
「宮本武蔵」岡山県美作市今岡
「合戦場(かっせんば)」栃木県下都賀郡大字合戦場
「騎射場(きしゃば)」鹿児島市荒田
「蚕ノ社(かいこのやしろ)」京都市右京区太秦森ケ前町
発問1 何のことでしょうか。 |
一度ここまでで分かったか,たずねる。
続きを見せる。
「ラベンダー畑」北海道富良野市
「銭函(ぜにばこ)」北海道小樽市銭函
「三島」「熱海」
『全てあるものの名前です。』
もう一度分かったか,たずねる。
指名「駅名です。」
説明 鉄道と都市をつなぎ,都市の入り口となる駅。名前から,都市の様子や歴史も見えてきますね。 |
2.鉄道(トンネル)工事で都市ができる
発問2 静岡県,熱海駅と三島駅。 この2つを鉄道で結びます。どこに通しますか。 |
スマートボードに記入させる。
『現在は,このように最短距離で結んでいます。』といって地図を提示する。
発問3 昭和初期までは,(熱海から)こんなにも大回りをしていました。なぜですか。 |
指名 山があったから。
トンネルがなかったから。
説明 日本は山が多く,地形も複雑です。 熱海・三島の間にある丹那トンネル。これが完成するのに16年,途中67名もの犠牲者も出ました。これは世界でも類を見ない難工事でした。 近くの函南村には,この工事に携わる人が集まりました。 今日は,鉄道と都市との,これまでのかかわりについて勉強します。 |
丹那トンネル
16年の歳月を掛け完成。延べ従事者数250万人,犠牲者67名
3.都市の未来を左右する鉄道
発問4 栃木県栃木市。明治半ば,北関東一繁栄している都市です。 ここに鉄道を通す計画が持ち上がりました。 都市のために,自分だったらどこを通しますか。(二択です。) |
主要な鉄道
東北本線(当時の日本鉄道)旧路線は、東北新幹線と東北本線の間で、やや新幹線寄りをルートとしていた。
二択にして,挙手させる。
A:栃木市を通って北上「都市の中を通す」
B:栃木市を通らず北上「都市から離れたところに通す」
発問5 理由をノートに書きなさい。 |
指名なし討論
A もっと発展,便利にするため。
他の町への移動が楽になるから。
新しいものを導入したい。
物資等が届きやすくなるから。
B 今ある生活を守りたいから外を通す。
町並みを壊したくないから。
環境を守りたいから。
わけの分からないものを通すのは不安だから。
「みんな自分の都市のことをしっかり考えて意見が言えましたね。」
説明 実際には,都市の中心から10kmも離れたところを通りました。 |
発問6 その結果,都市はどうなったでしょうか。 |
指名 発展しなかった。
説明 都市はそれまでの活気を失い,代わりに鉄道沿いの宇都宮市が発展したのです。 これに似た例は全国にたくさんあります。 鉄道を敷くことで,都市の未来を左右することもあるのです。 このことは,次回詳しくお勉強します。 |
似た例
長野県「高遠」,三重県「伊賀上野」なども,鉄道の乗り入れに反対したため,発展から取り残さ
れた例である。しかしこれらは,観光都市としては成功しているといえる。
4.鉄道名がついた都市
発問7 戻って熱海市と三島市。 昭和30年代になり,新たに鉄道を通すことになりました。その鉄道とは何ですか。 |
指名 新幹線です。
説明 新幹線のために新たなトンネルを掘りました。新丹那トンネルです。 このときには,数百世帯もの工事関係者が函南町に集まりました。 函南町には,こんな地域があります。函南町 新幹線区。 |
新丹那トンネル
昭和16年6月に着工。東京〜下関〜朝鮮半島を結ぶ高速鉄道(弾丸列車)構想の一環として工事が始められた。工事自体は戦争に突入したため中断。約20年後に東海道新幹線として復活することになった。新丹那トンネルの工事は昭和35年4月に始められ開業直前の昭和39年10月に完成した。
函南町新幹線区
正式には,静岡県函南町上沢字新幹線
新幹線にちなんだ地名として,鉄道総合技術研究所のある国分寺市「光町」がある。もとは「平新兵衛新田」という地名であった。
説明 都市の名から,駅名や鉄道名が付くことはあります。 しかし,その反対は,きわめて希です。 身近にもこんなに鉄道と深くかかわってきた都市はあるのです。 鉄道と都市について,これから勉強していきましょう。 |
(参考資料)
鉄道の歴史がわかる事典 浅井建爾 著 (日本実業出版社)
どうする?鉄道の未来「地域を活性化するために」 鉄道まちづくり会議 著 (緑風出版)
郷愁の野州鉄道―栃木鉄道秘話 太田雅美 著
東海道新幹線 須田 寛 著
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