下記の内容は、千葉ニュータウン新聞に、当会世話人、丹下一夫 氏が「千葉県白井町(2001年4月から白井市)でのEMを使った水の浄化活動」について投稿され、1998年5月15日に掲載されたものです。
 
 

EMで水をきれいに 
金山落としでのサークル活動から  丹下一夫

 近年、地球を取り巻くさまざまな環境問題が世界各地で深刻化し議論されるようになりました。
 私も白井町に住みはじめて以来、この美しい自然を守り健康的な生活ができる環境つくりに少しでも役立てばと思っています。
 平成七年一月、四回にわたって白井公民館講座「環境セミナー」が開講され「EMによる環境浄化について」の講座を受講し、EM(注)を有効活用して環境浄化に役立つことを学習しました。
 受講者の中には、常々地球環境問題に関心が高い人達が多く、早速「環境サークル」が組織され、EMを使って環境浄化に役立つよう行動をおこすことに意見がまとまりました。 
 月に一回の情報交換から始まり、すでにこの方法で実施されている茨城県指定の一級河川である相野谷川の水源浄化作業の実情を見学したり、また講師より直接指導助言を受ける等、相野谷川の実施方法にならって、翌年四月から米の研ぎ汁をEMで培養したものなど、EMを使って実践活動を始めました。
 実験は、EMが本当に水質の浄化に効果を発揮できるかという素朴な質問に答えをだすことでした。 
 実験場所を「金山落とし」の上流白井側に決めました(この場所は沼南町に属した谷津で、両岸は一方が白井町根で他方が鎌ヶ谷市です)。
 この地域は二十年前までは豊かな大自然に恵まれて清水が噴出し清流となって流れをつくり、メダカが群れ、ザリガニやトンボの幼虫など色々な生物が消息していたところです。 
最近では小川の清流に家庭の生活排水が流入し、そのために生態系が乱れ、ヘドロから有毒ガスが発生し悪臭が漂い水中は無生物状態になり、夏になると更に悪臭がひどくなって、周辺住民から多くの苦情が寄せられる状態でした。
 実施にあったっては、白井町と鎌ヶ谷市・沼南町の各環境課と流域の水を管理している印西土地改良区へ、その旨を届け出て、了解のもとに進めました。
 早速、「EM活性液」と「米の研ぎ汁発酵液」とが出来るよう準備が開始され、木板で簡単なプール状のものを作り水が滞留できるようにしてEM 発酵液を投入し、流入する汚水をプールで浄化するよう工夫して、八年四月よりスタートしました。
 七月に入り投入量を増やし取り組みも本格化して、十月下旬にはEM の効果が表れはじめ、水の透視度も段々と良くなりメダカ、ユスリ蚊、イトミミズなど水生生物が見られるようになりました。
 このように水域環境が少しずつ良い方向に改善されつつあり、継続努力すれば、更に進展してくれるだろうと希望と期待がもてるようになりました。
 周辺住民の方からも、「水がきれいになり、悪臭がなくなった」と喜びの声を耳にするようになりました。
 途中、炎天下の中で積み上げた成果も大雨に流される等さんざんな目にもあいましたが、サークル会員のたゆまぬ努力のかいあってよい結果が得られたことは、今後の活動に大きな励みと希望を与えてくれました。 
 このような方法で水の浄化が可能であることの見通しがつき、第一ステップとしての実験を十一月をもって、いったん終了することにしましたが、観察はしばらく継続することにしています。
 今後の課題としては、活動の規模を拡大し、息の長い実践活動を持続出来るかにありますが、環境全般については、「環境問題は住民に始まって住民に終わる」という言葉がありますように、環境問題に対する住民の理解と周辺地域住民の連帯意識をもった活動と、それに加えて行政の環境問題に対するリーダーシップ、住民への啓発、理解とそれに対するバックアップ体制が重要であり、かつ必要なことだと思います。
 大気汚染、水質汚染、薬公害、ゴミ問題等々、数限り無いほどの問題が山積しています。
 たまたま私はこの度、「EM」との出合いの中で環境問題と取り組んで、自然との命を大切にした考え方を基本において、様々な問題に対して可能性を見出してみたいと思っています。
 最後に白井町住民の立場から水域環境汚染に関して問題提起をしますと、白井・沼南・鎌ヶ谷地区区画整理事業が「金山落とし」で計画中のようです。  
 町当局・区画整理事業関係者は計画作成の段階から水質汚濁や悪臭の発生しない自然の生態系を生かし、更には軽井沢の名にふさわしく水辺の植物を取り入れ、人々が楽しめる環境づくりに十分配慮されるよう切望する次第です。
(環白井境サークル会長=白井町大山口在住)
 

丹下一夫 氏について
長年千葉県で活躍され、1999年に会社を退職後、故郷にUターンされました。
現在、芦田川ルネッサンスネットワークの世話人として、水の浄化活動に取り組んでいます。

EM(注)
EMとは、Effective Micro-organismsの略語で、有効微生物群を意味し、琉球大学の比嘉教授によって発見されました。自然界に存在する有効微生物である5種類の乳酸菌、酵母菌、糸状菌、放線菌、光合成菌など10属80種以上を共存共栄させた複合培養液をさします。 
本来自然界の中に住んでいて、土、水、大気を汚染する物質(ヘドロ、農菌、化学肥料、工場廃液、生活排水などに含まれた活性酸化物質)をエサとして繁殖し、浄化をすすめる微生物のことです。 
現代の自然界には汚染物質があまりに多く、有効微生物郡がほとんどと言っていいほど存在していない状態で、そのために自然環境が破壊されています。

千葉ニュータウン新聞について
1980年(昭和55)年4月15日に創刊。前年3月に松戸市から千葉ニュータウンの第一期で転居してきた小田さんが、元日本経済新聞記者の経験を生かし、「住み始めるうちに、ニュータウン地域の実情を伝える文化的なものがあっても いいのでは」と決意。実母の死去で一度合併号を出した以外は欠かさず毎月発行してきた。
残念ながら、2000年3月15日号で廃刊になっています。

金山落としについて
金山落としとは、千葉県東葛飾郡沼南町金山にあります。
EM活性液を投入した場所は下記のアドレレスの地図を参照してください(http://www.town.shonan.chiba.jp/gmap2.htm)

軽井沢について
千葉県にある地名です。(千葉県鎌ケ谷市軽井沢)