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「瀬戸川浄化に力点」 芦田川浄化協が原案提示 '03/1/23

 芦田川の水質改善策を検討する「芦田川下流水質浄化協議会」(会長・尾島勝福山大教授)が二十二日、福山市で開かれ、水環境改善緊急行動計画「清流ルネッサンスU」の原案が示された。支流の瀬戸川の浄化に力点を置き、流域全域でも住民参加型の水質保全事業を提案している。 

 国土交通省福山工事事務所がまとめた計画案によると、アオコの発生源となるリンの除去施設を、瀬戸川に新設する。平均流量の半分にあたる毎秒一トンを合流点近くで取水し、地下トンネルのろ過層でリンを七割カット。芦田川に放流する。 

 中国地方初の試みとして、ろ過材に別の浄化施設の汚泥をリサイクル。上流の高屋川河川浄化施設で、リン除去剤などに付着した汚泥を脱水し、新施設に敷き詰めて再活用する。二〇〇六年度までの施設完成を目指す。 

 計画には、市民の事業参加も盛り込んだ。下水道未整備地区で、排水路や小川、ため池などの水質浄化に住民ぐるみで取り組むモデル地区を設定。行政や学識経験者、地元企業や団体などでつくる「環境マネジメントセンター」(仮称)を設けて、情報を集中させ、市民参加を後押しする。 

 芦田川は下流二地点で水質環境基準を満たさないなど、中国地方の一級河川で二十九年連続水質ワーストワン。〇六年度を目標に、環境基準の完全クリアを目指す。 

 ▽芦田川浄化に380円支払います― 流域住民

 飲み水や工業用水などを取水する「母なる川」がきれいになるなら、一世帯で毎月三百八十円を支払います―。芦田川下流水質浄化協議会が、流域住民にしたアンケートで、こんな市民意識が浮かび上がった。芦田川を管轄する国は、「中国地方で水質ワーストワン」という汚名返上への投資額の目安とする方針だ。 

 アンケートは水環境改善緊急行動計画「清流ルネッサンスU」策定の参考にしようと流域住民千二百九十人に配布。八百八十四人が回答した。 

 投資額を見定めようとした質問は「三十年間、河川環境を保全する施策がある。世帯全体で毎月いくらの負担なら賛同するか」。この問いに答えた六百五十二人のうち、76・2%の四百九十七人が出費に賛同した。 

 負担可能額を選択式で問うたところ、百円以下が最も多く二百十四人。平均額は三百八十円。設問中最高の二千円までの負担にも応じるとした人も4・6%に上った。 

 国土交通省福山工事事務所は、計画の受益世帯を約十三万五千と判断。平均額を掛け合わせた年間六億円強を住民から見た投資妥当額とはじく。協議会委員を務める生協ひろしま芦田川水質調査グループの大野里子代表(64)は「月五百円は超えると思ったが…。不況だからか」と分析していた。