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芦田川河口堰放流、水質改善に効果 '02/3/6

 国が取り組んでいる芦田川河口堰(ぜき)=福山市水呑町=の弾力的放流(部分開放)が、水質改善に効果があることが、五日、分 かった。汚濁度を示す生物化学的酸素要求量(BOD)は、放流前後で平均約40%減少。これを受け、国土交通省福山工事事務所は、 放流回数を増やす方針だ。 

 この日、福山市内で開かれた芦田川水質改善対策検討会(会長・ 尾島勝福山大工学部教授)で報告された。 

 昨年一月から実施している弾力的放流のうち、放流前と放流後の水質変化を調査。BODは一回を除きすべて減り、改善傾向が確認 された。特に、中三日で放流された一月十七、二十一日の放流前後では、BODが六・八三から二・一三に激減している。 

 堰下流の海域では放流前後でBODの増加などは見られず、海で の環境悪化はない、という。 

 現在は、上流の府中観測所(府中市)の日雨量が十ミリ以上のう え、河口湖への流入量が毎秒五・五トン以上で満水の場合を条件に、約七十トンを放流している。 

 同事務所は「雨量や流入量が少なくても放流量を減らす形で堰を部分開放したい」として、流域の十漁協や県、市などとの協議に入 る。 

 一方、堰から約十キロ離れた海域を漁場にする田島漁協の渡壁 金治郎組合長は「理想は汽水域や干潟が戻る堰の常時開放。弾力的放流をするなら、稚魚やノリの成育期を避けるなどの配慮がほしい」 と話している。