中国新聞地域ニュース
芦田川河口堰、連続放流が効果 下流浄化協で報告 '03/1/23

 芦田川下流域の水質改善を目的に、国が二〇〇一年一月から取り組んでいる河口堰(ぜき)(福山市水呑町)の弾力的放流で、短期間の連続実施ほど効果があることが分かった。国土交通省福山工事事務所は、弾力的放流を継続するとともに、水の清澄を示す「濁度」の観測センサーを三カ所に新設し、より細かい改善効果の把握に乗り出す。
芦田川河口堰の弾力的放流による
BODの変化

放流日 放流前
(mg/l)
放流後
(mg/l)
改善率
(%)
2001年1月26日 5.43 2.58 52.5
3月 1日 2.79 2.16 22.6
5月31日 8.49 4.31 49.2
6月15日 6.34 7.17 -13.1
10月19日 2.30 1.56 32.2
11月 8日 1.22 1.50 -23.0
2002年1月17日 6.83 2.13 68.8
1月21日
1月29日 2.13 1.27 40.4
2月28日 4.65 7.29 -56.8
3月 6日 7.29 1.83 74.9
3月15日 2.87 3.01 -4.9
4月12日 3.01 7.36 -144.5
4月16日 7.36 2.02 72.6
5月16日 1.97 1.89 4.1
6月26日 4.83 7.52 -55.7
7月17日 3.39 2.37 30.1
※2002年1月17日と21日の間は調査せず

 「清流ルネッサンスU」を検討している「芦田川下流水質浄化協議会」で二十二日、報告された。同事務所によると、弾力的放流は、これまでに十七回実施。うち十一回の放流前後で、汚濁度を示す生物化学的酸素要求量(BOD)が減少した。改善率は、大量に放流した昨年三月六日が、74・9%で最高。中四日で連続放流した同一月中旬でも、68・8%の高い改善を示した。 

 逆に、50%以上の水質悪化を示したケースも三回あった。いずれも、事前調査が放流の二週間以上前で、放流以外の影響も色濃い。放流は、突発的な降雨が条件で、採水が必要なBODの直前調査が難しい。自動で濁度を計り続けるセンサーを河口から一、四、八キロの三地点に設けてデータ不足を解消する。 

 同事務所は「放流量が多いと効果が大きい。連続実施すると水質が大幅に改善されるようだ」と弾力的放流を評価。「BODと相関関係にある濁度なら、放流前後や放流中にも連続調査できる」と、効果の検証の深まりに期待している。