巻頭言 

『クリスマスの二つの色』ルカによる福音書1:2638

虹は七つの色からなっていますが、クリスマスは、主に二つの色に染められています。一つは、「喜び」という色で、もう一つは、「戸惑い」という色です。
 新生讃美歌の148番から204番までの57曲は、所謂、「クリスマス讃美歌」です。この57曲の中には「喜び」という言葉が(私の数え間違いがなければ)41回使われています。ということは、およそ一曲に1回は「喜び」という言葉が使われていると言うことで、その意味で、クリスマスの特徴は「喜び」です。クリスマスの色は、「喜び」です。クリスマスは、イエス・キリストの誕生を記念して喜び祝う祭りです。クリスマスは、喜び楽しむシーズンです。
 クリスマスのもう一つの色は、「戸惑い」です。イエスの誕生についての聖書の記述は二カ所あって、一つはマタイによる福音書1章18節からで、ヨセフの側を通して紹介されています。もう一つは、今朝の聖書テキストのところからで、マリアを通して物語られています。天使ガブリエルがマリアの所に訪ね「おめでとう。恵まれた方。主があなたと共におられる。」という言葉掛けから、このことが始まります。この言葉を聞いたマリアは「戸惑った」と聖書は書いています。イエスの誕生の出来事は、マリアの「戸惑い」から始まります。
「戸惑う」という原語の意味は<ひどく心を騒がす><困惑する><邪魔をする>ということです。広辞苑では、<夜中に目を覚まし、寝ぼけて方向を失い惑うこと。また、入るべき部屋または家を忘れて、まごつくこと>と説明されています。
 天使の言葉を聞いて「戸惑い」「考え込む」マリアに、天使は「あなたは身ごもって男の子を産むが、その子は神の子です。あなたはその母になるのです。」と語られるのです。でも、マリアは「どうして、そのようなことがありえましょうか」と言うのです。イエスの誕生と言うことは、神の出来事、神の隠された秘め事なのです。
「喜び」にもいろいろな喜びがありましょう。イエスの誕生という喜びは、「どうして、そのような・・」と呻きを伴った、理解しがたい、深い喜びなのです。

                                                 (田 中  仁 一 郎)

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2013年12月21日  (過去メッセージのリンク)
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