＜巻頭のことば＞

「トマスの信仰」ヨハネによる福音書20：24～29

十字架の死から三日目に復活されたイエスさまは、まずマグダラのマリアに現れました。次に、弟子たちのところに現れます。マリアに現れたその日、週の初めの日日曜日の夕方です。イエスの弟子たちは日曜日に集まっていました。弟子たちは家の鍵をかけ、怯えながら、あまりにも弱くてみじめな集会でした。しかし、感謝なことに、その真ん中に復活の主は現れてくださいました。ところが弟子のトマスは、その集まりにいませんでした。イエスが十字架であっけなく死なれたことに失望したのでしょうか。その８日ののち、つまりその次の日曜日、再度イエスさまは、弟子たちのところに現れます。今度はトマスも弟子たちと一緒にいて、本当にイエスさまが復活されたかどうかしっかりと自分の目で見て、指を傷口に触って確認してみようと思っていました。イエスさまが現れると、「わたしの手と、わき腹に触れてみなさい」と言われます。そして、「信じない者ではなく、信じる者になりなさい」と言われます。すると、トマスは、「わたしの主、わたしの神よ」と答えます。この時トマスは、実際にイエスの手やわき腹に指をあててみたかどうか聖書には書かれていません。書かれているのは「わたしの主、わたしの神よ」です。触ったか、触らなかったかそれは問題ではない、そこにおられる方が、わたしの主、わたしの神さまであることが分かったのだと思います。イエスさまは「わたしを見たから信じたのか、見ないのに信じる人は、幸いである。」と言われました。なぜ見ないで信じる人が幸いなのか、それは、イエスさまが十字架の死から復活されたことが、遠い昔の出来事でなく、見えないけれども、その復活によって今も共にいて語りかけてくださることを信じることができるからです。私たちが主日の礼拝に集うのは、復活の主イエスにお会いするためです。聖霊によって、礼拝の中で主イエスと出会うことが出来ます。最初に弟子たちに現れた時、『「父がわたしをお遣わしになったように、わたしもあなた方を遣わす」そういってから、彼らに息を吹きかけられた。』とあります。復活されてから初めての弟子たちの集まり、まさに教会の礼拝です。その真ん中にイエスさまがおられ、「安かれ」「わたしはいつもあなた共にいる」と語られました。そしてわたしのことを宣べ伝えなさいとイエスさま語られました。

今、私たちは無牧師の時期を歩んでいます。この時期であっても、大牧者、復活の主イエスさまがこの教会の中心におられます。そして宣べ伝えよと、聖霊の息を吹きかけてくださいます。いつもあなたと共にいると言われたイエスさまに、信頼し、信じて新たな歩みを始める、そのような礼拝を守ることの大切さを味わっていきたいと思います。（内田一郎）