<巻頭のことば>

「神の子イエス・キリスト」マルコ118

 四つの福音書の中で一番早く書かれたのはマルコの福音書で紀元70年頃。次はマタイの福音書とルカの福音書で80~90年頃。この二つの福音書はマルコの福音書を参考にして書かれたと言われています。そのためか、この三つの福音書の記事の配列はほぼ並列していて「共観福音書」とよんでいます。これに対して、ヨハネの福音書は一番遅く、諸説がありますが、一世紀末から二世紀初め頃とする説があります。
マルコの福音書が書かれた頃のキリスト教ですが、一口に言って「荒野の時代」でした。強大なローマ帝国の支配、キリスト教への支配、ユダヤ教との対立などでした。それに加えて、教会内部の対立、混乱などの諸問題を抱え、正に、内憂外患激動の時代でした。教会内部の諸問題については、コリント人への手紙やガラテヤ人への手紙に書かれているとおりでした。
そんな激動の時代にあって、マルコの福音書の著者で、パウロやペトロの随伴者で通訳者であった「ヨハネ・マルコ」は考えるのです。この困難な激動の時代・荒野の時代にあって、何を第一にすべきなのか?と。パウロやペトロから聞かされていた、あの「イエス・キリスト」というお方を思いだし、そこに立ち返えらなければならないことを。そこでマルコの福音書執筆となったのです。マルコの場合だけでなく「今、第一とすべき事は何か」ということは大切です。
マルコは、心を込めてイエス・キリストというお方について書くのですが、そのイエス・キリストというお方とは、どのようなお方だと書こうとしているのでしょうか。
それは、ただ良く知られた有名な方でなく、「神の子」でいらっしゃるということを。「その人は、どなたか」ということは大切なことです。それによって「その人」に対する見方、関わり方、向き方が変わります。だからイエスは、弟子たちに尋ねるのです。「それでは、あなたがたはわたしを何者だと言うのか」と(マルコ8:29)私にとって、イエスというお方は、どのようなお方なのでしょうか。

(参考聖句)マルコ8:27~30。15:39。ヨハネ20:30~31。

(田 中 仁 一 郎)

<

 

2013年8月3日  (過去メッセージのリンク)
毎週礼拝メッセージを更新しています。(過去メッセージのリンク)