「求めなさい」 エレミヤ書29:10~14

先週11日、東日本大震災から3年という節目の時を迎え、私たちは未曽有の大災害を体験した当時を振り返りました。しかし、被災地や被災者の皆さんにとって、それは過去の出来事ではなく今も継続中の現実なのです。その温度差や忘れられていくことが被災した方々にとってはとても辛いのだと思います。人類史上かつてないほど厖大で詳細な地震津波災害に関するデータが集められました。それは様々な分野で解析、分析され、その結果や対策も公表されています。しかし、今も尚、私たちは確かな将来を描くことができないでいるのです。

アッシリアによる北王国イスラエルの支配に続き、南王国ユダはバビロニアによってエルサレムを残して破滅の一途をたどりました。預言者エレミヤの懸命の努力にも関わらず遂に紀元前586年、都エルサレムは陥落し、多くの民はバビロニアに捕囚として連れ去られます。アブラハムを信仰の父とする信仰共同体、国家を形作った民族が滅亡してしまったのです。エレミヤは絶望と己の無力さを味わいます(1510)。しかし、主は彼に語りかけられます。「わたしがあなたと共にいて助け、あなたを救い出す。」(1520)主の救いは私たちの状況によるのではなく、神の意志により、その心に闇はまったくないのです。

「わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている、と主は言われる。それは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるものである。」(2911) 偽預言者たちは早期帰還という目先の希望を人々に与えましたが、エレミヤは70年という長期滞在の覚悟と落ち着いた生活を送ることを民に求めました。そして、その苦難の日々は平和の計画、神の意志によって守られているのだと言うのです。苦難はある、しかしそれは果てしないものではなく、神は共に居て必ず彼らを帰還させると約束されるのです。今、被災地では復興が、故郷への帰還が絶望視されている町が多くあります。放射能という見えざる脅威に将来の計画も立てられない人々にエレミヤの言葉は無力なのでしょうか?彼は続けて語ります。「そのとき、あなたたちがわたしを呼び、来てわたしに祈り求めるなら、わたしは聞く。」それは、苦難の日々を恵みに変える、神の意志なのです。弱い信仰でもいい、しかし、強い神に委ねて生きたいものです

2013年3月16日  (過去メッセージのリンク)
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