「振り向くとそこに」ヨハネによる福音書201114

 ヨハネ福音書の執筆目的は「イエスが神の子メシアであると信じるためであり、また、信じてイエスの名により(永遠の)命を受けるため」(20:31)と明確に書かれています。その特徴は、イエス・キリストが神の子であり、目に見えぬ神の性質を説き明かされた方(1:17,18)と言う事です。伝道の公生涯も通説より短い2年ほどであり、使命の本質を現しています。

 もう一つの際立った本書の特徴は、イエス御自身が「わたしは~です」と23回も語る言葉です。「命のパン(6:47)」「世の光(8:12)」「羊の門(10:7)」「良い羊飼い(10:14)」「復活、命(11:25)」「道、真理、命(14:6)」「まことのぶどうの木」それは、イエス様ご自身が福音であることを示しています。その「ことば」であるイエスは、信じない人々の手により殺されました。

 十字架の刑より三日目の朝、遺体の処理に赴いたマグダラのマリアに二人の天使が現れ、絶望の彼女が振り向くとそこにイエスが立っておられました。しかし、最初はそれがイエスだとは気が付きませんでした。『マリア』と呼ぶその声に彼女は絶望の中に生きておられるイエスを認識します。

このような詩があります。「もう歩けない。長い道のりを歩き、うずくまったあの日、孤独に打ち震えていた私を背負ってくださったのはあの方。その手の傷跡に触れた時、声があった。『大丈夫だ。安心しなさい。』今日も変わることのない御声が・・振り返ればそこにいつもキリスト」全知全能の神が、すべての罪と苦しみの中に立ち、殺され、しかし甦らされた。罪が罪で終わることなく完全に償われ、苦しみが苦しみで終わることなく喜びとなる。死が死で終わることなく永遠の命となると福音は告げます。 

イエス様を信じる人の歩みは、決して平坦ではないのです。しかし、信じて生きてみる時気が付かされるのです。振り返ればいつもそこにキリストがおられると。それが福音です。この困難で複雑な時代だからこそ宣べ伝える価値が福音にはあり、キリストを伝えることに恵みが溢れます。

2013年4月28日  (過去メッセージのリンク)
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