『神の言葉に向かって』創世記6:9~22 

 「ノア」という人は、聖書に登場する人の中で最も親しみをもって思い出される一人です。一般的には「ノアの箱舟」と言われるように山上に箱舟を作り、その中に入って洪水の中を家族と共に生き抜いた人として知られています。しかし、ノアのノアたる本領とはどこにあるのでしょうか。その点を考えてみたいのです。

 ノアについての記述は、創世記6章9節から9章29節です。

洪水が始まったのは、「ノアの生涯の第六百年、第二の月の十七日」(7:11)で、「四十日四十夜地上に降り続いた」(7:12)のでした。そして、水で「高い山は全て覆われ」(7:19)たのでした。その結果、「地上で動いていた肉なるものはすべて、鳥も家畜も獣も地に群がり這うものも人も、ことごとく息絶えた。乾いた地のすべてのもののうち、その鼻に命の息と霊のあるものはことごとく死んだのです。」(7:21~22)

 その中にあって「ノアと、彼と共に箱舟にいたものだけが残った。」(7:23)のです。

 ここで考えたいことですが、ノアとその家族を救ったのは何か、ということなのです。「箱舟でしょう」という声が聞こえてくるようです。確かに、「箱舟」は、無関係ではありません。それ以上に強調したいのは、ノアの『神の言葉に促され、それに従う信仰』なのです。箱舟の建造は、ノアの考え、希望ではなく神の言葉によるのです(6:14,15,16)。規模もそうです(6:15.16)完成した箱舟の乗船もそうです。「箱舟に入りなさい」(7:1)という神の促しを聞いて乗船したのです。一年間の箱舟生活を終えて下船することことにおいてもそうです。地上が乾いたから地上に下りたのではありません。神の言葉を聞き、促されて箱舟から離れたのです(8:16)。

 神の言葉に向かって動くノアの信仰が、彼らを救ったのです。

          (田中仁一郎)

2012年9月30日  (過去メッセージのリンク)
毎週礼拝メッセージを更新しています。(過去メッセージのリンク)