イエスは、母とそのそばにいる愛する弟子とを見て、母に、「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です。」と言われた。それから弟子に言われた。「見なさい。あなたの母です。」そのときから、この弟子はイエスの母を自分の家に引き取った。”

イエス様の十字架上の七言の一つです。今年のこどもの日と本日の母の日、そして来月の父の日を私たちは特別な思いをもって迎えることになりました。東日本大震災で両親を亡くした子どもたち、子どもを亡くした親御さんたちが大勢おられます。どの親子にも二つとない唯一無二の神様がお与えになった関係があります。「当たり前」と思って暮していた家族が突然の出来事に別れ別れになってしまう。「もし、分かっていれば・・」、一寸先も分からない命なのに私たちはその関係の大切さを知っていながら愛し合えずに生きていることがあります。

今、世界中で真剣に取り組む必要のある問題は家族問題、特に親子関係だと言われています。身近で、平凡な問題です。親が子を愛するのは当然、子どもが親を慕い敬うのは自然なことだと思われています。しかし、実際は難しく、崩れた関係回復は至難の業だと私たちは知っています。「御覧なさい」と、歴然なこととしてイエス様はわが子との別れを前にした実の母に対して神のみこころを示されました。それは、子を失おうとしている母への慰めと配慮であるとともに、主イエスの血によって与えられる新しい人間関係の始まりを意味していると思われます。「隣人を愛する」どころか、一番身近な親子関係にすら私たちは困難を覚えています。主イエスにある良い知らせは一番身近だからこそ困難な関係の中から働き始めます。「神はご自分の愛を地に徹底させるために母をつくられた。」と言った人がいますが、ヨハネの言葉、「愛は神から出ているのです。・・神は愛です。」(1ヨハネ4:7)は母の愛の出所と、その本質である無私の愛、犠牲の愛を現しています。イエス様は弟子同様、私たちに十字架を通して与えられる新しい関係を「見なさい」と言われます。

もう一つ歴然としていることは、「わたしはあなたがたのために場所を用意しに行く」(ヨハネ14:2)と、イエス様が信じる者に向かって、再会を約束しておられることです。信仰によって、私たちはこの世にあっては主の血にある新しい人間関係に生きる道と、唯一無二の人との再会の約束が与えられています。

2011年5月8日 「御覧なさい」 ヨハネによる福音書19:25~27  (過去メッセージのリンク)




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