2009年10月25日

 「決して見捨てない神」ヘブライ人への手紙13:1〜8

 「わたしは、決してあなたから離れず、決してあなたを置き去りにはしない」(ヘブライ13:5)。この神さまの約束は、旧約聖書申命記からの引用です。イスラエルの民を奴隷の地であるエジプトから連れ出し、40年間荒野を導いてきたモーセは、しかし約束の地に入ることが許されませんでした。モーセは、自分は約束の地に入れないけれども、主の約束されたご計画は世代を超えても必ず成就することを確信する中で、民に向かって「強く、また雄々しくあれ。恐れてはならない。彼らのゆえにうろたえてはならない。あなたの神、主は、あなたと共に歩まれる。あなたを見放すことも、見捨てられることもない。」(申命記31:6)と語ります。「私はあなたと共にいる。私はあなたを捨てない」と言われた主はどのようなときでもその約束を貫き通すことをモーセは信じていたのだと思います。

 また、申命記に続くヨシュア記にも「わたしは、モーセと共にいたように、あなたとともにいる。あなたを見放すことも、見捨てることもない。」(ヨシュア1:5)と語っておられます。これほどまでに神さまは、私たちを「見放すことも、見捨てることもない」と繰り返し約束して下さっています。

 また創世記28章のヤコブの物語にもこの言葉が出てきます。ヤコブが兄と偽って、父イサクをだましてイサクから最後の祝福を受けました。そのため兄エサウの恨みを買い、故郷から逃げ出さなければならなくなりました。ヤコブは、いつでも帰ることの出来る場所を失った者として、はじめて真の不安、恐れ感じたのではないでしょうか。ヤコブは不安と恐れの中で夜を迎え、夢を見ます。それは神の御使い達が天まで達する階段を上り下りしているというものでした。そして、主は天からでなく、ヤコブの傍らでヤコブに語りかけます。「見よ、わたしはあなたと共にいる。あなたがどこへ行っても、わたしはあなたを守り、必ずこの土地に連れ帰る。わたしは、あなたに約束したことを果たすまで決して見捨てない。」(創世記28:15)家族からも、故郷からも、そして神さまからも見捨てられたと思っていたヤコブに対して、神さまは、「私は決してあなたを見捨てない。」と告げられたのです。

 ここで神さまは、ヤコブの将来に何があるのか、具体的に告げられた訳ではありません。しかし、ヤコブは大丈夫だと思った、生きていけると思った、それは神さまが共にいて下さることが判ったからです。私たちのうちにも、次から次へと困難なことが起こります。しかしどのような困難の中にあっても、「きのうも今日も、また永遠に変わることのない(ヘブライ13:8)」神さまが、「決してあなたを捨てない」と約束されていることに感謝し、確信し、希望を持って、主と共に歩むものとなりたいと思います。