2008年8月24日

「豊かな人生」 ローマ人への手紙8:31〜39

 使徒パウロは心に刻まれた「キリスト・イエス」の名に自分自身を捧げ尽くし、キリストにある豊かな人生を全うした偉大な人物でした。ローマ人への手紙は、ローマという当時知られていた世界を支配しその中心都市に生きるユダヤ人、異邦人、そして人口の多くを占めた奴隷の人々など多様な背景を持つキリスト者に宛てて書かれたものです。そして、彼の知り合い以外ローマに住む信徒に彼はまだ会ったことはありませんでした。パウロはそこを足がかりに遠く世界の果て「イスパニア」伝道という目論みをもって書いています(15:24)。この書により既に初代教会の習慣にも変化が現れていることが分かります。12章では、ユダヤ教の礼拝の特徴である「犠牲の献げもの」が、「自分自身を献げる」霊的礼拝への転換、また同2節では、ユダヤ教にならい安息日(土曜日)に行われていた礼拝が、主の復活を祝う日曜日に変わっていることがうかがえます。

 パウロの言う豊かな人生の条件は第一に「啓示された福音を信じる」ことです。パウロによれば人は皆自然を通して神を知りながら本当の神を認めていないと言います(1:18)。そして、コリント書によれば、人の知恵は救いに至らず、神はただ宣教という愚かな手段によって信じる者を救おうとされたと語ります(2コリント1:20)。イエス様は「わたしをお遣わしになった父が引き寄せてくださらなければ、だれもわたしのもとへ来ることはできない。(ヨハネ6:44)」と啓示の大切さを語られます。

 またもう一つの条件は、「イエス・キリストにあって神に従うこと」です。8章30節までパウロは人間の限界に対して神のみこころは、信じる者たちを御子キリストの姿に似たものにしようと定め、召し出した者たちを義とし栄光をお与えになることでした。そこまで行き届いた神の恵みからパウロは結論を導き出します。それは、「神が味方であり、だれも敵対し得ない。」ということ、そして「御子と一緒にすべてのものを下さる。」と言う事です。この世においていかなる危機に遭遇したとしてもキリストに望みを置く者たちは圧倒的な勝利にあること、神の愛により守られていることを思い出す必要があります。日々、祈りと聖書と礼拝を通して神を中心に置く生活は私たちに平安を与え、主に従うことの豊かな意味を重ねていきます。