2008年4月6日

「恐れから平安へ」 マタイによる福音書14:22〜33

 だれでも、新しい事を始める時には、大なり小なり不安になったり、悩んだり、恐れを感じる事もあります。聖書の中に「恐れるな」という御言葉がたくさん出て来るのは何故でしょう。それは、私たち人間は色々な事に恐れを抱くからです。イエス様は私たちが歩む人生において、さまざまな苦難に遭遇する事を知っておられました。そして、そのような時にどのようにしたら良いかを教えられました。

 弟子たちは向こう岸に渡ろうとして舟に乗りこみ、舟は順調に進んで行きましたが、途中まで行くと突然逆風に会い、進む事も戻る事も出来なくなり、その波に悩まされました。弟子たちは夕方から翌朝まで一生懸命努力はしましたが、どうにもなりませんでした。私たちの人生も同じで、何事もなく過ごしていたかと思うと、突然、逆風が吹いてきて、自分の思う通りに物事が行かなくなり、どうする事も出来ず悩む事もあります。恐れに支配され、その場から進むことが出来なくなる事もあります。さて、私たちがこのような不安に打ち勝つ為に大切な事は何でしょうか。

 第一に、勇気を持って一歩を踏み出すこと。これから新しい歩みを始める人は、特に人の目が気になってしまうものです。人の顔色ばかり見ていると、その中に埋没してしまいます。そして、どうでもいいことで悩んだり、苦しんだりしてしまいます。無茶をするのはよくありませんが、「恐れるな」と仰せになられたイエス様を信じて積極的な生き方をする、勇気をもって一歩を踏み出す姿勢が困難に立ち向かって行くことが出来るのです。その勇気は自分の中から出る勇気ではありません。私たちがイエス様に目を向け、心を向けたときに与えられる本当の勇気です。

 第二に、素直に助けを求めること。私たちが勇気を持って問題に立ち向かっても、駄目になりそうなことがあります。そんなときは、素直に助けを求めることが大切です。ペトロが「主よ、助けてください」と言うと、「すぐに」イエス様は手を伸ばして捕まえ、引き上げてくださった。そこには何の条件もありません。

 第三に、イエス様を私の導き手とすること。イエス様が湖上を歩かれましたが、実は荒波を踏みつけて来られました。イエス様は、私たちの人生に湧きあがって来る全ての不安、心配、恐れ、その恐れを、足の下に踏みつけられたのです。イエス様が共におられるとき、風はやみ、恐れは平安に変わり、不可能な事が可能になるのです。イエス様と共に歩む事は、私たちも恐れを征服する事になります。