2006年12月17日

「ゆるしのとき」 詩篇91:1〜16

 最近発刊された1冊の本「生かされて」。著者はアフリカの小国ルワンダの女性イマキュレーさん。1994年にルワンダで発生した大量虐殺事件の中で、牧師の家の小さなトイレの中に隠れ、生き抜いた壮絶な物語です。

 ルワンダの人口は当時約800万人で、フツ族が85%、ツチ族が15%の構成で、100日間の間に100万人のツチ族と穏健派フツ族が殺害されたのです。虐殺が始まって1ヶ月後の時点で、すでにルワンダのツチ族の75%が殺害されていました。死亡率からするとユダヤ人のホロコーストをはるかに上回ります。イマキュレーさんもツチ族であり、この状況の中で奇跡的に生き延びました。

 なぜこんな悲劇が起こったのでしょうか。その背景には、数10年にわたり、大国の植民地政策、支配層の民族の権力争い、継続的な差別教育等、人間のエゴやねたみが利用され、繰り返される復讐の歴史が積み重なっていたのです。

 イマキュレーさんは、隠れ場所で、最初は恐怖と絶望のどん底に突き落とされます。毎日のように大鉈(マチェーテ)を持って、皆殺しの歌を歌いながら探しにくる、近所の人、昔の友人たちがいたからです。キリスト教徒のイマキュレーさんは、祈りにより束の間の平安を得ますが、殺人者たちの声が聞こえると神から離れてしまい、信仰への疑念がわきます。そして次に怒りと殺意に打ち震えます。すべてのツチ族を見つけて殺すことが完了するまで、国の機能を停止させるという政府の呼びかけがラジオから聞こえてきたからです。

 イマキュレーさんは、最愛の両親も兄弟も殺害されたことも感じ取り、極限状態に追い込まれます。そうした中で、幼子が犠牲になる場面に遭遇します。絶望の中にいるときに、主の短い言葉「あなたたちは、皆、私の子どもたちです。あの赤ん坊は、今、私と一緒にいます。」を聞き、信仰に立ち戻ります。初めて殺人者たちに哀れみを感じ、神さまに彼らの罪をゆるし、彼らの魂を神さまの美しい光の方向に向けてください、と祈ることができたのです。

 ゆるしのときが主によって私たちに準備されています。祈りによって主の大いなる恵みとご計画に気づき、導かれますように。