2006年8月13日

「小さな平和」 マタイによる福音書5:9

 私たちが普段当たり前のように思っていることの一つに、日本は平和な国という思いがありますが、しかし、その平和は決して当たり前の事ではありません。毎年8月になると終戦記念日を迎えますが、今年は61回目の終戦記念日になります。戦後、夢も希望も無い所から、日本は今日の復興を成し遂げました。今では60年前のあの悲惨な状況は誰もが想像出来ないくらいに、また面影も残らないほど変わったのです。あの日から日本は戦争を二度としないと誓い、私たちの先輩が平和を叫び続けてきた結果、今があるのです。そういう一人一人の小さな働きが平和を生んできたのです。

 しかし、いつの時代も、人は平和を得る為に争いを起こします。人は平和を勝ち取るために争う。「剣を取る者は皆、剣で滅びる」26:52と聖書にあるように、今でも戦争、紛争によって多くの人の命が奪われています。今この時にも平和を勝ち取ろうと争いを続けているところに人間の愚かさがあるのです。「平和を実現する人々は幸いである」新共同訳、口語訳「平和をつくりだす人たちは、幸いである」マタイ5:9 皆さんも平和を愛し、平和を願っています。日本から遠く離れた地域で起こっている争いに対しても、一日も早く平和が来るようにお祈りもします。

 本日の箇所が「平和を愛し、また平和を願うものは幸いである」であれば気軽な思いで聞く事も出来ますが、しかし「平和を実現する人、平和をつくりだす人は幸いである」と言われるのです。これは平和のないところに平和をつくりだし、平和を実現すると言うことです。人間の歴史を見ても争いのない時代は殆どありません。必ず世界のどこかで争いが起きています。また聖書(旧約の時代から)を見ても常に人間同士が争っています。まさにその様な状態の中でどうやって平和を実現し、平和をつくりだしていけるのか? 私たちは「平和」を耳にしますと世界に目がいってしまいます。しかし、今日のタイトルは「小さな平和」でありますが、自分たちの身近な小さな世界において平和をつくりだす大切さを教えて下さっています。

 マザーテレサが『平和も戦争も家庭から始まります。もし本当に世界平和を願っているなら、まず自分の家族が互いに愛し合うことから始めて行きましょう。もし喜びを広げて行きたいなら、まず、一つの家族が喜びをもって生活することが必要だ』平和も戦争も小さな家庭から始まると言ったのです。まさに「小さな平和」世界の中の日本、日本の中のそれぞれの地域、地域の中の家族、家族の中の私(自分)、 自分自身の中に平和があるでしょうか?

 パウロはローマ人への手紙の中でこのように証言をしています。「わたしたちの主イエスによって神との間に平和を得ている」5:1 イエスキリストによって平和を手に入れています。神との間に平和を得ていると告白しているのです。人間にとって一番大切な事は神と和解する事、本当の平和はこのイエスキリストを信じる信仰によって得られるのです。神との間に平和を得ている人は、聖書にあるように、「平和を実現する人々は、また平和をつくりだす人々は幸いである、その人たちは神の子と呼ばれる。」5:9

 神との間に平和を得た人は神の子、クリスチャンと呼ばれるのです。そして、それぞれがこの場から出て行き家庭に、職場に、友人との交わりに、教会の人々との交わりの中において、平和を実現する人となり、平和をつくりだす人とならなければなりません。私たちの言葉、行動は本当に小さなものですが、その業が平和をつくっていくのです、そして平和を実現していくのです。