2004年7月25日

「すべてのものは神から」ローマの信徒への手紙11:33〜36

 ああ、神の富と知恵と知識のなんと深いことか。だれが、神の定めを究め尽くし、神の道を理解し尽くせよう。「いったいだれが主の心を知っていたであろうか。だれが主の相談相手であっただろうか。だれがまず主に与えて、その報いを受けるであろうか。」すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。栄光が神に永遠にありますように、アーメン。

 「人生は、あなたが中心ではありません。」という言葉で始まるリック・ウォーレンの新刊“人生を導く5つの目的”は、自分の存在以前に創造主なる神の存在とそのご計画を知ること無しに人生の目的について語ることはできないと言います。「自分」から出発する私たちの思いからは人生の本当の目的は見えて来ません。ウォーレンは言います。「人生の目的は、個人的な達成感、心の安らぎ、幸福といったものよりも遥かに偉大なものです。また、あなたの家庭や職業、夢や野心などよりもずっと偉大なものです。自分がなぜこの地上に存在しているのかを知りたければ、まず、神から始めなければなりません。あなたは神の目的に従って、しかも、その目的のために生まれたのです。」私は以前、21世紀を未来のことと想像し、夢をもって期待していました。20世紀という創造と破壊を繰り返した歴史を振り返るとき、人はそこから学び、もっとましな世界を作っていけるものと思っていました。しかし、実際に新しい世紀が始まると、そこには思ってもいなかった新しい混乱と破壊の歴史が始まっていました。絶対者なる神を知ること、そこに私たち人間の基準があります。しかし、残念なことに一部の指導者たちは互いに宗教者を自認しながら、自分自身が絶対者になっているようです。神ではなく、人の思いから始まったことは、本来の私たち人間の目的を見失わせてしまうと私は思うのです。また、子どもたちによる殺人さえも含めた犯罪は後を絶たず、教育や家庭問題をも含めた社会的混乱は深まるばかりです。

 聖書によると、人間は無目的に意味もなく限られた時間だけ生きるように造られたのではなく、神のご計画のために神の目的に従って、神との関係の中で永遠に生きるように造られています。その絶対者なる方を受け入れ、従っていくこと無しに私たちは人生を本当に生きることはできません。使徒パウロはここで神のイスラエルに対する救いのご計画の不思議さを語ります。万物の起源も、その過程を支えるのも神であり、全てものが神に終息するという真実を信じる信仰こそが私たちを平和に導くと思うのです。「神は無秩序の神ではなく、平和の神だからです。」(1コリント14:33)