2003年11月16日

「私は恐れない」 ヨハネによる福音書14:25〜27

 「わたしは、あなたがたといたときに、これらのことを話した。しかし、弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなたがたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせてくださる。わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。」

 先日、ある本を通して、プロゴルファーの中嶋常幸さんの受けた試練と、その試練を通して現された神さまの栄光を知りました。中嶋常幸さんと言えば「出れば優勝」と言われ、賞金王、マスターズ11回出場と驚異的な強さを誇っていたプロゴルファーです。ところが90代に入ってから、プレー中手が痺れるイップス症状が現れるようになり、遂に95年フジサンケイクラッシックを最後に、優勝から遠のいてしまいます。「ロープ」と名づけられた本は、奥さんの律子さんの手によるものです。律子さん自身も、勝利から見放された中嶋さんから言われた一言から傷つき、夫を責め、夫に対し愛を注ぐことができなくなってしまいました。「ロープ」とはゴルファーとギャラリーを隔てる綱のこと。いつしか夫妻を結びつけていた愛という綱は、隔ての綱となり、二人の関係を損なうものとなっていたのです。しかし、律子さんの神を見ていなかったことに対する悔い改めと、信仰の復活とにより状況は変わりはじめます。娘さんと教会に通う妻と共に常幸さんも教会に通うようになり、「わたしの目には、あなたは高価で尊い(イザヤ43:4)」という聖書の言葉が心で分かるようになって行きます。そして、去年11月の三井住友太平洋マスターズでその年、二度目の優勝を果たすことができました。中嶋さんのプレーに対する姿勢はすっかり変えられてしまったのです。イップスの原因として分かったのは、生育時の親の愛情不足、ゴルフのスパルタ教育の影響、親の期待、ファンの期待に応えようとする過剰な反応などから起こる脅迫神経症によるものであったというのです。しかし、神が中嶋さんを無条件で愛しておられることを知り、「あなたを捨てて孤児にはしない。」とのみ言葉を信じ、どんな結果になっても恐れることなく、みこころとして受けていく信仰が与えられた時、彼は不安に打ち勝ち、本来の自分のプレーができるようになったのです。

 一時的なもの、その場しのぎのものには平安はありません。本当の平安は永遠のものから来るものです。本当の平安は信仰により心の中に与えられるものです。「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。」イエスさまは神とご自身との関係の中に真の平安があることをおっしゃっており、その関係に入ることを私たちに求めていらっしゃるのです。神は歴代誌下7:14を通して言われます。 「もしわたしの名をもって呼ばれているわたしの民が、ひざまずいて祈り、わたしの顔を求め、悪の道を捨てて立ち帰るなら、わたしは天から耳を傾け、罪を赦し、彼らの大地をいやす。」もう一つの平安への道とは、神に対する従順さです。衝動的、一時的ではなく、信頼し従い続けるところにどんなことがあっても決して揺るぐことのない、取り去られることのない平安が与えられるのです。