2002年9月15日

「あなたの若い日」コヘレトの言葉(伝道者の書)12:1

 「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ。わざわいの日が来ないうちに、また『何の喜びもない。』と言う年月が近づく前に」。

 医療の目指すところは、人が本来生きうるべき寿命に近づけることだと聞いたことがあります。日本人の平均寿命が今年、男女ともに世界一となり、男が78,07歳、女が84,93歳となったそうです。今日は敬老の日、お年寄りのご長寿をお祝いし、覚える日です。しかし、今日の聖書の箇所、コヘレトの言葉を続けて読んでみると、「その日には家を守る男も震え、力ある男も身を屈める。粉ひく女の数は減って行き、失われ窓から眺める女の目はかすむ。・・」などと、衰えていく肉体の悲哀と人生の空しさを語ります。そして、人が歳をとっていくことを「わざわい」と言い、「何の喜びもない」日々というのです。しかし、彼は歳をとることを無意味で価値のないことと言っているのではなく、私たちの寿命にさえ神の関与があることを覚えなければ空しいと言っているのです。

 第一礼拝に集っておられるAさんのお母様Bさん(92歳)と初めてお会いしたのは8月末のことでした。少しお元気がなく、肉体の衰えを悲観しておられました。いろいろお話を伺った後、私は聖書のことばをお分かちし、祈ってお宅をあとにしました。そして、二週間後再びご訪問した時、私は驚きました。Bさんのお顔には張りがあり、積極的な意思が現れていました。「私は、もう自分は駄目だと思っていました。でもお話を伺ってから、これではいけないと思い、前向きに考えるようにしようと決心しました。」とおっしゃるのです。こちらが励まされる始末です。「わたしに聞け、ヤコブの家よイスラエルの家の残りの者よ、共に。あなたたちは生まれた時から負われ胎を出た時から担われてきた。同じように、わたしはあなたたちの老いる日まで白髪になるまで、背負って行こう。わたしはあなたたちを造った。わたしが担い、背負い、救い出す。」(イザヤ46:3、4)と言われる神を知り、その神を信頼して生きるとき、私たちには命を背負ってくださり、罪の裁きをも負ってくださるイエスさまのことを知るのです。

 あなたの一番若いときとはいつのことでしょう。一番若かったとき、と言えばそれぞれに思い描く年代のことを思いつくでしょう。しかし、あなたの人生の一番若いときと言えば、それは「今日」「今」なのです。今日以上に若い日はありません。パウロは、そんな日に覚えることをこう言いました。「わたしたちはまた、神の協力者としてあなたがたに勧めます。神からいただいた恵みを無駄にしてはいけません。なぜなら、『恵みの時に、わたしはあなたの願いを聞き入れた。救いの日に、わたしはあなたを助けた』と神は言っておられるからです。今や、恵みの時、今こそ、救いの日。」(2コリント6:1,2) 不安と孤独の中にある人はだれでもその若い日、今日という日に創り主なる神を心に信じて受け入れるなら、新しく創り変えられ、日々新たにされていく存在となるのです。(2コリント4:16) 敬老の日とは、ただお年寄りを敬うということだけではなく、今日を一番若い日としてくださる神を共に覚える日だと思うのです。