3 Minutes NetWorking Supplement
No.02

3Minutes NetWorking Supplement

補講第2回サブネットマスクとゲートウェイ

■ サブネットマスクの必要性

ネット助手

博士ぇ〜。

インター博士

ん?
どうしたネット君。何か困り事か?

ネット助手

そうなんですよ〜。よくわかりましたね。

インター博士

そんなドラえもんにすがりつくのび太のような声で話しかけてくればわかるというものだ。

ネット助手

どんな声ですか、そりゃ。
それはそれとして、こないだ新しく研究室に設置したパソコンですけど、隣のパソコンと接続されないんですけど。

インター博士

ほほぅ。ネット君に設定して置くように頼んだ奴か。
どうした、まだ終わってないのか。

ネット助手

そうなんですよ〜。なんで繋がらないのかさっぱりです。
ちょっと見ていただけませんか?

インター博士

どれどれ…………っ!!

ネット助手

あの〜、どうですか?

インター博士

ネット君?

ネット助手

はい?

インター博士

この莫迦ものっ!!

ネット助手

はうっ!!
殴ったなっ!! 父さんにも殴られたことないのにっ!!

インター博士

…!!

ネット助手

2度もぶったっ!!

インター博士

あぁ、ぶったさ。ぶって何が悪い!?

ネット助手

僕がガンダムを一番上手く使えるのに……。

インター博士

2回続けてこのネタなのもどうかと思うが。
サブネットマスクを間違うとは何事だっ!! 貴様何年助手をやっているっ!!

ネット助手

え? ええっ?
サブネットマスクが違ってた?

インター博士

うむ。

ネット助手

はわ〜。そりゃすいません。
あ、本当だ。直したら繋がった。

インター博士

まったく。

ネット助手

でも、博士。なんで同じネットワーク内でサブネットマスクの設定が必要なんですか?
サブネットマスクって、ネットワークアドレスを知るためのものでしょう? 同じネットワーク内しか使わないなら必要ないように思えるんですけど?

■ ルーティングテーブル

インター博士

ふむ。確かに同一ネットワーク内だけならば、サブネットマスクは必要ないように思えるかもしれん。
ルータにルーティングしてもらうわけでもないしな。

ネット助手

でしょ。

インター博士

だが、ネット君。
まずこれを見てもらおう。見覚えがあるな?

  • c:\> route print

route print

[Figure30-03:route print結果]

ネット助手

るーと、ぷりんと。
パソコンが持つルーティングテーブルの表示ですよね。

インター博士

これは、まぁ実際とはちょっと違うが、以下のような形になっていると思ってくれ、と説明した時に話したな。

パソコン内部ネットワーク

[Figure30-04:パソコン内部ネットワーク]

ネット助手

でした。3分間ネットワーキング第30回ですよね。

インター博士

ポイントは、この2行だ。

デフォルトルートと同一ネットワークへのルート

[FigureSP02-01:デフォルトルートと同一ネットワークへのルート]

ネット助手

1行目は、デフォルトルートですよね。
宛先不明パケットはデフォルトゲートウェイに送るという。

インター博士

そうだ。
ではもう1つの行は?

ネット助手

同一ネットワークへのルートです。

インター博士

うむ。そうだ。
では、パケットの宛先が同一ネットワークかどうかどうやって判断するのだ?

ネット助手

どうやって、って。
そりゃサブネットマスクで…。

インター博士

だろう?
よって、各ホストにもサブネットマスクが必要、ということにならないか?

ネット助手

むむ、確かに。

サブネットマスク

[FigureSP02-02:サブネットマスク]

インター博士

ルーティングテーブルの、このサブネットマスクの部分は…。

サブネットマスクの入力

[FigureSP02-03:サブネットマスクの入力]

インター博士

ここで入力された値が使われる。

ネット助手

なるほど。

インター博士

つまり、同一ネットワーク内のものは宛先へ送信それ以外はデフォルトゲートウェイに送信の判断をするために、サブネットマスクを入力しておかなければならない、ということだ。

ネット助手

確かに。サブネットマスクが必要なのはわかりました。
じゃあ、さっき僕のサブネットマスクの入力ミスで繋がらなかったのは、どういうことなんですか?

■ サブネットマスクの設定ミス

インター博士

うむ、それはな。
例を出した方が早いな。

ネットワーク例・1

[FigureSP02-04:ネットワーク例・1]

インター博士

本来はホスト部10ビットの172.16.8.0、255.255.252.0のネットワークだが、ホストAだけはネット君ばりのナイスさ加減を発揮して255.255.255.0にしてしまったとする。

ネット助手

あ〜。テンキーだと2と5って上下に隣接してるからタイプミスしやすいんですよね。

インター博士

言い訳はいい
ともかく、本来ならばホストA、B、とルータ(デフォルトゲートウェイ)間は接続可能なわけだ。

アドレス・本来の形

[FigureSP02-05:アドレス・本来の形]

ネット助手

ネットワーク・サブネットワーク・ホスト、ですね。
確かにネットワーク部分(ネットワーク+サブネットワーク)の部分は同一ですよね。

インター博士

だが、Aだけは255.255.255.0のサブネットマスクだ。

ホストAのアドレス・ミスタイプ

[FigureSP02-06:ホストAのアドレス・ミスタイプ]

インター博士

つまり、AからみたB・ルータと、ルータ・BからみたAはどうなる?

ネット助手

どうなるって? どうなんです?

インター博士

そうだな、pingを行った場合の例を見てもらおう。

[FigureSP02-07:サブネットマスクの設定ミス・1]

ネット助手

ははぁ。
まず自分のサブネットマスクと宛先IPアドレスから、宛先ネットワークを判断するんですね。

インター博士

うむ。
それで自分と同じネットワークなら直接送信するし…。

ネット助手

違うネットワークならばデフォルトゲートウェイに送るんですね。
じゃあ、デフォルトゲートウェイが設定されていなかったら?

インター博士

デフォルトゲートウェイがない場合、宛先到達不能になり、Echoは送信されない

ネット助手

は〜。
でも一応コレは、相手と接続可能、なんですね。

インター博士

デフォルトゲートウェイがあればな。

ネット助手

さっき繋がらなかったのは、ココのLANが外部へ接続できないようにデフォルトゲートウェイがなかったからですね。納得。

■ Windowsネットワークへの影響

インター博士

しかし、非効率的ではあるが、デフォルトゲートウェイがあれば繋がらないこともない。

ネット助手

ルーティングするからですね。

インター博士

うむ、だがしかし、Windowsのファイル・プリンタ共有は繋がらない

ネット助手

そうなんですか?

インター博士

ファイル・プリンタ共有は自分と同じNTドメインワークグループを探すことから始まる。

ネット助手

ははぁ。
お仲間を探すわけですね。

インター博士

うむ、これではNetBIOS over TCP/IPを使い、ブロードキャストによって他コンピュータを探す
つまり、こうなる。

ホストAからのブロードキャスト

[FigureSP02-08:ホストAからのブロードキャスト]

ネット助手

え〜っと、Bの判断では、ホスト部が1011111111なので、ブロードキャストではないですよね。
どうなるんです?

インター博士

つまり、これはブロードキャストアドレスではなく、172.16.10.255という特定のホスト宛のパケットだと判断する。
よって、そのブロードキャストに応答しない

ネット助手

は〜。Aはブロードキャストのつもりで送ったのに、Bはそう思わずに応答しないんだ。

インター博士

逆に、Bからブロードキャストした場合は、こう。

ホストBからのブロードキャスト

[FigureSP02-09:ホストBからのブロードキャスト]

ネット助手

今度は、サブネット部が00001011なので、Aのサブネット部00001010と違う。
ってことは、違うネットワーク宛のブロードキャスト

インター博士

うむ、そういうことだ。違うネットワーク宛なのでAは応答しない。
よって、BからはAを探せない、となってしまうわけだ。

ネット助手

なるほど。

■ サブネットマスクの設定ミス・2

インター博士

もう1つサブネットマスクの設定ミスの例を出そう。

ネットワーク例・2

[FigureSP02-10:ネットワーク例・2]

インター博士

今度はサブネットマスクの第3オクテットをまるっと設定し忘れた場合だ。

ネット助手

あ〜、あるある。

インター博士

ねぇよ

ネット助手

はぅっ。

インター博士

ともかく、Bとルータは先ほど同様だが。
Aは以下のようなネットワークに自分が存在すると判断している。

ホストAのアドレス・ミスタイプ

[FigureSP02-11:ホストAのアドレス・ミスタイプ]

インター博士

172.16.0.0ネットワークだな。
これで先ほどと同様pingを行ってみよう。

[FigureSP02-12:サブネットマスクの設定ミス・2]

ネット助手

え? あれ? …え?
サブネットマスクをミスタイプしても、普通に繋がっちゃってますよ。

インター博士

まぁ、そういうこともあるな。
今回は、Aのネットワークアドレス(172.16.0.0)が、本来のネットワークアドレス(172.16.8.0)を含んでしまっているから、普通に繋がっているように見えたわけだ。

ネット助手

ははぁ。
より大きなネットワークに所属してる、となるわけですね。

インター博士

ちなみにこれはIPアドレスの方が正しいから接続される。
もし、IPアドレスが間違っていたら、結局繋がらなくなる可能性があるので注意が必要だ。

ネット助手

まぁ、IPアドレスのミスは致命的ですからね。

■ Windowsネットワークへの影響・2

インター博士

この例ではping、つまりTCP/IPは接続されるが。
やっぱりWindowsのファイル・プリンタ共有は繋がらない

ネット助手

あれれ? TCP/IPは繋がるのにですか?

インター博士

うむ。
やはりブロードキャストが駄目なのだよ。

ホストAからのブロードキャスト・2

[FigureSP02-13:ホストAからのブロードキャスト・2]

ネット助手

あ〜、違うネットワークのブロードキャストですよねぇ。

インター博士

うむ。
Bからのブロードキャストも前と同様だ。

ホストBからのブロードキャスト・2

[FigureSP02-14:ホストBからのブロードキャスト・2]

ネット助手

駄目ですね。こりゃ。

インター博士

サブネットマスクの設定をミスると、Windowsネットワークは繋がらないってことだな。

ネット助手

…。

インター博士

どうした、ネット君?

ネット助手

これって、つまり、 ローカルブロードキャストを使うものは全部駄目ってことじゃないですか?

インター博士

まぁ、そういうことになるな。

■ サブネットとゲートウェイ

インター博士

ちょっとまとめてみよう。
基本的な骨子として、「他ネットワークへの接続はデフォルトゲートウェイを通す」が前提だ。

ネット助手

ふむふむ。
で、「宛先が他ネットワークかどうかは自分のサブネットマスクを使って判断」ですね。

インター博士

そういうことだ。
もう一度、ホストのルーティングテーブルを見てもらおう。

デフォルトルートと同一ネットワークへのルート

[FigureSP02-01:デフォルトルートと同一ネットワークへのルート]

インター博士

3行目に当てはまるかどうか、ってことだな。

ネット助手

当てはまらなければ、デフォルトルートを使うんですよね。
つまり、デフォルトゲートウェイへ送るってことですね。

インター博士

ちなみにデフォルトゲートウェイが設定されていない場合の、ルーティングテーブルは以下のようになる。

デフォルトゲートウェイの設定なし

[FigureSP02-15:デフォルトゲートウェイの設定なし]

ネット助手

はわっ、デフォルトルートがない

インター博士

うむ、そうなる。
こうなると同一ネットワークしか送受信できなくなるわけだな。

ネット助手

はわ〜。

インター博士

というところで、今回はこれでおしまいだ。
次はサブネットマスクを間違えないように。

ネット助手

了解です。
3分間ネットワーキングでした〜♪

入力された値
もしくはDHCPで通知されたサブネットマスク。
宛先到達不能
[Destination Host Unreachable]
NTドメイン
[NT Domain]
WindowsNTやWindows2000Serverを中核とした、論理的なグループ。
アカウントやセキュリティを管理することができる。
現在ではWindows2000のActiveDirectoryを使った、Windows2000ドメインに移行している。
ワークグループ
Winodws同士で資源を共有する論理的なグループ。NTドメインと違いアカウント等の設定はできない。
ローカルブロードキャスト
ホスト部のビットがすべて1の所属するネットワーク内へのブロードキャスト。
他ネットワークへのブロードキャストは「ディレクテッド(ダイレクト)ブロードキャスト」。
ビットがすべて1のブロードキャスト(255.255.255.255)は「限定ブロードキャスト」と呼ぶことが多い。
Windowsネットワークは…
実はサブネットマスクの設定ミス2のサブネットマスクの間違え方ならば、「¥¥IPアドレス」で直接相手を指定すれば、接続可能です。
マスタブラウザを使ったNetBIOS over TCP/IPの名前解決が不可能になるだけです。
今回は「マイネットワークから繋がらない」=「Windowsネットワークが繋がらない」とさせていただきました。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • 設定したサブネットマスクはルーティングテーブルに反映される。
  • 異なるネットワーク宛はデフォルトゲートウェイを使う。
  • 宛先が同一ネットワークかどうか判断するのにサブネットマスクを使う。
  • サブネットマスクの設定ミスによりWindowsネットワークは使用できなくなる。

3 Minutes NetWorking Supplement No.02

管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp