3 Minutes NetWorking
No.12

3MinutesNetWorking

第12回レイヤ2 概要

■ レイヤ2の内容

インター博士

さてさて。今回からはレイヤ2の話をする。

ネット助手

はい。

インター博士

レイヤ2はどんな機能だったかね、ネット君?

ネット助手

え〜っと、近くの機器とのデータの伝送制御でしたっけ?

インター博士

うむ。その通りだ。
いいぞ、最近のネット君はよく覚えているようだな。培養のおかげだな。

ネット助手

ううぅ。やっぱりブロイラー扱いなんですね、僕は。

インター博士

まだレイヤ1が終わっただけだ。先は長いぞ、ネット君。
レイヤ2はデータの伝送制御を行う。具体的に言うと、フレームの伝送制御だな。

ネット助手

え〜っと。フレームって、なんでしたっけ?

インター博士

前言撤回だ。まったく。
カプセル化して、レイヤ2の制御情報を付け加えたデータの事だ。思い出したか?

ネット助手

あぁ、そうそう。そうですよ。
宅急便みたいに、データを梱包していくんでしたっけ。

インター博士

うむ。
レイヤ1は、実際の電気信号、メディアの仕様、ビットの表記など行うわけだが、これだけではどうにもならんことがある。

ネット助手

例えばなんです?

インター博士

例えば、電気信号・ビットだけでは、「誰に届ける」ということがわからない。アドレッシングというものが必要だ。
他にもレイヤ1は機器に依存しすぎていて、上のレイヤとの繋がりを作るのが難しい。

ネット助手

ははぁ。

インター博士

そこで、レイヤ2だ。レイヤ2はレイヤ1の欠点を補い、上位レイヤとの繋がりをつくる。
これから説明するのは、LANでのレイヤ2だ。

ネット助手

WANのレイヤ2は?

インター博士

うむ、WANでのレイヤ2は後々で説明する。
一度にやると、絶対に混乱するのでな。いわんやネット君をや

ネット助手

反語でわざわざ強調してくれなくてもいいです。

■ LLC副層とMAC副層

インター博士

今現在、LAN規格でもっとも有力な規格組織といえば、IEEEだ。
前にもでてきたな。

ネット助手

あい・とりぷるいー、って読むんでしたっけ。
ネットワーキング・メディアの所で出てきましたよね。10BASE-Tとか、10BASE-5とか。

インター博士

そうだ。
IEEEはOSI参照モデルを以下のように解釈して、規格をつくりだしている。

OSI参照モデル IEEE
レイヤ2:データリンク層論理リンク制御副層
メディアアクセス制御副層
レイヤ1:物理層物理層

[Table12-01:IEEEのレイヤ1・2]

ネット助手

え〜っと、レイヤ2が2つに分かれているように見えるんですけど?

インター博士

そうだ。IEEEのLAN仕様は、レイヤ2をさらに2つに分けている。
論理リンク制御副層(LLC)メディアアクセス制御副層(MAC)の2つだ。

ネット助手

いいんですか? OSI参照モデルを勝手にさらに分けちゃって?

インター博士

忘れたのか?OSI参照モデルはあくまで「モデル」だ。
実際の仕様を導くガイドライン、大筋でOSIに反していなければいいのだよ。

ネット助手

はぁ。そういえば、モデルでしたよね。

インター博士

LLC副層は、実際の機器に依存しない部分を取り決めている。
例えばエラー制御、上位サービスの指定などだな。

ネット助手

あれ?エラー制御って、レイヤ4の高信頼性云々って所でやるんじゃないんですか?

インター博士

うむ、よく覚えていた。エラー制御は確かにレイヤ4の役割だ。
だがレイヤ2でも、ビットのチェックぐらいのエラーチェックを行うのだ。まあ、一番最低限のエラー制御だと覚えておけばよい。

ネット助手

ははぁ。

インター博士

一方、MAC副層は、メディアへの接続を取り決める。
どのように、共有メディアでデータを送信するか、という点を決めているのだ。これにはメディア・アクセス制御などが使われる。

ネット助手

メディア・アクセス制御って?

インター博士

メディア・アクセス制御とは、どのように共有メディアにアクセスするか、という事だ。
みなが使うメディアなので、誰が送信を行うかを制御する。

ネット助手

ははぁ。

インター博士

つまりMAC副層で、どのように送るかを決定し、LLC副層で、どのように扱うかが決まるということだな。

ネット助手

レイヤ2を役割によってさらに上と下に分けている、と。

■ LANの仕様

インター博士

さて、実際のLANの仕様は以下のように取り決められている。

レイヤ LAN規格
レイヤ2LLC副層イーサネットIEEE802.2
MAC副層IEEE
802.3
IEEE
802.5
FDDI
レイヤ1

[Table12-02:LAN規格とレイヤ]

ネット助手

なんか、レイヤをまたがってるんですけど?
いいんですか、これ?

インター博士

うむ。実際のLANの機器は、レイヤ1と2両方の機能を持ち合わせていることが多いのだ。
なので、規格の方もレイヤ1、2双方を含んでいる。

ネット助手

そんなもんなんですか?

インター博士

そんなものだ。
さて、LANの仕様には、4つあることがわかってもらえたと思う。イーサネット、IEEE802.3、802.5、FDDIだ。

ネット助手

あれ? IEEE802.2は?

インター博士

IEEE802.2は、802.3、802.5、FDDIの3つで使用されるLLC副層の規格だ。
イーサネットはこのIEEE802.2の部分も含んでいる。なので実際に物理的なLANとしてあらわれるのは、上記の4つだ。

ネット助手

そうか、LLC副層は機器に依存しないレイヤでしたっけ。

インター博士

うむ。
これら4つは、使用するネットワーキングメディア、メディア・アクセス制御方式、物理トポロジなどが異なる。

ネット助手

ふむふむ。

インター博士

イーサネットを除く3つは、LLC副層の部分は共通だが、MAC副層で決められているメディア・アクセス制御が異なる。

ネット助手

さらに、レイヤ1で決められているネットワーキング・メディアや物理トポロジも違うってことですね。

インター博士

うむうむ。
さて、以下のように4つのLAN規格は異なる。

規格メディアメディア・アクセス制御方式物理トポロジ
イーサネット同軸・UTP・光ファイバCSMA/CDバス・スター
IEEE802.3同軸・UTP・光ファイバCSMA/CDバス・スター
IEEE802.5同軸・UTPトークンパッシングリング・スター
FDDI光ファイバトークンパッシング二重リング

[Table12-03:LAN規格]

インター博士

メディア・アクセス制御方式については、先で説明する。

ネット助手

あの〜。
僕の見間違いでなければ、イーサネットとIEEE802.3は同じに見えるんですけど?

インター博士

大丈夫だ、ネット君。今日の君の視覚におかしいところはない。

ネット助手

今日の、ってまるでいつもは視覚がおかしいみたいな言い方しないでくださいよ。

インター博士

気がついてなかったのか? 憐れな
ともかく、イーサネットとIEEE802.3はほぼ同一だ。上の表には出てきてない部分が異なるだけだ。

ネット助手

どんな所です?

インター博士

IEEE802.3は、LLC副層でIEEE802.2が使用されるが、イーサネットはLLC副層の役割を担う部分を独自で持っている。その違いだ。
簡単にいうと、データにつける制御情報がちょっと異なるのだよ。

ネット助手

なるほど。

インター博士

さらに、イーサネットとIEEE802.3は相互互換している。
なので、ほぼ同一と考えてもらってよい

ネット助手

了解しました。

■ レイヤ2でのカプセル化

インター博士

さて、カプセル化の話を思い出してもらおう。
レイヤ2は、レイヤ3から渡されたパケットをフレームにするんだったな。

ネット助手

パケットを包み込んでフレームにするんですよね。

インター博士

うむ。
さてこのカプセル化と、LAN規格の話を組み合わせると、以下のようになる。

[Figure12-01:レイヤ2でのカプセル化]

ネット助手

ははぁ、副層ごとにも制御情報を付加していくんですね。

インター博士

うむ。各仕様によって、MAC副層で付け加えられる制御情報が違うというのがポイントだ。
それにより、LLC副層より上のレイヤはメディアなど物理的な仕様を意識する必要がない。

ネット助手

なるほど。

インター博士

さて、次回もレイヤ2の話だ。
レイヤ2でのアドレッシングの話をするぞ。

ネット助手

了解。
3分間ネットワーキングでした〜♪

アドレッシンング
[addressing]
デバイスを識別する識別子をつけること。
住所・名前をつけると考えるのが簡単。
論理リンク制御副層
[Logical Link Control Sub-Layer]
LLC副層と略される。
メディアアクセス制御副層
[Media Access Control Sub-Layer]
MAC副層と略される。
ビットのチェック
FCS[Frame Check Sequence]と呼ばれるチェックを行います。
よく使われるのは、パリティ、CRC、チェックサムなどです。
イーサネット
[Ethernet]
FDDI
[Fiber Distributed Data Interface]
ファイバ分配データ・インターフェイスと訳される。
イーサネットと…
TCP/IPではイーサネット。
その他のプロトコル(Netware、NetBIOSなど)はIEEE802.3が使用される事が多い。
ネット助手ネット君の今日のポイント
  • レイヤ2は、LLC副層とMAC副層にわかれる。
  • LLC副層は、機器に依存しない論理的な部分を決める。
  • MAC副層は、ネットワーキング・メディアとの接続を決める。
  • LAN規格として、LLC副層にはイーサネット、IEEE802.2が、MAC副層にはイーサネット、IEEE802.3、IEEE802.5、FDDIがある。

3 Minutes NetWorking No.12

管理人:aji-ssz(at)selene.is.dream.jp