■ クラスレスアドレッシング
IPアドレスの枯渇まであと360日!
わ、いきなり。
ヤマトですか、シブイとこきますね。最近の若い子はわからないでしょうに。
「Webか、なにもかも懐かしい…。」
沖田艦長ぉぉぉ!!
初っ端の軽いジャブをかましたところで本題いくぞ。
了解。
IPアドレスの枯渇は、冗談ではなく本当だ。
ネットワーク人口の増加もそうだが、IANAが進めてきたクラスフルアドレッシングも原因の1つだ。
クラスA〜Eにわけた、あのアドレッシング方式ですね。
そうだ、いくら大規模組織といってもクラスA、16,777,214台も使わんだろうに。
なので、現在の主流はクラスレスアドレッシングだ。
そうなんですか?
そういう事にしておけ。
そうすればいちいち本当かどうか調べなくてすむからな。大人の事情というやつだ。
なるほど。
IPアドレスの節約にはいくつか方法があるが、今日説明するのはCIDRだ。
しーあいでぃーあーる?
■ CIDRを使ってみよう
サイダーと読む。
君はとあるドメインの管理者をやることになった。立ち上げの際、グローバルIPアドレスが2000コほど必要になった。どうする?
グローバル2000コって、かなり多いですね。
え〜、2000コってことは、11111010000で1オクテットではたりないですね。クラスBを要求します。
そうだ。クラスCが254台、クラスBが65,534台。差がありすぎる。254台ではどうにも足りんという所が多く、クラスBが一番不足するらしい。
なので君の要求は却下だ。代わりに、254 x 8 = 2,032 でクラスCを8コやろう。
クラスCを8コ…。
まぁ、いいですけど。どうせサブネット化するんだし。
よし、君にくれてやれるIPアドレスは、192.168.40.0/21だ。
192.168.40.0って、1つしかないじゃないですか。
それに後ろの/21ってなんです?
うむ。まずはその/21の説明をしたかったのだ。
これはプレフィックス長というものだ。
ぷれふぃっくす長?
意味的にはサブネットマスクと対してかわらん。
サブネットマスクの1の数を書いたものだ。
サブネットマスクの1の数ってことは。
/21は255.255.248.0ってことですね。
そうだ。
ただし、サブネットマスクとは別物だと覚えておく必要がある。
何故です?
サブネットマスクは、あくまでもデフォルトマスクが前提にある。
なので、192.168.40.0/21、つまりクラスCなのに255.255.248.0というサブネットマスクはあってはならんものなのだよ。
ん〜、つまり。
デフォルトマスクより短いサブネットマスクがあってはいけないってことですか?
そう。なので/21というのはサブネットマスクと認められない。でも意味的にはほぼ同じ。このようにサブネットマスクというクラスフルアドレッシングの枷から解き放たれた方式が、クラスレスアドレッシングなのだよ。
なるほど。サブネットマスクを使わない方式がクラスレス、なのですね。
で、さっきもらった、192.168.40.0/21というアドレスですが。
IP address | 192 | 168 | 40 | 0 |
IP Binary | 11000000 | 10101000 | 00101000 | 00000000 |
Prefix | 11111111 | 11111111 | 11111000 | 00000000 |
[TableRT01-01:CIDR]
こうなりますね。
え〜っと、プレフィックス長が21ビットだから、第3オクテット5ビット目までがネットワークと。残り11ビットがホスト。
11ビット。つまり、2,048。
どうだ、最初の要求通り、2000個のグローバルIPアドレスをもらったことになるだろう。
おぉ、ホントだ。
実際は、192.168.40.0〜192.168.47.0という8つのクラスCアドレスの集合体なのだが。このように使えば、2000コのホストを可能なネットワークとなる。
俗にスーパーネットやネットワークブロックという言い方をする。
ははぁ、便利ですねぇこりゃ。
ただし!
わっ! はい、なんでしょう?
■ CIDRの弱点
欠点がもちろんある。それは、ルータの問題だ。
他ルータへ、君のドメインのASBRがアドバタイズする際の問題だ。
ルーティングアップデートの際に?
そうだ。
君のドメインがクラスCを8つ統合したスーパーネットであることを教えなければならない。どうする?
どうするといわれても。
単に、192.168.40.0ですよ〜と教えても、1つのネットワークとしか受け取ってもらえないだろう?
そうですね。プレフィックス長がなければ単なる1つのクラスCアドレスですね。
つまり、ルーティングアップデートにプレフィックス長を含むことのできるルーティングプロトコルでなければならない、ということだ。
は〜。そういわれればそうだ。
それができるルーティングプロトコルの代表的なところは。
RIPver2、OSPF、EIGRPがそうだな。
RIPver1や、IGRPは駄目なんですね。
そうだ。
だが、無理やりやればできないことはない。例えば下図を見てくれ。
[FigureRT01-01:クラスフルでの例]
あくまでも、8つのクラスCネットワークという姿勢を崩さないわけだ。
こちらの方式だと、ブロードキャストアドレスと、ネットワークアドレスのからみで、使えるIPアドレスが減ってしまうしな。
すごく強引ですね、これ。
それに、ルーティングテーブルが肥大化してしまって、処理にも影響がでる。
なのでお勧めできないな、これは。
なるほど。
このように、本来ならクラスBを使わなければいけないところを、複数のクラスCでごまかすことができたわけだ。
IPアドレスが節約できたわけだな。
ネットにやさしい、って感じですね。
しばらくは、このようなIPアドレスの拡張技術について話していくぞ。
了解。
30分間ネットワーキングでした〜♪
- あと360日
- 嘘です。信じないように。
- IANA
-
[Internet Assigned Numbers Authority]
IPアドレス・ドメインの管理組織。
現在はICANNに機能を移行しつつある。
- CIDR
- [Classless InterDomain Routing]
- 192.168.40.0
- 192.168.x.0 はプライベートだというツッコミは不可。
- デフォルトマスク
-
[default mask]
A:255.0.0.0
B:255.255.0.0
C:255.255.255.0
- 認められない
-
この「/xx」という方式。
長ったらしいSMを書くのが面倒なので、単なる簡略形として使うことは多い。
それはそれでいいみたい。
- 8つのクラスC…
-
第3オクテットのみを書き出すと。
40:00101000
41:00101001
42:00101010
43:00101011
44:00101100
45:00101101
46:00101110
47:00101111
5ビット目までが共通。
- ASBR
-
[Autonomous System Boundary Router]
自律システム境界ルータ
- 使えるIPアドレスが…
-
192.168.40.0/21
2048 - 2 = 2,046コ
8つのクラスC
(256 - 2) x 8 = 2,032コ
- ネットにやさしい
-
どうでもいいですが。
地球にやさしくすると何か良い事あるんでしょうか?
いまだにわかりません。
- ハイパーネット君の今日のポイント
-
- IPアドレスは枯渇しかかっているので、節約しなければならない。
- クラスレスアドレッシングの技術のうちの1つがCIDRで、複数のネットワークを1つにまとめる技術。
- ルーティングプロトコルが対応してないと使いづらい。