xxxxxxxxさん江/About: 日本の「ホットトピックス」/From: 我門 隆星
 和英辞典によれば、日本語の 「 BON  」は、英語で tray  を意味します。
しかしながら、もしも、あなたの持つ和英辞典が、
インド古典(Sanskrit)で 「 ULLAMBANA  」という言葉を語源とする別の意味を掲載していなければ、
その辞書はあなたにとって、サマータイムの日本人と会話するのに、不充分なものとなるでしょう。

 日本人にとって8月15日は、聖マリアの祭日としてではなく、
「 BON 」 (しばしば尊敬の冠詞をつけて「 OBON  」と言います)の日
として有名です。これは日本の法定休日ではなく、宗教行事に由来する、習慣的な休日です。

 紀元前500年ごろのインドにおいて、オリジナルの仏教によると。
仏陀のある弟子の母親が死んだとき、「弟子は自身の力によって」その母親が地獄に落ちる運命であることを知りました。
 地獄において「逆さ釣り( ULLAMBANA )にされる、耐えがたい苦しみ」を知った弟子が仏陀に教えを請うと、
仏陀は弟子に
「真夏の日にチャリティーとして貧しい人々に食べ物を与えよ」
といいました。そのとおりにすると、その母親は地獄に落ちる運命から救われた、と言います。
「死者の霊魂の苦しみを和らげるため貧者にチャリティーとして食べ物を与える会」
として ULLAMBANA-PARTY を彼らは催しました。

 西暦500年ごろ仏教が中国に輸入されたとき、 ULLAMBANA の言葉は中国語で、
WU-LAN-BAN
と書かれました(「 BAN 」と発音し TRAY の意味を持つ字が三音節目に書かれました)。

 西暦600年ごろ仏教が日本に輸入されたとき、この言葉は「 U-RA-BON 」と変化し、ときに人々は「 :BON 」と省略して言うようになりました。なお日本語には も もなく「 Lに似たRの子音 」しかないのですが、みな便宜的に で代用します。

 「 URABON-E(ULLAMBANA-PARTY) 」としての BON という言葉には、仏教行事だけでなく、日本で新たな意味が追加されるようになります。中世末期、徳川将軍政府の時代、どういうわけか、下記のような言い伝えが民間に広まりました。
 「お盆の始まり(8月13日)に死者の霊はあの世から一時的に、この地上に戻ってくる。
そして、お盆の終わり(8月16日)に死者の霊はあの世に帰る」
 そこで、盆は複雑な意味を持つ日になりました。
地上に生きる人々が BON-FESTIVAL で BON-DANCE を踊る賑やかな日でありかつ、彼もしくは彼女の近親者の墓で哀悼の祈りをする寂しい日、両方の日となったのです。

 日本仏教のある宗派では、
「この世に一時的に戻ってきた霊魂があの世に帰るときの便宜を図ろう」
として、茄子や胡瓜といった植物に小さな木の枝で、「家畜の形」を作って仏教の祭壇に捧げます。
「それに乗って死者の霊魂の帰り道を楽になるようにするため」
だそうです。  また、ある宗派によっては、「精霊流し」といって、夜に小さなボートの形をした紙ランタン(手のひらぐらいの大きさ)を川に流します。
「暗い帰り道の明かりを、あの世に帰る霊魂に与えるため」
だそうです。夜に数百の小さな紙製のボートがランタンをともしながらゆっくり走る・・・。想像してみてください。それは非常に美しくファンタジックな眺めではないでしょうか?

 そして何よりも忘れてならないのは、8月16日の京都の「五山の送り火」でしょう。これは壮大な5種類のイルミネーションですが、代表的なもので「大文字焼き」と総称することがあります。これは、「精霊流し」をもっとスペクタクルにしたものです。京都の都市を取り囲む郊外の5つの大きな丘の斜面いっぱいに、焚き火でイルミネーションを作るのです! (もっとも丘は町から遠くに小さく見えるのですが)

 この「大文字焼き」で用いる薪に願い事を書いて置くと、あの世に帰る死者の霊魂が仏陀に届けてくれると信じている人もいます。

 今日では、多くの人が故郷(家族の墓のある場所)を離れて都心に働きに来ています。  盆は、今日では、「帰省の日」、(結果として)日本の労働者が夏の休日を取りやすい日となっています。
 もしもあなたが「お盆」の時期に日本を訪問するならば注意してください:
我門 隆星 拝