超絶技巧練習曲 Op99
男子校…それは野郎ばかりの世界。
その世界に生きる男たちは『ホモ』になるか『どスケベ』になるか二択である(笑)
そして、ココは後者の多い某工業高校…。
そんな某工業高校の麗らかな昼休みには教室でトランプなどが行われていた。
「今日はぜってー俺が勝つぜ」
トランプと言ってもただ普通に遊んでいるだけではない。
かと言ってお金を賭けているワケでも無い。
『バツゲーム』付きというヤツである。
トップが何個か罰ゲームを紙に書き、ドベがそれを一つ引き実行するというモノだ。
しかし、その罰ゲームがなかなか壮絶なモノである。
「けッ。今日こそテメーにあの屈辱を味合わせてやるぜ」
過去例では『体育の鬼教師のヅラを取ってくる』や『古典のオールドミスのスカートをめくる』『パンツ一丁で生徒指導長の授業を受ける』…酷いモノはピーやピピー(自主規制)までだ。
テーマは『ギリギリの範囲で最大の屈辱を』である。
「…げ、もしかして俺の負けってヤツ?」
沙悟浄はカードを持ったまま手を震えさせる。
「わりーな悟浄、こないだの屈辱は返させて貰うぜ」
今回トップだった山田(仮名)はニヤリと笑うと二枚の紙に何かを書き折りたたむ。
「今回はスペシャルだぜ。山田SPエンコー編。
『女だけどデブス』か『美人だけど男』のどっちかだ」
山田(仮名)の言葉に悟浄は固まる。
女だけどデブスか…美人だけど野郎…。
これぞ究極の選択…。
悟浄はふと昔はやった『ウ○コ味のカレー』か『カレー味のウ○コ』を思い出した(笑)
「これは…」
迷いに迷って引いた紙には『美少年とH』とでかでかと書かれていた。
果たしてそれは吉なのか凶なのか…。
「オメデトー悟浄。初体験だな。
ホイ、電話番号」
「……ああ……」
悟浄はため息を吐き、ニコニコと笑いながらメモを渡す山田(仮名)からそれを受け取る。
男とH…まさかそんな日が来るとは…。
そう考え悟浄はもう一度ため息を吐く。
……しかし男と女の違いなんて、胸があるかないかでナニが付いてるか付いてないかの些細な事ではないか。
と自分に言い聞かせながら『それって結構でかい事じゃん』とまたため息を吐く。
「あ、悟浄…。金は自分で払えよ」
その言葉は悟浄に追い打ちをかけるには十分過ぎるものだった…。
「貴方が悟浄さんですか?」
待ち合わせの場所でそう声をかけてきた男に悟浄は少し驚く…。
「ああ…アンタが猪八戒……?」
「ええ」
確かにかなりの美人である(男だけど)
予想以上なぐらいに…。
しかも着ている制服は県内一の進学校のモノではないか。
「どうします、すぐホテル行きますか?
それとも少しデートでもしますか?その場合別料金掛かりますけどねv」
「…すぐホテルでいいぜ」
「分かりました」
八戒は頷き悟浄の手を引くと歩き出した。
そのまま裏路地に入り、着いた先は小さなホテルだった。
「アンタいっつもココ使ってんの?」
「ええ、ここ知り合いのやってる所なんですよ。
お互い制服ですからね、入れる所なんて限られるでしょう」
確かに二人とも制服である上に男同士なのだ。
普通の所では門前払いされるかもしれない。
「行きましょう」
八戒はフロントで少し話をすると鍵を受け取り、悟浄に向かってそう言う。
悟浄は黙って八戒の後に続く。
ホテルの廊下に二人の足音だけが響く。
「お前さ、その制服自分の?」
そんな沈黙が耐えられず悟浄は口をひらいた。
「ええ、そうですよ」
「ソコってかなりの進学校じゃん。
そんなイイトコのおりこうさんが何でこんな事してんだよ」
動揺を隠すかのように悟浄は八戒に質問を繰り返す。
八戒は部屋の鍵を開けると悟浄の方を向き小さく笑う。
「そんなに僕の事が気になりますか?」
「別に……」
言葉に詰まる悟浄を見て八戒はもう一度笑いベッドに腰をかける。
「こんな事をしているのはお金が欲しいからですよ。
大学に行くお金がいるんです。
普通にバイトをしているとあんまりお金は入らないし、勉強する時間が無くなるじゃないですか。
それに頭が良いからって、おりこうさんとは限らないですよ」
「へー…」
「じゃあ、今度は僕から質問です。
何で僕を買ったんですか?貴方ノーマルなんでしょ」
八戒の言葉に悟浄は再び言葉を詰まらせる。
本当の事を言っても良いのだろうか、罰ゲームでなんて…。
八戒は考え込む悟浄のすぐ近くまで顔を寄せる。
「んー、僕の予想では罰ゲームでもさせられているってトコロでしょうかね。当たりですか?」
余りにぴったりな言葉に悟浄は鳩が豆鉄砲をくらったような顔をする。
「なんで…」
「当たりなんですね。でも僕、気にしませんから大丈夫ですよ」
そう言い八戒は手を出す。
「…………?」
「二万円。先払いになりますv」
「ありがとうございます。
…シャワーでも浴びてきます?」
八戒は悟浄から渡された二万円を口元に当ててにっこりと笑う。
「そんな事言ってそのまま逃げんじゃねーだろーな」
「そんな詐欺みたいな事しませんよ。
貰ったお金の分貴方のこと楽しませてあげますよ」
そう言い八戒は妖艶な笑みを浮かべる。
その顔に悟浄は思わずドキっとする。
それを誤魔化すように悟浄は八戒の肩を強く押しベッドへと倒す。
「シャワーなんか別にいいから早く始めようぜ」
そう言いながら自分のペースを取り戻そうと心を落ち着ける。
このまま八戒に主導権を握られっぱなしのワケにはいかない。
そんなことはプライドが許さないのだ。
「…そうですね」
そんな悟浄の心の内を知ってか知らずか、八戒は余裕な表情で悟浄の首に腕を回すと上体を浮かせ悟浄に軽く口づける。
「服どうします?脱がしてくれます?それとも自分で脱ぎましょうか?」
その言葉に導かれるように悟浄は八戒に向かって腕を伸ばす。
「ああ、脱がしてくれるんですね」
震える悟浄の手が八戒の上着のボタンを一つづつ外していく。
一つ…また一つとボタンが外れる度に少しずつ八戒の肌が露わになっていく。
それはどう見ても女の物とは違う…男の身体だというのに悟浄の喉がゴクっと鳴った。
その白い華奢な躰に触れてみたいと思う。
「あ…悟浄さん……」
「『悟浄』でいいぜ。ヤってる相手にさん付けで呼ばれると萎えるからよ」
「ん…悟浄……あ…」
悟浄の手が八戒の肌の上を滑る度に八戒の喉から甘い声が漏れる。
その声に操られる様に悟浄は八戒の肌に唇を落とす。
落ち着きを取り戻せない自分がいる…。
男とは初めてだが、女とは星の数ほどヤっている。
いまさらセックスの一つや二つでどうこう言うものでもない。
しかし今の自分はどうだろう…。
まるで童貞の男の様に夢中で…興奮している。
「ん…悟浄も服、脱いでください…」
八戒は起きあがり悟浄に口づけてから、その服に手をかける。
そして手慣れた様子でボタンを外し、脱がせながら悟浄の肌に口づけを与える。
「貴方の躰って、とってもたくましいんですね」
胸元でそう呟く八戒の声が快感となって全身を駆けめぐる。
八戒の声と手によって快感が引き出されていく。
こんな感じは本当に初めてだ。
どんどんと快感に溺れさせられる…。
「八戒…」
八戒の柔らかな唇が悟浄の中心に触れる。
八戒は躊躇することのもなく口内に悟浄を導く。
「くっ…」
「ん…んん…」
悟浄自信が暖かい物に包み込まれる。
八戒は丁寧に全体を舐め取る。
「男相手でもちゃんと勃つんですね」
八戒がからかう様にそう言う。
何か気恥ずかしく悟浄は顔を背ける。
男相手になんか勃たないだろう…そう思っていたのに。
そんな悟浄の意志に反し、欲望は快感に素直な反応を見せる。
「せっかくですから男相手でもちゃんと出来るか試してみましょうか」
「おい…」
悟浄が何か言うより早く、八戒は悟浄の躰の上に馬乗りになる。
そして勃ちあがった悟浄自信に手をかけると、その上にゆっくりと自分の躰を降ろしていく。
口内とは違った熱、そして女とは違う締め付けを感じる。
「あ…ん…あぁごじょ……」
「…八戒……」
八戒が躰を揺らす度に悟浄の躰から快感が紡ぎ出される。
そして八戒の唇から漏れる声が悟浄の熱を上げる。
「八戒…八戒……」
「悟浄……ん…あぁぁ……」
悟浄の腕が八戒の腰を掴み力強く引き寄せる。
そして八戒の中へと欲望を放った…。
悟浄は小さくため息を吐き煙草に火をつける。
…結局最後まで主導権は八戒に握られっぱなしだった、そう思う。
完全に狂わされた感じだ。
「悟浄…未成年でしょ、煙草はダメですよ」
シャワーを浴び終わった八戒が悟浄の手から煙草を抜き取り灰皿におしつける。
「…躰売っといて煙草ぐらいで説教すんなよ」
「それとコレとは別ですよ」
小さく笑い悟浄の隣に座る。
石けんのほのかな香が悟浄の鼻をくすぐる。
こうしてみると清楚で、まるで何も知らない様なのに…。
「なあ…また会えるか?」
八戒の事が忘れられない。
この先二度と会えないなんて耐えられない。
それ程に八戒に狂わせられたのだ…。
「呼んで頂ければいつでも会えますよ」
「そうじゃなくて……」
客としてではなく…と言いたかったが八戒の笑顔で制止される。
それ以上言えなかった。
「…また二万円払うのか。えらい出費だぜ…」
「友達価格で『いちきゅっぱ』にしてあげますよv」
「それって一万九千八百円?二百円しか安くないじゃん…」
楽しそうに笑う八戒につられるように悟浄も笑った。
「それ以上は…貴方次第ですかね」
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