悲歌 Op98
純粋な光……。
彼はいつでもその光を失わない。
誰もが幼き頃は持っていたという光……。
大人になって現実を知っていくうちに消えていってしまう……そんな光。
消えていく物なのに……何の苦しみも知らないわけでは無いだろう。
500年の投獄……。
記憶には無いという、その前の事だって…彼にとって幸せだけでは無かっただろう。
そんな辛いことを体験しても……彼の光はうしなわれない。
どうしてだろう……。
僕にはその光はない……。
無くなってしまったのではなく……初めからなかった。
幼い頃も、その光を持つことは出来なかった。
親に捨てられ……何の幸せを感じればよかったのだ……。
自分が悪いのではない……環境が悪いのだと、そんな事を考えていたから……僕にはその光がなかった。
なんて事ない……自分の責任だ、
そんな事に気づいたのは、彼を見てから。
失うはずの光を持ち続けている彼を見てから……。
「八戒!」
彼が僕の名を呼ぶ。
何の曇りもない笑顔で。
それに対して僕も笑顔で返す。
でもそれは彼の笑顔とは違う。
……作り物の笑顔……。
だって僕は知らない。
あんな光も…持った事がないのだから。
だから、偽り、作る事しかできない。
でも彼は自然にそれをやってのける……。
気が付けば、僕はいつも彼を目で追っていた。
いつでもその光を失わぬ彼を……。
その気持ちは……
憧れ……?
嫉妬……?
分からない。
自分にはない憧れし物を持ち続けるあの人。
僕はあの人にどんな感情を抱いているのだろう。
分からない……分からない……。
でも……目が離せない。
それは変わらぬ事実。
でも貴方は気づかない……?
僕が貴方を見ている事に……。
貴方の光にあこがれている事を。
貴方の光を……うらやんでいる事を。
久々のOPシリーズ98版です。
書こう書こうと思いながら一年は過ぎたでしょう……。
意味不明でポエミーですが、まあ両目塞いでおいてください。
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