哀歌 Op92
「八戒、愛してる」
悟浄はいつも僕にそう言って笑いかけてくれる。
僕はそんな悟浄の笑顔が一番好きだ。
悟浄に愛されているのだと実感する事ができるから。
だから、その時が一番幸せだと感じられる。
……でも逆にいえば……。
……その時しか、僕は悟浄に愛されていると実感する事ができない。
悟浄は強くて優しい。
そして、正義感に溢れているのだと思う。
だから金閣の時だって……あんな行動をとったんだ。
悟浄は間違った事がきらいだから……小さな命が簡単に奪われてしまった事が許せなかったから……。
だから……あんな行動をとった。
悟浄の気持ちはよく分かる。
でも一つだけ悟浄に問いかけたい……。
その時僕は……僕は貴方の心のどこにいました?
置いていかれてしまった僕は、貴方の心のどのあたりにいたんですか?
ねえ……悟浄……。
カミサマとの戦いの後、貴方は三蔵に付ききりでしたね。
怪我をしている三蔵が心配なのは分かります。
いつ動き出すか分からない三蔵を見張っている必要がある事だって……分かっています。
でも……でも僕だって怪我をしていた。
……貴方に側に居て欲しかった……。
それがただの我が侭だって事ぐらいわかっています。
僕だけを見ていて欲しいだなんて言ってはいけない……。
そんな我が侭は言えない。
……でも僕はいつだってそう言いたくて仕方がないんです。
僕だけを見て……。
僕以外を見ないで。
……そう言いたくて仕方がない。
段々心が抑えられなくなる。
気持ちがあふれ出してしまう。
この気持ちがあふれ出してしまったら、もう止められない。
そんな事になったら、貴方を殺してでも……貴方を僕だけのものにしてしまうだろう。
だから……だからお願い悟浄……。
今だけでいいから……この一時でいいから、僕だけを見て下さい。
僕だけを見続けて……他に何も見ないで……。
……お願いです……悟浄……
この気持ちが……溢れてしまわないように……
6000Hitななんさんのリク『切ないけど甘いもの』です。
大変遅くなってすいません(土下座)
話は原作でカミサマのあたりで考えて書きかけていたんですが、行き詰まってしまって放置でした。
大変申し訳ありません……。
というものが結局カミカゼ放置時代に上げて貰えたかどうか記憶がありません……。
データもなくて、手書きノートの整頓中に下書きが出てきたのでとりあえずもう一度打ってあげてみました。
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