夜のガスパール Op89

 

「いや…も…やめて…」
 ホテルのベッドの上で八戒は悲痛に声を上げる。
 それでも三蔵はその言葉を聞き入れずに八戒の体を押さえ込む。
「…………!」
 その時、部屋に小さな金属音が響く。
 三蔵は一度動きを止めると、音のする部屋の入り口の方を見る。
 そこには悟浄の姿があった。
「…どういうつもりだ」
 八戒は三蔵の呼びかける方を見て、驚き慌ててシーツで体を隠す。
「ご…悟浄…どうしてココに…」
 悟浄と悟空の部屋は隣だ。
 それに扉には鍵が掛けてあったはずではないか…。
 言いたい事を察したのか、悟浄は一本のピンを見せる。
「こんなホテルの鍵ぐらいちょろいもんだぜ」
「…で、何がしたい」
 三蔵の言葉に悟浄は笑いながらベッドに近づく。
「こんなホテルに泊まってちゃ女も引っかけにいけないし〜、三蔵サマだけイイ思いするなんて不公平じゃない?
 だからその幸せ、少しお裾分けしてもらおうかな〜って」
「サルはどうした」
「とっくに夢の中。
 まあ、あんなおチビちゃん相手にどうするわけでもないし。
 どうせなら絶世の美人さんに相手してもらいたいじゃん」
 そんな会話を交わす二人に八戒はビクビクしながらシーツを肩もとまで引き上げる。
 その八戒の様子に気づいた悟浄がまた小さく笑う。
「三蔵サマ、八戒の具合良かったデショ。
 なんたって俺が仕込んだんだし〜」
 その言葉に八戒は青ざめる。
「悟浄…何を言うんですか…」
「ホントの事じゃん。
 三蔵サマとのが初めてじゃないだろ?」
 そう言われて八戒は言葉を失う。
 確かに、悟浄と暮らしていた時に何回か彼とそう言う関係になった事がある。
 しかしそのほとんどが悟浄が酔っていた時に無理矢理に近い形であった。
 だから、悟浄と付き合っていたわけでも愛し合っていたわけでもない。
 …まして仕込まれたなんて……。
「八戒貸してやったんだから、俺にも少しはイイ想いさせてよ」

 

「ん…や…やめて……」
 なんでこんな事になっているのだろう。
 普段なら、ようやく町に着いて落ち着いて眠っているだろうに…。
 それなのにどうして、女装をして更に三蔵に襲われ……。
 その上、こうして悟浄と三蔵の二人に…。
 悲痛な想いで声を上げるが、その声はただ二人を煽るだけだった。
「やっぱ八戒って感じやすいよな」
 そう言い悟浄は八戒の胸元にいくつもの跡を残す。
 何か言おうにも三蔵の口で自分の口をふさがれては何も言えない。
 だんだん頭がぼんやりとしてくる…。
 自分は今何をしているのだろう…と。
 これがすべて夢であればいいのに。
 だがこれは夢ではない、現実だ。
「ひゃ…やあ…」
 突然八戒の体が俯せに返される。
 そして床に手をついた時に自分のお尻のあたりに熱を持った何かを感じる。
「まって…ごじょ……」
「さっきまで三蔵のが入ってたんだから別に慣らさなくてもいいだろ」
 悟浄はそう言い八戒の腰を掴むと一気に体を押し進める。
 先ほど三蔵が中に放ったモノのおかげで傷つく事は無かったが、いきなりの挿入に体に負担はかかる。
 苦しさに大きく口をあけ息を吸い込もうとした時、そのあごを三蔵に捕まれる。
「さんぞ…?」
 八戒が問いかけるよりも先に三蔵の熱を持ったモノが八戒の口内に押し込まれる。
 苦しさにもがくが三蔵は八戒の頭を掴み無理矢理上下に動かす 
 その度にのどの奥に三蔵のモノが当たり吐き気がこみ上げてくる。
「三蔵、八戒相当良かったみたいだな。
 八戒のナカ、お前の出したモノでぬるぬるだぜ」
「うるせー!」
 なんだかんだと言いながらも、二人は動きを止めず八戒を突き上げる。
「ん……んん…ん…」
 その度に八戒の喉から声にならない悲鳴が漏れる。
 だがそんな事にも構わず、二人は快楽を貪り続けた……。


「…覚えていて下さいね……」
 夜明け、体に激痛を感じながら目を覚ました八戒は二人の寝顔を見ながら小さく呟く。

 …復讐劇はこれから始まる………

 

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