後悔 Op52
−−−……八戒には勝てない……
これが最近の悟浄の悩みであった。
八戒がこの家に来て一年ほどになる。
たった一年の間にこの家の主導権はすっかり八戒のものになってしまった。
特に八戒とそういう関係になってからは尚……。
悟浄の主導権はベッドの上でしかない……。
「このまま尻に敷かれてる場合じゃねえよな……」
ここいらで一発なんとかしなければ、この先ずっと……。
……と考えると気が重くなる。
だから何とかしたい。
「……だけどな……」
しかしどうしたらよいものやら。
この状態で立場を逆転させるには……
「……………」
……そうだ。
今はすっかり八戒が親みたいな状態だ。
それを逆転させるには、八戒が子供になればいい!
「……ってどうやってだよ……」
自分で考えていてアホらしくなってしまう。
そう簡単に人間が(妖怪だけど……)若返れるかって。
そんな事ができるなら世の中のじじババは存在しない。
他には……
っと考えている悟浄の耳に物売りの声が聞こえてくる。
−−−……若返りの薬いりませんか〜……
「……マジかよ……」
「結局買ってしまった……」
悟浄は手の中の小瓶を見つめる。
これが本当に若返りの薬なんだろうか……。
「と…とりあえず八戒に飲ましてみるか」
まあ死なないだろう、と勝手に決めつけ瓶の中身をコーヒーの中に入れる。
翌朝……。
まだ寝ている悟浄の耳に八戒の悲鳴が飛び込んでくる。
慌てて起きあがり声のする方へと向かう。
……そこには……。
「……八戒……?」
三歳児ぐらいの……八戒の姿。
はっきりいってめちゃカワイイv
「ご…悟浄…朝起きたら…こんな風になっていたんですけど……」
半泣きであわわとしている八戒。
悟浄は心の中でガッツポーズをとる。
大成功だ!
「まあとりあえず様子をみてみようぜ」
悟浄は上機嫌だった。
いつも子供扱いしてくる八戒を存分に子供あつかいすることができたからだ。(←そーいうところが子供・笑)
だっこして膝の上に座らせてみたり。
あーん、ってご飯をたでさせてみたり。
お風呂にいれてみたりv
そんな行為をいやがる八戒が実にかわいい。
すごい優越感だ。
おまけに子供だから八時には寝かしつけてみた。
これで今日は少々帰りがおそくても大丈夫だろう。
最近は八戒の目がきびしくて、おちおち夜遊びもできなかったからな。
悟浄は一人笑いながら家をでた。
「…………」
八戒は悟浄が家を出た頃そっとベッドをおりた。
あの悟浄の様子はおかしい……。
いきなり子供になった自分に対しての驚きが少なすぎる。
まさか悟浄が……。
八戒は台所にあるゴミ箱のなかをのぞき込む。
その中に見覚えのない小さ瓶……。
おそらくコレが……。
「…悟浄……こんな事をしてタダですむと思っているんじゃないでしょうね……」
月の光に浮かび上がる八戒の瞳には復習の炎が宿っていた……
そんな事とは知らない悟浄は賭場で女を侍らしていた。
「悟浄、今夜は時間いいの?」
「ああ、なんならお前のトコ泊まろっかな」
「そうしなさいよv」
そんな会話をしているとき賭場に小さなざわめきが生まれた。
悟浄はその中心の方を見る。
そこには八戒の姿が……。
「や〜ん、かわいい。ドコの子かしら」
八戒はてこてこと悟浄の方に歩いてくる。
そしてにっこりと笑い……
「パパv」
その瞬間空気が凍った……。
「八戒、どういうつもりだよ」
もちろん女との約束はキャンセルされ悟浄は即賭場を逃げるように出た……。
「僕の方が聞きたいんですけど」
悟浄の目の前に例の瓶を突きつける。
「そ…それは……」
結局悟浄は洗いざらい白状させられた……。
「こんな怪しいもの……もしもう元に戻れなかったらどうするんですか……」
「大丈夫だって……」
悟浄の頬を汗が伝う。
八戒が本気で怒ったら……マジやべえ。
「ホントにそう言い切れます?」
八戒の目から涙がこぼれる。
予想外のことに悟浄はかなり慌てる。
泣いている八戒をそっと抱きしめる。
「戻んなかったら……俺が一生責任とるよ」
「ホントですか?」
潤んだ瞳で上目使いに見つめられる。
「……ああ」
そのかわいらしさに、そっと口づけようとしたその瞬間……
「悟浄……子供に手をだしたら犯罪ですよ」
その時悟浄は八戒の怖さを改めて知り、もう二度と逆らうのは辞めようと誓ったのであった……
追記:結局八戒は数日で元に戻った……
アンケートで意外とKinderszenen
Op7の人気があったんで子供化第二段を書いてみました(笑)
今回は初めて下書きナシで直に打ってみました。
だめです。やめます。
なんか話がまとまらないし、なんかおかしいような……。
やっぱり下書きをしよう……。
タイトルはメンデルスゾーンの無言歌集からです。(最近コレかくのわすれてた)
ここだけの話ですが……ホントはコレ……5月5日に上げようと思ってたんですよね……。
今何日……?(遠い目)
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