48 STUDIES
Op48
9.鳴門(なると)
悟浄と八戒が一緒に暮らし始めて早ピー年。
旅から戻ってからも二人は当たり前のように一緒に暮らした。
それはもう夫婦のように仲むつまじく……。
夫婦生活において重要なモノ……それはやっぱり『夜の営み』だろう。しかし新婚ならともかく、共に暮らしてもう何年にもなるわけであるし……まあ、さすがに毎日と言うことはありえない。
そして、それなりに回数の減る時期である。
そこで重要になっていくのは……夫婦の駆け引きだろう……。
「ねえ悟浄v」
お風呂上がりの八戒がバスローブだけを身につけ悟浄に寄る。
いつもはきっちりと服を着て、髪を乾かしてから出てくるのに…今日はまだ髪も濡れたままである。
最近はすっかり夜がご無沙汰なので、八戒なりに色々と考えた結果である。
まだ少しじっとりと水分を含んでいる肌。
そしてお湯の温かさで紅潮している肌。
それはまさしく情事を連想させる物である。
その状態で上目使いで悟浄を見つめる。
……がしかし……
「ちょっと、悟浄ー」
肝心の悟浄がコッチを見ていない。
適当に相づちを打ち、テレビに見入っている。
八戒は少しムッときてしまう。
ここで引き下がるワケにはいかない。
「ねー、悟浄ーv」
後ろから悟浄をぎゅっと抱きしめる。
そして悟浄の首筋に唇を落とす。
「ねえ、悟浄……まだその気になりませんか?」
上目使いで見上げてくる八戒。
その潤んだ瞳……。
ピンク色に染まる……。
熱っぽい吐息……。
水分を含んだ肌からにじみ出てくる色気……。
それは悟浄をその気にさせるには十分だった。
「別に……」
それでも悟浄はわざと素っ気なく言う。
本当はもう十分にその気にはなっていた。
しかし、こう言ったぐらいでは八戒は引かない。
それを知っていてわざと素っ気なくする。
滅多に見ることの出来ない八戒のおねだりをもう少し見ていたいからだ。
それに、もう少し焦らせば八戒の誘い方がもっと大胆になっていくのも知っているから……。
「もー、悟浄……」
誘っているのに応じてこない悟浄に八戒は更に少しムッとする。
悟浄の手を取ると、自分のバスローブの胸の合わせ目の隙間から差し込む。
悟浄の手首を掴んだまま自分の胸元のあたりから少しずつ下の方へと移動させる。
「……悟浄……?」
そっと悟浄の方を盗み見ると、微かに笑いをこらえている顔……。
「もー悟浄、僕の事からかってるでしょう」
「いや、別に。そんなに溜まってるなら一人でスレば?」
悟浄は笑いながら八戒にからかうように言う。
「……そうですか……」
急に八戒の様子が変わる。
口調も先ほどとは全く別である。
「……八戒さん……?」
……ちょっとからかい過ぎたか?と恐る恐る八戒の顔をのぞき込む。
「…………」
そこには怖いほどの笑顔の八戒……いや、怖い笑顔の八戒が……。
「分かりました。じゃあ、貴方を使って一人でしますよ」
「お、おい……」
言い終わると同時に八戒は悟浄の股間に顔を埋める。
ジッパーを下ろし悟浄のモノを取り出すとゆっくりと舌を這わせる。
そして両手を悟浄のモノに添える。
片手で根本を抜きもう片手で袋を刺激する。
それに加えて舌先で先端を刺激してやれば、表面ではその気のないフリをしている悟浄もその欲望が完全に反応を示す。
元々、本心ではかなりその気になっていたのであるが……
八戒は一度悟浄のモノから離れると、ゆっくりと悟浄に見せるようにバスローブを脱ぎ捨てる。
そして悟浄のモノに手を添えると、後ろ向きにその上へと腰を降ろしていく。
八戒のそこは風呂であらかじめ解されていたのか、悟浄のモノを易々と飲み込んでいく。
「う…ん……ごじょ……」
ゆっくりとすべてを体内に収めると落ち着くまで少し動きを止める。
時間をかけて馴染ませ、荒く上がった呼吸が落ち着くと、バランスをとるように片膝を立てる。
そして、ゆっくりと腰を左右に回す。
「ん…ああ……」
回転をゆっくりから次第に速くしていく。
いつもの上下の動きとはまた違った感覚が生まれる。
「く…八戒……」
なるべく押さえていた悟浄も八戒の積極的な動きに高められていく。
「ん……や…あ…ごじょ……」
「ん…………」
ぐったりとする八戒の髪を悟浄を優しくなでてやり、体をそっと拭きベッドまで運ぶ。
「おやすみ八戒」
八戒に軽く口づけを送る……。
ま、たまにはこんな夜もアリだな、と笑いながら……。
───
数日後……
「なー八戒、しよーよ」
「今日はヤです」
読んでいる本から目を離さずに短く言い切る……。
夫婦生活……
それは駆け引きである……
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