48 STUDIES Op48
44.押し車(おしぐるま)




某私立高校。
ここは部活動の有名な学校である。
よって、部活推薦の特待生で入った者も多い。
男子バレー部部長の猪八戒もその内の一人であった。
夏が終わり、二年である彼が部長となった。
だが、最近不調である。
部長という肩書きがプレッシャーになっているのか、今まででは考えられないような簡単なミスを連発してしまっている。
近いうちに試合もあるというのに部長がこれでは困ったものである。
「練習後に話があるので残っていてください」
バレー部の顧問兼コーチである清一色にそう言われ八戒は小さく溜息を吐く。
最初の数日は少し調子が悪いで済まされるが、やはりこうも続くと……。
わかってはいたが、そう呼び出しを受けるとさすがに気落ちするものである。


「最近調子が悪いようですねぇ。
 さすがに目に余りますよ」
他の部員の帰ったあとの体育館でそう言われる。
「……すみません」
「このままですと、特待も取り消しになるかもしれませんねぇ」
「そんな…」
特待を取り消されては困る…。
今、八戒はスポーツ特待で学費が免除だが、取り消されたら払わなくてはならない。
私立校であるこの学校の学費は高い…。
両親が居なくて、親戚の家でやっかいになっているので、そんな学費は払えない。
「特待を取り消されたら…困ります…」
「まぁ、それは我が決めることではありませんからねぇ。
 でも、ウチとしても貴方がいなくなると困りますからねぇ…。協力してあげましょうか?」
「………協力?」
「特別に特訓してあげますよ」
清一色がそう言って嗤う。
八戒は清一色の言葉に少し考える。
実際のことを言うと自分はあまり清一色のことが好きではない。
何か嫌な感じがする。
しかし……
自分が決めることではないと言っていたが、実際特待関係を仕切っているのは清一色なのだ。
清一色の一言で自分の運命が変わる…。
背に腹は変えられない。
「お願いします……」


「まぁ、不調の原因として考えられるのは部長というプレッシャーでしょうかね」
「はぁ…」
確かに自分でもそれが原因となっているように思える。
「ここは部長猪八戒としてではなく新たに別の人間になったつもりでやりましょう。
 我はこれから貴方のことを『猪悟能』と呼びます。いいですね」
「はぁ?」
それはまた、唐突な話である。
新たな人間というのもわからなくはないが、いきなり別の名前で呼ばれても…。
「では、特訓を始めましょうか。
 まず、着ている物を全て脱いでください」
「え……」
「運動の基礎は身体作りからですよ。できないんですか?」
慌てる八戒に清一色はそう言う。
彼の言っていることが本当かどうかはわからない。
しかし…自分は従うしかないのだ。
「わかりました…」
覚悟を決めて一枚一枚脱いでいく。
ユニフォームの上着と肌着、そして短パンを脱ぐ。
「………」
下着一枚でそっと清一色の顔を伺う。
「どうしました?まだ一枚残っていますよ」
清一色にそう言われ、ぐっと下唇を噛みしめ残された一枚を脱ぐ。
まだ残暑が厳しい時期とはいえ、さすがに夜は冷え込む。
まして、八戒は人気のない体育館に全裸という姿だ。
「毎日基礎トレーニングは行っていますか?」
清一色の手が八戒の身体をまさぐる。
太股、腰、背中、胸とくまなく触られる。
「…ん……」
八戒は顔を紅くしてじっとそれに耐える。
「あまりトレーニングをしていないのではないですか?筋肉が落ちていますよ。
 ダメですよ、スポーツは基礎が重要なんですから」
「すいません」
「そうですね、まずは足上げをしてもらいましょう」
清一色は少し考えると八戒にそう言う。
八戒はその言葉に動揺する。
足上げなど…普段ならともかく、今自分は全裸なのだ。
そんな状態で足上げなど行ったら…。
「早くしなさい」
「はい…」
床に横になる。
背中に床の冷たさが伝わった…。
小さく息をつくと両足を頭の上へと持ち上げる。
「そう、そのままの状態をキープして」
「…はい…」
恥ずかしい…。
今、清一色の目には八戒の普段は誰にも見せない部分が映っているだろう。
一体どれくらいこうしていなければならないのだろう。
その時、八戒は自分の尻のあたりに異変を感じた。
何かが入り口をこじ開けて中に入ってくる…。
「…や…何…」
「動かないでそのままの状態でいなさい」
八戒の中に入ってくるもの…それは清一色の指だった。
初めて感じる異物感に八戒はじっと耐える。
清一色の指はやがて一本から二本へと増やされ八戒の中を器用に動き回る。
「ん…あ…あ……」
不安定な体勢で居るせいで、八戒の口からは絶えず声が漏れる。
「もういいですよ」
それに満足したのか清一色の指が八戒の中から出ていく。
「さぁ、次は手押し車です。わかりますね」
「はい」
八戒は清一色の言葉に素直に従い、床に手を付く。
八戒の両足を清一色が持ち上げる。
「……ッ!?」
両足を持ち上げられたあと、八戒は再び尻に異物を感じる。
それも先程とは比べものにならない大きさの…。
「ちゃんと支えていてくださいね」
八戒の後ろに押し込まれている物、それは清一色自身だった。
あまりの激痛に八戒の目からは涙が流れ、秘所からは血が流れ出す。
その血の滑りの力を借りてか、清一色は八戒の中に全てを収める。
「さぁ、前に進んでください」
「や…あ……く…」
八戒は震える手で一歩一歩前へと進む。
夜の体育館に八戒の喘ぎ声が響いた…。

─── 特訓はまだ始まったばかりですよ…。



Op48に戻る