48 STUDIES Op48
34.やぶさめ(やぶさめ)


「えー?八戒って馬乗れねぇの?」
悟浄は大きな声でそう言う。
「…別に良いじゃないですか…。
 移動はジープがあるんですから、乗れなくったって別に不自由はしません」
八戒は少し恥ずかしそうに目を逸らしながらそう言う。
実際、今まで馬に乗れなかったからといって何か困ったことがあるわけではない…。
しかし、悟浄にこう言われると恥ずかしい上、何か悔しい。
「マジで?マジ乗れねぇの?」
「しつこいですよ、悟浄…。
 そういう悟浄は乗れるんですか?」
「あったりまえだろ?」
常識常識、と得意げに言う。
「俺が教えてやろうか?」
満面の笑顔で悟浄がそう言う。
これは…十中八九何か裏があるのだろう。
「結構です」
八戒は冷たく悟浄に向かって言う。
「ジープが居るから乗れなくても大丈夫ですものね」
それに対してジープが八戒の肩で小さく鳴く。
悟浄としてはせっかく自分が優位に立てる物を見つけたので、ここで引き下がりたくはない。
何かいい手はないだろうかと考える。
「八戒、本当はお前馬が怖いんだろ」
「な…何言っているんですか…」
否定する八戒に悟浄は笑いながら言葉を続ける。
「馬はかなり揺れるからな〜。
 ジープと違って高さもかなり高いし」
そういって悟浄は八戒を言葉で煽る。
こうすればプライドの高い八戒だから…。
「別に馬が怖いわけじゃないです。
 ただ、今まで乗る機会がなかったから乗れないだけです」
案の定、八戒はムキになってそう言う。
「じゃあ、練習すればすぐに乗れるんだな」
「えぇ」
「じゃあ、練習しようぜ」
「…え……」
八戒が言葉に詰まる。
「やっぱり、無理?
 さっきの言葉は嘘だったんだ」
そこまで言われては引き下がれない。
「乗れます。やってやろうじゃないですか」
……計画成功。


「……で、何でこうなるんです…」
「だっていきなり本物の馬に乗ったら危ないじゃん」
「だからって…」
最初から嫌な予感はしていたのだ。
それなのに悟浄の口車に乗せられてしまったのは明らかに自分のミスだろう。
しかし…まさかこのようなことになるとは。
「ほら、手綱をちゃんと持ってろよ」
今、八戒は全裸にされて悟浄の上に乗っている。
もちろん八戒の中には悟浄自身が埋め込まれている…いわゆる騎乗位というヤツだ。
そして、悟浄の首には輪にされた紐が掛けられている。
どうやらこれが手綱のつもりらしい。
「や…動かないでください…」
下から悟浄が突き上げると八戒の身体が不安定に揺れる。
「馬は動くに決まってんだろ」
「や…んん……」
悟浄は一層動きを激しくする。
「ほら、手綱でお馬さんをコントロールしなきゃダメだろ」
「あ…や……できな…」



……数日後。
そこには軽やかに馬に乗る八戒の姿があった。
まさか、本当にあれだけの練習で馬に乗れてしまうとは…。
ちょっと悔しい感じがする。
これでまた自分が八戒に勝てる物が減ってしまった。
まぁ、しかし八戒の可愛い姿も見れたことだし、それはそれで良しとしよう…。
「次は馬の上でHだな…」
と、悟浄はまだ良からぬことを考えていた。

 

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