48 STUDIES Op48
30.しめ小股(しめこまた)




八戒がまた…女性化した。
何が原因で再発したのかはわからなかった。
しかし、二度目ともなると皆そこまで慌てたりはしない。
この間の森の呪いの時は一晩で元の姿に戻った。
まぁ、今回もすぐに戻るだろうと言う考えだ。
「とりあえず、今日も部屋は二つしか取れなかったんですけど、どうします?」
宿のロビーで八戒が鍵を持ってそう言う。
部屋が二つと言うことは二人部屋が二つということである。
まぁ、今晩はこのまま女性化した八戒と誰かが同室になるわけである。
「まぁ、でも…」
「えぇ……」
「そうだな」
八戒・悟空・三蔵の三人は互いに言葉を濁しつつ目で会話しながら悟浄を見る。
「え?どういうこと?」
一人わかっていない悟浄がそう言う。
「お前と八戒が同室になるということはないってことだ」
「えー、なんで?」
三蔵の言う言葉にまだわかっていないように悟浄が抗議の声を上げる。
そのこめかみに三蔵の銃が押しあてられる。
悟浄は反射的に小さく両手をあげる。
「お前、前回八戒に何したのかわかってんのか?」
「………」
三蔵の言葉に悟浄の視線が宙を泳ぐ。
前回、森の呪いで女になった八戒に『大丈夫』と言って同室になったが、風呂上がりの色気と眠るときの胸の谷間についついクラッと来てお手つきをしてしまったのは、そう前の話ではない。
「何か言うことはあるか?」
「イエ…アリマセン……」
ここは素直に引き下がるしかない。
「そうなると…」
八戒はうーんと考える。
悟浄と同室ということが無くなったので、あとは三蔵か悟空である。
まぁ、どちらにしてもそう変わりはないだろう。
悟浄でないのなら、身の安全は保証されるような物だし(笑)
…三蔵はお坊さんだ。
お坊さんという物はあまり女人と関わっては行けないようなことを前に本で読んだことがあるような無いような…。
となれば…。
「悟空、今日は一緒の部屋で良いですか?」
「うん」


「悟空、ほら髪の毛まだ濡れてますよ」
八戒は風呂から出てきた悟空を見るとそう言い、荷物からタオルを取り出し拭いてやる。
悟空は八戒が自分の髪を拭いている間じっとする。
実は、八戒に髪の毛を拭いて貰うのが好きだった。
なんでと言われるとわからないけど…。
なんだか、取っても優しくて暖かい感じがして…好きだ。
「ちゃんと乾かしておかないと風邪引いちゃいますよ」
「えへへ」
悟空はそう笑うと八戒の方を向く。
「……」
振り向くといつもとの違いを感じる。
自分よりはまだ大きいけれどいつもよりも背が低くなっている。
元々細かった身体だけど、肩とか腰とかがもっと細くなっていて…ちょっと力を込めたら折れてしまいそうだ。
それなのにとても柔らかそう…。
「どうかしましたか?」
自分の方を見たまま黙ってしまった悟空の顔を覗き込む。
「なんでもない!」
悟空は慌てて反対を向く。
前回は八戒が女になってしまったことへの驚きの方が大きくて、八戒をしっかり見ていなかった。
しかし、いざじっくり見ると…。
悟空は三蔵に連れてこられてから、ずっと寺で育ったので女の人と会う機会はあまりない。
会うといっても町中ですれ違ったり必要最低限のことを話すぐらいだ。
つまり、女に対しての免疫はない。
なんだか胸がドキドキした。
…どうしてだろう。
「もう寝よっか」
なんだかわからないからそう言う。
こういう時は眠ってしまえばいい。
そうすれば何も考えなくても良いし、起きればきっと忘れているから。
「そうですね。明日も早いですからね。
 それじゃあ、おやすみなさい」
そう…眠ってしまえば……。
「おやすみ…」


─── 眠れない…。
『おやすみ』そう言ってからもう一時間ほど経とうかとしていた。
どうしてだろう…眠れない。
いつもなら、「おやすみ」といって目を閉じて三秒後には夢の中なのに……。
今日はいつまで経っても寝付けない。
それどころか胸の鼓動はますます早くなる。
自分はどうしてしまったのだろう…。
病気なのだろうか。
「悟空、どうしたんですか?眠れないんですか?」
もう寝ているものだと思っていた八戒に突然声を掛けられ、悟空がビクッとする。
「俺がまだ寝てないって気付いてたんだ…」
そう言ってベッドからもそもそと起きあがる。
「えぇ」
実際のところ、悟空が眠っていないことに気が付いたのは、いつも盛大に聞こえるいびきが聞こえなかったからだったりするのだが…。
八戒自身はあまり寝付きが良くないので、いつまで経っても聞こえてこないいびきに気が付いたのだ。
「どうしたんですか?何か悩み事とかあるんですか?」
八戒は悟空の側により、そう言う。
しかし、悟空は俯いたまま黙っている。
「何か暖かい物でも入れてきますね」
軽く息を吐き、立ち上がる八戒の手を悟空が掴む。
「まって ───
「悟空…」
「俺…何かおかしいんだ…。
 胸がずっとドキドキするし。
 それに身体が熱くて……」
悟空が顔を真っ赤にしてそう言う。
「病気なのかなぁ…」
もう半ば泣きそうになっている悟空の頭をそっと撫でてやる。



「…というわけですから病気じゃありませんよ」
八戒は悟空の感じている感情について簡単に説明してやる。
悟空自身もそういうことは知識では知っていたものの、実際に感じるのは初めてである。
まだ顔を赤くしている悟空に八戒は小さく笑う。
色気云々よりも食欲の方が勝っていた悟空もずいぶん大人になったものだ。
気分はすっかり母親である。
「………」
そこまで思ってから少し考える。
…悟空は一体何に対して欲情したのだろう。
この場合…。
「八戒…」
突然名前を呼ばれ、八戒がビクッとする。
「な…なんですか?」
笑顔を作っているつもりでいるのだが、どこか引きつっている気がする。
「…俺、八戒のことが好きだ。
 だから、八戒としたい…」
あぁ…やっぱり…と八戒は心の中で呟く。
「あの、でもそういうことは……」
女の人と…と言おうとして途中で止める。
今、自分は女性なのだ…。
「ダメなの?八戒は俺のこと嫌いなの?」
「いえ…そういうわけでは……」
自分をじっと見つめてくる悟空に八戒は一つ諦めるように溜息を吐く。
こうなってしまってはどうしようもない。
ゆっくりと夜着の釦を外していく。
「わかりました…」
そういって立ち上がると八戒の夜着が床へと落ちる。
「…八戒……」
部屋の電気は消されたままであったが、もうすっかり目は闇に慣れており、八戒の姿を見ることが出来る。
男とは異なる女性の裸体。
知っている顔なのに知らない身体。
八戒はそのままベッドへ行くと腰をかける。
「…きて…下さい……」


「すげ…やわらかい」
「や…ん……」
悟空は八戒のその柔らかな胸に顔を埋める。
岩から産まれた彼に『母』というものは存在しないが、何か懐かしい感じがする。
前に赤ん坊に乳をやる女性を見たことがあるのでそのせいかもしれない。
それを思い出して、胸の先端を口に含む。
「んん…あ…悟空…」
それを軽く吸い上げると八戒の口から甘い声が漏れる。
「あれ?先っぽ固くなっちゃったよ」
先端を吸い、その周りを舌で舐めていると胸の突起が固くなっているのに気が付く。
「や…いわな…で……」
八戒が顔を紅くして視線を背ける。
何故だろう?と考え、前に悟浄に教えられた余計な知識を思い出す。
「あ、わかった。これが感じてるってヤツなんだ。
 ねぇ、八戒、気持ちいいの?」
悟空は面白がって八戒の胸を舐め回す。
「あとは確か…」
悟浄に教えられたことを思い出しながら八戒の下肢に手を伸ばす。
八戒のソコはもうかなり濡れている。
「いや…ん……」
充分に潤っているその部分は悟空の指を簡単に受け入れる。
「すっごい…。ここに挿入れるんだよね。
 ねぇ、もう挿入れても良い?」
初めての悟空にとってはそろそろ我慢の限界らしい。
「…はい…」
ここまで来てしまっては断ることも出来ない。
八戒は短くそう言う。
「…ん…ここでいいのかなー…」
「えぇ…そのまま…ぁ……」
ゆっくりと八戒が悟空を導き入れる。
八戒の手伝いもあってか何とか八戒の中に収めることが出来る。
「…動くよ、八戒……」
「あ…やぁ……」
突然激しく動き出す悟空の八戒が抵抗し手足を交差させる。
しかし、もう既に全て収まった状態では、ただ締め付けを強くするに過ぎない。
その刺激に悟空がより動きを早くする。
「…ごく…も…と……ゆっく…」
「ん…ごめん、無理…はっかい…」
悟空は奥に突き上げると八戒の中に放った。


「八戒、結婚しよう」
「えぇっ!?」
朝一番に八戒が聞いたのはその言葉だった。
まだいまいち意識がはっきりしない…。
今のは聞き間違いだろうか…。
「だって、俺達結ばれたもん。結婚しなきゃいけないじゃん」
戸惑う八戒に悟空はまだ『結婚』という話を進めていく。
どうやらSEXしたら結婚しなくてはいけないという間違った認識をしているらしい。
どうしたらよいのだろう…。
よく自分の姿を見ると…まだ女性のままだし…。

SEXしたら結婚しなくてはいけないのなら、悟浄とも結婚しなくてはならないから重婚だなぁ…。
などと考えてしまうのは、もう気がおかしくなってしまったからだろうか…と思う八戒であった…。

 

 

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