48 STUDIES Op48
3.宝船(たからぶね)
ある晩、悟浄はいつものように酒場にいた。
「で、マジすげーんだよコレ」
悟浄の目の前に座っている友人はかなり興奮した状態で語っていた。
目の前に置かれたのは1本のビール。
もちろんタダのビールではない。
「コレ、1本やるから悟浄も使って見ろよ。どんな女もイチコロだぜ」
「んー」
悟浄は気のない返事を返す。
悟浄としてはどうでもいい話であった。
まぁ、つまりこのビールは催淫剤を含んでいるシロモノである。
でも、そこまでするような女もいないし、薬に頼るというのも好きではない。
やっぱり、女は自分の力で落とすに限る。
「じゃ、俺帰るわ」
「おい、コレ持ってけよ」
男は悟浄にビールのビンを差し出す。
「ん、サンキュ」
いらないけどな…と心の中で付け足す。
しかし断るのもメンドーそうなのでとりあえず礼を言い、それを持って酒場を出た。
それから、そのビールをどこにやったかは覚えていない。
テキトーにその辺に置いたのだろう。
その日はそのまますぐに寝たので、そのビールの存在すら忘れていた…。
「悟浄、このビール飲んじゃって良いですか?」
先に風呂から上がった八戒が悟浄にそう訪ねる。
「あ、いーぜ」
悟浄はそう答えたものの、自分にそのビールの心当たりがなかった。
質問の意味などあまり考えずに答えたのだ。
ふと考える。
ビールなんてあっただろうか…。
何かが頭に引っ掛かるような気がする…。
「ま、いっか」
湯の中で考えていたが、答は見つからない。
のぼせてしまいそうになったので、悟浄は諦めて風呂を出た。
「おーい、八戒…?」
風呂を出て台所に行くと、ダイニングテーブルに突っ伏すように眠っている八戒の姿があった。
その顔は遠目でもわかるぐらいに紅い…。
熱でもあるのかと思い、八戒に近寄り軽く揺する。
「おい、八戒。大丈夫か?」
「ん………」
微かに感じる酒の香り…。
八戒が酔っている…?
その様子は体調が悪いというわけでもなく、どちらかというと酔いつぶれているようだった。
珍しいこともあるもんだと思い、八戒を抱き上げると寝室まで運ぶ。
「ほら、八戒。寝るんならちゃんと寝ろよ」
「ん…ごじょ……」
眠そうに八戒がうっすらと目を開ける。
八戒の瞳が悟浄を見上げてくる。
うっすらと開かれた瞳は熱っぽく潤んでいる。
紅い頬とその瞳に引き込まれそうになる。
八戒はだるそうに息を吐く。
「…悟浄…体が熱いんです…」
八戒の白い腕が悟浄の首にまわされる。
そのまま引き寄せるようにして口付ける。
何度も角度を変えて深く…。
八戒の舌が…熱い。
「おい、八戒…」
明らかに八戒の様子がおかしい。
八戒と肌を合わせたことがないわけではないのだが、八戒がこんなにも積極的だったことはない。
いくら酔っているとはいっても…。
「…まさか…」
悟浄はふと思い出した。
数日前、酒場でもらったあのビールのことを…。
さっき八戒が飲んでいたビールは…。
「八戒…さっき飲んだビールって…」
悟浄が全て言い終わる前に八戒が再び口付ける。
「悟浄…体が熱くて…どうにかなってしまいそうなんです…。
なんとかしてください…」
八戒は自分でシャツのボタンを外していく。
白い肌がうっすらと桜色に染まっている。
するっとシャツを腕から抜き取る。
「…悟浄…」
潤んだ瞳で悟浄を見上げる。
そして、悟浄の首元に顔をうずめ、悟浄のシャツのボタンを外して脱がせてしまう。
「…ねぇ、悟浄…」
「八戒…」
いつもは聞かないような甘い声で求められる。
その声に、悟浄の熱が溜まっていく。
はっきりいって『据え膳喰わねば男の恥』である。
「あぁ、いいぜ。ヤってやるよ…」
そのまま勢いよく八戒をベッドに倒す。
「…ん…あ…」
その衝撃ですら快楽になるのか、八戒が甘い声を上げる。
その声に押されるように悟浄は荒々しく愛撫をする。
八戒の桜色の肌にいくつもの紅い跡を残す。
それに感じて立ち上がった胸の突起を口に含み、舌先で強く刺激を与える。
「…あ…い……んん…ごじょ…」
胸への愛撫はそのままに、悟浄は八戒の下部に手を伸ばす。
ベルトを外しジッパーを降ろす。
「あ…ごじょ…ん…」
下着の中に手を入れ、八戒のモノに直に触れる。
「八戒…」
「や…あ…あん……」
知らず知らずのうちに八戒の腰が押しつけるように動き出す。
「ごじょ…あ…はやく…」
「おい…そんなに慌てるなよ…」
「ん…もう待てない……」
八戒は悟浄のズボンのジッパーを下げ、悟浄のモノを取り出すと口に含む。
「おい…八戒…」
ある程度悟浄を大きくすると、その上にまたがる。
悟浄のモノに手を添え、一気に自分の中に収める。
「あ…は…ああん…」
八戒は悟浄の右足を上に持ち上げ、それにつかまる。
そして自分の右足を悟浄の右肩の方にずらす。
「や…あ…ごじょ…あ…」
八戒は悟浄の右足をつかんだまま体を大きく動かす。
「あ…は……ん…んん…あああ…」
八戒が気絶するようにイったあと、悟浄は窓際の椅子に腰を下ろし煙草に火をつける。
大きく吸い込み、煙をゆっくりと吐き出す。
手に持っているのは先程のビールの空きビン。
……八戒のあれほどの積極的な行動はコレのせいだろう。
「……………」
悟浄は少し考え、ビンを持ち台所に移動する。
そして、燃えないゴミ入れにそのビンを入れる。
八戒がこのことに気付かないように…。
そして、電話を取ると何も見ずにナンバーを押す。
「…あ、俺…。あのさ〜、こないだのビールまだある?
んー、気が変わった。1ダースぐらい譲ってよ」
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