48 STUDIES Op48
27.椋鳥(むくどり)



※番号飛んでますけど25の続きのようなものです……

「あ……あ…ごめんなさい……」
八戒は小さく謝ると自分の体をぎゅっと抱き寄せる。
その瞳にはうっすらと涙が溜まっている。
自分を求める悟浄のその想いに応えたかった。
自分も悟浄の事を愛しているから……。
だから悟浄の想いに応えようと努力した。
でもやっぱりいざとなると体が強ばってしまう。
こんなにも悟浄のことを愛しているのに、それなのにやっぱり怖いのだ。
男である自分が同じ男である悟浄を受け入れるのが。
どうしてもそれを考えると体が強ばってしまうのだ。
「悟浄…すいません」
悟浄の事、こんなにも愛しているのに。
そっと悟浄の方を見るが悟浄は八戒とは反対の方を向いたまま、八戒の方を見ようとはしなかった。
悟浄は怒っているのだろうか。
こんな自分に嫌気がさしてしまったのだろうか……。
「……悟浄……」
八戒は心配になってそっと悟浄に近寄る。
それでも悟浄は八戒の方を見ようとはしない。
自分は本当に悟浄に嫌われてしまったのだろうか。
八戒の瞳に少しずつ涙が溜まっていく。
「ごめんなさい…悟浄…」
悟浄を呼ぶ八戒の声が涙混じりの声になっていくのが分かる。
「ごめんなさい…なんでもしますから…」
─── だから嫌いにならないでください……。
最後の言葉はほとんど涙に消されてしまう。
それでも悟浄の耳にははっきりと届いた。
悟浄は小さくため息をつくと八戒を見る。
子犬のように小さく震えながら泣いている八戒の体をそっと抱きしめる。
「……悟浄……?」
「バカだな八戒…俺がお前の事嫌いになんてなるわけないだろう」
……本当……?と八戒は上目使いに悟浄を見つめる。
悟浄はそれに答えるように八戒の体をより強く抱きしめると、涙のうっすら浮かぶその瞳に唇を寄せる。
「だけど……」
明らかにさっきの悟浄の態度はいつもとは違っていた。
冷たくて……なんだかとても遠くに感じた。
あれは本当に自分の事を嫌いになったからなのではないのだろうか。
だとしたらどうして……そうして悟浄は自分にあんな態度をとったのだろうか。
「悟浄…」
八戒が不安そうに悟浄を見つめる。
「八戒……」
悟浄は困ったようにため息をつく。
「…あれはだからな…その…。
お前も男ならわかるだろ」
悟浄が少しバツが悪そうに視線を逸らしながら呟く。
「あ…ごめんなさい」
八戒は悟浄の言いたい事が分かったのか顔を紅く染める。
その顔を隠すように両手で覆うと悟浄に小さく謝る。
そこまで期待させておいて『ごめんなさい』とは男には辛すぎるだろう……特に下半身が……。
「ごめんなさい、僕何も気がつかなくて…」
「ま、気にすんなって。俺はいつまででもお前の事待ってるからさ」
小さな子にするように手を八戒の頭の上に軽く乗せる。
そして上着を掴むとベッドから降りる。
「あ、悟浄…」
出かけるのですか?と言おうとして口をつぐむ。
悟浄は今から街に行くのだろう。
……今日の相手を求めて……。
自分が出来なかったのだから仕方がない。
悟浄は高まってしまった熱を持て余しているのだから。
まさかそんな悟浄に『我慢しろ』とか『自分でなんとかしろ』だなんて言えない。
だから…これは仕方がない事なのだ。
……でも……。
それでも悟浄が他の女の人を抱くなんて……やっぱり嫌だ。
「悟浄、待って下さい」
八戒の声に悟浄が振り返る。
「…悟浄…」
自分はまだ悟浄を受け入れることはできない。
…それでも、出来る限りの事をしてあげたい。
もっと悟浄の近くに行きたい……。



「おい、無理すんなよ」
悟浄のズボンのジッパーを下ろすと悟浄自信をそっと取り出す。
そしてソレに恐る恐る口を近づける。
やはり愛している人のモノとはいえ、自分と同じ男性のモノを口に含むのには抵抗がある。
それでも…と八戒は悟浄のモノを口内に導く。
「ん……」
口の中に初めて感じる『男』の味が広がる。
更に口内で体積と硬度を増していくモノに息がつまりそうになる。
八戒は一度悟浄のモノから口を離すと大きくせき込む。
「おい、大丈夫か?」
「…大丈夫です…」
貴方のですから…と言うと涙目になりながらも再び悟浄のモノに舌を這わせる。
今度は口には含まず少しずつ周りを舐めていく。
恐る恐る…それでも必死に悟浄のモノを高めようとする。
「気持ち…いいですか?」
八戒はそっと悟浄の顔を見る。
…自分はまだ悟浄を受け入れる事ができない。
受け入れたい、そう思っているのにそうすることができない。
だからせめて悟浄を悦ばせてあげたい。
「…悟浄…」
…いや…本当はただ悟浄に嫌われたくないだけかもしれない。
悟浄に捨てられたくないから…。

「悟浄?」
それまで横になっていた悟浄が突然起きあがる。
そして八戒を組み敷く。
「ちょっと悟浄…」
突然の事に八戒が固まる。
「一方的じゃ悪いからさ。
俺もお前を気持ちよくしてやるよ」
悟浄は八戒の頭の方に足を向け八戒の股間に手を伸ばすと八戒のモノにふれる。
そこはまだ刺激を与えられていないのに微かに形を変えていた。
「や…悟浄…」
八戒が恥ずかしそうに声を上げる。
悟浄は八戒のモノを取り出し口にくわえる。
「あ…ん…」
直接的な刺激に八戒の口から甘い声が漏れる。
「悟浄……」
悟浄の舌に翻弄されそうになりながらも、八戒は必死に悟浄のモノに手を伸ばし指先と舌で刺激を与える。
「あ…悟浄…」
「八戒…愛してるよ…」



ベッドに二人手を繋いだまま横になる。
繋いだ手から体温が伝わる。
そこから二人は繋がっているのだと感じる。
「悟浄…今の僕にはこれぐらいが精一杯ですけど…それでもいつか…。
だから待っててくれますか?」
八戒が不安そうに悟浄を見る。
悟浄は八戒の背中に腕を回すと優しく抱きしめる。
「バカだな……。
俺達の関係はそんだけじゃないだろ。
気にすんなって」
八戒の髪に手を通し掻き上げると、そのうなじに唇を寄せる。
「まあでも、それはそれで楽しみにしてるぜv」
「悟浄…、ええ…。
 …待っててくださいね…」

 

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