48 STUDIES Op48
24.抱き地獄




その日は珍しく悟浄が昼に出かけた。
でも夕方には帰るから一緒に夕食を食べよう、と言ってくれた。
ここのところ、互いのスケジュールがあわなかったので、夕食を一緒に食べるのは久しぶりだ。
ただ、夕食を一緒に食べると言う事なだけなのに何故かとっても幸せな気分になる。
「今日は何を作ろうかな」
まだ夕食の準備をするには早い時間なのになんだか気分が落ち着かなくて台所に行き冷蔵庫の中身を調べる。
「これだけあったら結構作れますね」
昨日買い物に行ったので冷蔵庫の中はそれなりに充実している。
これなら大概のモノは作れるだろう。
材料を取り出し下ごしらえを始める。
今日はゆっくりと時間をかけて、手の込んだ料理を作ろう。
……悟浄のために…。
まな板の上に並べた野菜達を軽やかに切っていく。
料理をするのがとても楽しかった。
元々料理は嫌いではなかったが特に好きというわけでもなかった。
でも、今は料理をすることが好きだ。
好きな人のための心を込めて料理をする。
そしてただ一言『おいしい』と言ってもらえるだけで、それだけで幸せだった。
だから彼のために料理を作りたい。
『おいしい』と言ってもらうためだけに。


しばらく台所で料理をしていると玄関の方で物音がする。
「…悟浄…?」
時計を見るが、まだ悟浄が帰って来るには早い。
今日誰かが訪ねて来るという話も聞いていない。
…誰だろう……。
ゆっくりと足音は近付いてくる。
…もしかしたら悟浄が早く帰ってきたのかもしれない。
「…悟浄ですか…?」
もう一度呼びかけてみるが返事はない。
やがて足音が台所の前で止まる。
「………」
嫌な気配が伝わってくる。
八戒はとっさに身構える。
そして、ゆっくりとノブがまわされる。
 「……貴方は…」
「コンニチハ。お久しぶりですね。猪悟能」
そこにいたのは…。
二度も殺したはずの男…。
「…何故貴方がここに……」
「そんなに身構えなくてもいいですよ
 別に我はアナタに危害を加えようと言うわけではありませんから」
八戒の横をすり抜けると、八戒が調理しているものを一通り見る。
「アノ人にために作っているのですか?」
八戒は強い目で清一色を見る。
俺に対して清一色は小さく笑う。
「いえ、可愛らしいと思いましてね。
 …でも、もっとおいしく作れると思いますよ」
清一色は手元にあるサラダのボールを持つ。
「特にこのサラダ」
「…サラダ…ですか…」
サラダをおいしく作るのは以外と難しい。
あまり工夫をする余地がないからだ。
もちろん野菜の新鮮さを保つ工夫などはしている。
ドレッシングも一生懸命考えて作った手製のものだ。
……でも、それ以上の工夫があるのなら…。
「どうやって作るのですか…?」
この男を信用してはいけない。
それはわかっている。
でも、それ以上にサラダに出来る工夫を知りたかった。
…悟浄のために…。
悟浄にもっと美味しいものを食べてもらいたいから。
「教えてあげましょうか?」
「…はい……」
危険な予感はしている…それでも……


「料理で大切なのは味だけではありませんよね。
 『見た目』というのも重要なんですよ」
「見た目…」
でも…今までも見た目には十分気を遣っている。
彩りや飾り付けは考えている。
「愛する人に食べてもらいたいのなら、それなりのことをしないといけませんよね」
いきなり服に手をかけられ、引き裂かれる。
「や…やめて下さい…何をするんですか……」
抵抗をするが力で押さえ込まれ全裸にされる。
「器も考えなくてはいけないと思いませんか?」
全裸の八戒をダイニングテーブルの上に寝かせる。
そして、その裸体の上に刻まれた野菜を置いていく。
「ほら、器を変えただけでこんなに美味しそうになったでしょ」
「や…ん……」
細く切られた人参スティックを一本、二本と八戒の蕾の中に押し込んでいく。
「そうそう、ドレッシングも忘れてはいけませんよね」
清一色は片手で八戒のモノを掴むと急速に刺激を与える。
何度か強くすりあげると八戒は小さく身を震わせ清一色の手の中に吐き出す。
清一色はそれを八戒の体に塗りつける。
「最高のドレッシングですね。
 さて、それでは試食といきましょうか」
八戒の体に置かれた精液まみれのレタスを掴むと口に入れる。
「ただのレタスもこうして食べるととても美味しいですね。こちらはどうでしょう」
今度は八戒の後ろに収められた人参スティックを一本抜き取ると、口に入れる。
「こちらもいい味ですよ。アナタも食べてみてはいかがですか」
残っている人参スティックを全て抜くと八戒の上の口に押し込める。
「ん…んん……」
「さて次は…せっかくですから貴方自身をいただきましょうか…」
清一色の言葉に八戒は抵抗を始める。
「大人しくしてください。食事の場で暴れるのはマナー違反ですよ。
 あぁ、そうだ。食事の時にはきちんと座らなくてはいけませんね」
清一色はテーブルの端に腰をかける。
八戒の体を持ち上げると自分の上に降ろす。
「ん…んん…」
自分の方に引き寄せるように八戒を強く抱きしめる。
「あぁ…今まで食べた中で、アナタ自身が一番美味しいですね。アノ男にはもったいないですよ」


数時間後…。
悟浄が帰ったときには、八戒はテーブルの上で気を失っていた…。
…野菜にまみれて…

 

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