48 STUDIES Op48
23.浮き橋




…八戒が風邪を引いた…。

滅多に病気をしない八戒だが、さすがに旅の疲れもあってか、今回は完全に寝込んでしまった。
「……すいません…」
八戒はベッドに横になったまま小さく謝る。
本来ならば今日にはこの街を出る予定であった。
特に急ぐ旅ではないとはいえ、こんな所で足止めしている場合ではない。
いつ刺客が現れるかもわからないのに…。
「病院行った方がいいんじゃねぇの?」
悟浄が心配そうに八戒を見る。
「…そうですね。行ってきます」
「一人で大丈夫か?一緒に行こうか?」
「大丈夫ですから…」
あまり大丈夫そうでもなかったが、八戒がそういうので心配ではあったが黙って見送った。


「猪八戒さーん、一番にお入り下さーい」
待合室で三十分ほど待った後、名前を呼ばれ、八戒はフラフラしながら診察室に入った。
やっぱり一人で来るのは無理だったかも…。
宿から病院までの距離と待合室での三十分間により、病状はかなり悪化していた。
熱のせいで頭がぼぉっとする…。
視界もあまり良くない…。
「どうされました?」
「いえ…ちょっと…風邪みたいで…」
こんな至近距離だというのに先生の顔ですらはっきりと見ることが出来ない。
「かなり酷いみたいですね。少し横になった方が良いですよ」
「…はい…」
八戒は言われるままに診察台の上に上がる。
熱が高くて何も考えることが出来ない。
上着のボタンをはずされ聴診器があてられる。
聴診器のひんやりとした感触が気持ちいい。
「苦しそうだね。服、少し緩めた方が良いかな」
医師の手によってベルトをはずされズボンが脱がされる。
八戒は一体何をされているのかもわからずにぼぉっと天井を見つめる。
時折医師の白衣が視界に入る。
その白衣の胸元につけられたネームプレートが目に映る。
『你健一』
…どこかで聞いたことのある名前のような…。
でもどこで聞いたのか思い出せない。
「熱はかっとこっか」
「ん……」
突然八戒の口の中に你の指が入れられる。
「熱はね、口ではかるのが正しいんだよ」
你の指が八戒の口の中を器用に動き回る。
「やっぱり熱かなり高いね。三十九度ってトコかな。
 一応コッチでもはかっておこうか」
八戒の下半身に唯一残されていた下着を脱がせる。
「…え…あの……」
八戒がうつろな目で你を見る。
「大丈夫だから…ほら力を抜いて」
「ん…あ……」
ゆっくりと你の指が八戒の秘所に差し込まれる。
中を掻き回すようにゆっくりと動かす。
「や……あ…」
「コッチもかなり熱いね。もう何柔らかくなって…溶けそうじゃない…」
ある程度中を探ると指を引き抜く。
「じゃあ、お注射しようか」
八戒を診察台の端に横向きに寝かせる。
八戒の耳にカチャカチャと何かをはずすような金属音が聞こえる。
「じゃあ、力を抜いててね」
八戒の秘所に何か熱いモノがあてられる。
「…なにを……」
「だからお注射。先生特製のね」
你は八戒の中にその身を押し進める。
「や…いた……」
「お注射は誰だって痛いもんだよ。がまんがまん。
 それに、このお注射は慣れてくると気持ちよくなるから」
你は八戒のモノに手を伸ばす。
軽く扱いてやると八戒の体がびくっと震える。
「ほら、だんだんよくなってきたでしょ」



「…八戒、大丈夫か?」
目を覚ますと悟浄が心配そうに覗き込んでくる。
「…悟浄…?」
「あんまり遅いから迎えに来たんだよ。
 八戒一人で診察室で倒れてたっていうし…」
……一人で…?
「あの部屋の医師、倉庫で縛られてたらしいけど…お前、誰に見てもらったんだ?」
……医師が倉庫で…?
じゃあ…アレは……。
「…八戒?」
八戒は意識が遠のくのを感じた…。
…あの『你健一』という医師は…一体……。

その後、八戒は一週間寝込んだ…。

 

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