48 STUDIES Op48
19.こたつ隠れ


「…これ、どうしたんですか?」
そこにおいてあるのは一人用と思われる小さなこたつであった。
昨日まではなかったハズである。
「あー、もらってきたんだよ」
よくわからないものをもらってこないで欲しい…と八戒は思った。
最近悟浄はよくわけのわからんものを持って帰ってくる。
この間は火鉢であったし、七輪なんかを持って帰ってきたこともあった。
「まぁ、せっかくですから」
季節十二月、寒い日が毎日続いているので、まぁこたつの一つや二つはあっても良いか、と思いスイッチを入れる。
いつもならコーヒーを煎れるところだが、こたつならばやはりお茶だろうと思い急須と湯飲みを持ってくる。
お茶請けは基本に忠実にみかんである。
「やっぱり冬はこたつだよな♪」
「貴方って…平和な人ですね」
こたつに入り熱いお茶をすすりながら八戒は呟く。
まぁ、しかし、この寒いのに毎日のように酒場へ出かけていき重い物ばっかり持ってくる悟浄の根性といったら…。
火鉢を持って帰ってきた時も息を切らしながら
『冬は火鉢だよな』
と笑顔で言ったのを見て脱帽した。
そこまで冬を芯から楽しもうという人も珍しい。
きっと悟浄なら、雪が降ったら庭を駆け回るんではないか、とまで思える。
八戒は他人事のように悟浄がウキウキしている姿を眺める。
…基本的に八戒は冬が好きではない。
寒いのが苦手なのだ。
冬になると手足の先が冷え切ってしまう…。
「…八戒ー。お前はこたつ嬉しくねぇの?」
全然反応してくれない八戒に悟浄は少しスネたように言う。
「嬉しいですよ。もう出たくないって感じです」
「だろー♪」
「でも、こたつがあるとダラけちゃうんですよね…。
 もう何もしたくないって感じで…」
八戒はもそもそっとこたつにもぐる。
そろそろ夕飯の支度をしなくてはいけない時間だというのに行動がおこせない。
台所は寒いし、この家には湯沸かし器がないので、出るのは水だけだ。
こたつも良いけど湯沸かし器が欲しいなー、と八戒はぼぉっと考える。
「まぁ、寒いからな…。でも運動すれば暖かくなるんじゃねぇの?」
「…だからまず寒くてここから出る気にならないんですってば…」
悟浄は体温高いから元気で良いですね、と恨めしそうな目で見る。
「じゃあ、こたつの中で運動すればイイじゃん」
「………」
八戒は嫌な予感に咄嗟にこたつから出ようとする。
しかし、悟浄の両足に腰を挟まれてしまう。
「…足癖の悪い人ですね」
「そう?ま、俺手も足も器用だし〜」
悟浄はこたつの中に手を入れる。
そして手探りで八戒の体を触る。
「ちょっと…悟浄…やめて下さい」
下半身は布団で隠れているため、悟浄が一体どこを触ってくるのかわからない。
一方、悟浄の方も、八戒のどこを触っているのかわからない。
まぁ、それも新鮮な感じがする。
いろいろと八戒の体を触り続け、指先がようやく目的地というべき所にたどり着く。
「や…やだ、悟浄…」
ズボンの上から八戒の中心をそっと撫でる。
八戒は顔を紅くしてじたばたと抵抗を示すのが可愛らしい。
悟浄は楽しくて意地悪をしたくなる。
顔は八戒の方に向け八戒を見続ける。
でも、こたつの中で悟浄の手は執拗に八戒を攻め立てていく。
こたつの上だけ見ていると、普通の格好なのに、八戒は顔を紅くし、荒い息をつく。
何かゲームをしているような感じだった。
悟浄は指先で器用に八戒にズボンのボタンをはずし、ジッパーを降ろす。
そして、ズボンの裾を掴むと思いっきり引っぱる。
「や…何するんですか」
八戒が身じろぎをするが、帰ってその動きのせいでズボンが脱げてしまう。
「八戒のズボンGet〜
八戒のズボンを高く掲げヒラヒラと見せる。
「返してください!」
「ダメ 俺の戦利品だもん
八戒のズボンを簡単に畳むと自分の後に置く。
その位置では八戒はどうやっても届かない。
「続きまして〜」
悟浄はニンマリすると今後は八戒の下着に手をかける。
「やだ…それはやめてください…」
悟浄の行動にさすがに八戒も本気で抵抗する。
「よいではないか、よいではないか」
悟浄は悪代官の真似をしながら片手で八戒のモノに直接刺激を与える。
「…や…あ…悟浄…」
八戒の抵抗が弱まった一瞬の隙をついて一気に下着を取り去る。
「八戒の生パーンツ!」
「や、返してください。もう、本気で怒りますよ!」
悟浄は八戒の下着を持ったまま不敵な笑みを見せる。
「いいのかな、そんなこと言って」
「なにがです…」
「コレ、かぶるぞ」
「……ッ!」
悟浄のアホな発言に八戒の怒りももはや絶頂…。
こたつの上にあったみかんが宙を舞う…。
「もー、いーかげんにしてください!」
「わかったわかった冗談だって…」
悟浄は少し名残惜しそうに八戒の下着をズボンの上に置く。
八戒を見ると自分のことを明らかに不審そうな目で見ている…。
しかし、自分の前から出ていこうとはしない。
それは…
「八戒、別にこたつから出てっても良いんだぜ。
 ほら、もう足も放してるし〜」
悟浄はニコニコと八戒に言う。
「…貴方って人は…」
出ていけるはずがなかった。
なんといっても八戒のズボンと下着は悟浄が持っているのだ。
そんな格好で悟浄の前に出ればそれこそ悟浄の思惑通りになってしまう。
「あれ?出ていかないの?じゃあ、続けてもいいって事だよな」
「卑怯ですよ」
八戒の反論も悟浄はさらっとシカトする。
「それでは、御開ー帳 ───
何を思ったか悟浄はこたつの布団を捲ると中を覗き込む。
─── ッ!」
ゲシ…


「…ひどい八戒…何も蹴ることないっしょ…」
蹴られた顔をさすりながら悟浄が悲しそうに言う。
「ひどいのはどっちですか!」
真っ赤な顔で涙を浮かべながら八戒が訴える。
さすがに悪いと思ったか、悟浄は八戒の髪を優しく撫で、そっと口付ける。
「ごめんごめん、俺が悪かったって…」
「…悟浄……」
涙に濡れた瞳が悟浄をじっと見つめてくる。
「……で、この手は何ですか?」
八戒の太股をさすりあげている悟浄の手を掴む。
「いや…続きかなーと思って」
「…反省してないじゃないですか…」
「してるしてる…ただそれとこれは別ってだけで」
八戒の中心を掴むと上下に動かす。
「…何が…別なんですか…」
「いや…このままだと俺も八戒も辛いし…」
悟浄のもう一方の手が八戒の双丘を割って入り込む。
蕾を少しずつ押し広げ入っていく…。
「や…あ……」
「わり、八戒。俺限界だわ」
こたつの中でジッパーを降ろす音が聞こえる。
「…悟浄…まさかこの中でするんですか?
 無理ですよ…」
「…大丈夫だって」
悟浄が八戒の足を掴み自分の方に引き寄せる。
そして蕾に自らを押しあてる。
「や…むり…あぁ…ごじょ……」



─── 次の日…。
悟浄が起きると居間にこたつはなかった。
「…八戒こたつは…?」
「捨てました
にこやかに言う八戒…しかし目は笑っていない…。
「いや…何も捨てなくても…これから寒さが厳しくなるのに…」
「大丈夫です。床暖房にすることにしましたから。
 …貴方のお金で
「………」
悟浄はもうそれ以上何も言えなかった…。

 

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