48 STUDIES
Op48
10.ひよどり越え(ひよどりごえ)
「…………」
八戒がゆっくりと目を覚ます。
頭が痛い……。
耳元で鐘を打たれているような感じで、思考がまとまらない。
風邪でもひいたか…と思いつつ起きあがろうとする。
しかし、力が入らず起きあがることが出来ない。
……なぜ…。
何よりも記憶があやふやだ…。
一体…何があったのだろう…。
…時は三十分程前にさかのぼる。
八戒は宿の一室で荷物の整理をしていた。
「ただいま♪」
楽しそうな声と友に本日の同室者である悟空が帰ってくる。
「おかえりなさい、どこに行っていたんですか?」
「ん、悟浄と三蔵ん所」
「お茶でも入れましょうか?」
「あ、俺がいれるよ」
でも…と八戒が言うよりも先に悟空が八戒の手からお茶の缶を奪う。
「…?じゃあ、お願いします」
悟空の様子が何かおかしい気はしたが、あまりに悟空が楽しそうだったので、そのまま悟空に任せた。
そして、そのお茶を飲み……
ゆっくりと記憶を探るが、思い出せるのはそこまでであった。
というよりも、その先には意識がなかったのかもしれない。
お茶に何か薬が入れられていた…?
しかし悟浄ならばともかく悟空が薬を盛るとは考えにくい。
だが、他に原因が見あたらない…。
おそらくあのお茶が原因だろう。
しかし…何のために……?
「あ、八戒気が付いた?」
部屋の扉が開き悟空が戻ってくる。
まだ湿っている髪と首に巻かれたタオルからするとお風呂に行っていたのだろう。
「…悟空…」
今まで試さなかったので気が付かなかったが、体は動かないものの声は出るらしい。
「八戒、一人にしてごめんな。でもやっぱりちゃんと体は綺麗にしときたかったしさ」
「……?ごくう…あの、何かからだが動かないんですけど…」
悟空が何を言っているかわからなかった。
いや…本当はわかっているが理解したくなかった…。
こんな状態でも、八戒はまだ悟空のことを信じていた。
「俺…八戒のことが好きだからさ…」
会話がかみ合わない…。
少してれたように笑いながら八戒に近付く…。
男二人分の体重を受けベッドがきしんだ音を立てる。
「……悟空…?」
声が震える……。
体の奥で恐怖が訴えている。
まさか…と思いつつも状態は嫌な予想の通りに進んでいく。
悟空が八戒の上に覆い被さる。
まるで組み敷くように…。
「…悪ふざけが過ぎますよ…悟空…」
いつものように笑顔を作ろうとしているのに、恐怖で顔が引きつっているのがわかる…。
悟空が…怖い……。
悟空はそんな八戒の顔に優しく触れる。
「怖がらなくていいよ…俺、冗談じゃなくて本気で八戒のことが好きだから」
そういって悟空は純粋な笑顔を見せる。
その笑顔に八戒の恐怖が和らぐ…。
が、よく考えれば何の解決にもなっていない。
冗談ではなく本気であってはむしろまずいのだ。
この状態でこの先予想されることは…。
「悟空、そういうことでは…ん…んん…」
全てを言い終わる前に唇を奪われ、言葉が遮られる。
「八戒…愛してるよ…」
八戒の首元に唇を移動させる。
片手で八戒の上着のボタンを外そうとするが、緊張のためか上手にいかない…。
一旦、首元から頭を上げると、八戒の胸元を見ながらゆっくりと両手でボタンを外していく。
完全に前をはだけさせてしまうと、今度はそのあらわになった胸元に顔をうずめる。
軽く色付く胸の突起をした先でつつく。
「ん…や…あ……」
八戒が甘い声を上げる。
それに気をよくした悟空は、執拗に胸元を攻め立てる。
「八戒…もっと声聞かせてよ…」
「や…ん…ちょっと…悟空……」
悟空は八戒のズボンと下着を一気に脱がせる。
八戒の顔が羞恥で一気に赤くなる。
そんな八戒の頬に悟空は軽くキスとする。
「八戒かわいー」
そして反応を示している八戒のモノを片手で掴む。
「や…本当にやめて下さい…」
瞳にうっすらと涙を浮かべ悟空に訴えるが、その願いは聞き届けられない。
「俺を感じてこんなになってくれてんの?うれしいよ」
そのまま手を上下に激しく動かす。
いきなりの激しい刺激に悟空の手の中に己を放つ。
「…ん…は…はぁ…」
まだ荒く息を付く八戒を見て悟空はにっこりと笑う。
そして、八戒の精液にまみれている手を八戒のまだ閉ざされている蕾に差し込む。
「…悟空…何を…」
「え…だってちゃんとほぐしておかないと痛いだろ」
慌てる八戒に悟空は悪びれもなく言う。
ゆっくりと八戒の秘所を解すと八戒の体をいきなり裏返す。
「本当は八戒の顔見ながらがいいけ度、俺初めてだしな」
そういい、うつぶせにした八戒の腰を高く持ち上げる。
そして、八戒の秘所に己のモノを押しあてる。
八戒の腰を掴んだまま勢いよくその身を押し進める。
「やめ…あああ…」
「八戒…大丈夫…?」
まだぐったりとしている八戒を悟空が心配そうに覗き込む。
薬はもう切れているらしく体は動くらしいが、今度は全身が痛くて動かすことが出来ない…。
「…悟空…なんでこんなことしたんですか…?」
「だって、俺すごく八戒のこと好きだもん。だからどうしたらいいか悟浄に相談したんだ。そしたら、『好きなら薬でも持って一発ヤレ』っていうから」
そう答える悟空の瞳は本当に純粋なものであった…。
「………」
八戒はぐったりしながら『純粋すぎるのも問題があるものだ…』と思った…。
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