48 STUDIES
Op48
1.時雨茶臼(しぐれちゃうす)
その日は朝から雨であった。
雨と言っても、土砂降りではなくシトシトと降ったり止んだりと、中途半端な天気である。
「まったく……洗濯物が乾かなくて困りますね」
とりあえずは風呂場に干したものの、この湿気では乾かないだろう。
こんな天気では特に何をしようと思うわけでもなく、まあとりあえずは居間に掃除機でもかけようかと思い、八戒は掃除機を持って居間へと入った。
「……悟浄……」
居間には物を散らかしつつゴロゴロしている悟浄の姿があった……。
「悟浄、掃除機かけますから退いてください」
「やだ」
悟浄はそう言うとゴロっと寝返りをうつ。
八戒は呆れたようにため息をつき、悟浄の散らかした本類を拾う。
「悟浄!」
「やだ、めんどくさい」
「…………」
八戒は諦めて悟浄の居る周りに掃除機をかける。
「……なあ、八戒」
「なんですか?」
悟浄の声に八戒は一旦掃除機のスイッチを切る。
「……ヒマ……」
その顔はまるで誰も遊ぶ人のいない夏休みの小学生のようである。
「だったら掃除手伝ってください」
「それはイヤ」
本当にまるで小学生である。
やることは無くて退屈だが、手伝いはしたくない……。
「じゃあ、大人しくしていてください」
そう言うと八戒は再び掃除機をかけ始める。
「ヒマ〜ヒマ〜」
「なら何処かに出かけてきたらどうです?」
「雨だからイヤだ」
全くワガママである。
そんな悟浄を無視して掃除を続ける。
「ヒマ〜、八戒遊んで〜」
「僕は忙しいです」
ぶう、っと悟浄はすねた顔をして再び寝返りをうった。
大体掃除機をかけ終わり、一息つきスイッチを切る。
「なー、八戒」
そのタイミングを見計らったかのように悟浄が八戒に声をかける。
「はい?」
「ヒマだからヤろう」
「……………」
いきなりの事に八戒は言葉を失ってしまう。
まったく、この男は何を考えているのだろう。
「なー、ヤろ〜よ〜」
「……何考えてるんですか。こんな昼間っから……」
呆れたようにそう言うと掃除機を持って居間を出ようとする。
「ちょ…あ……」
いきなり悟浄に腰を掴まれ床へと引き倒されてしまう。
「いた……。もう、悟浄。いきなり何するんですか」
八戒の抗議の声も聞かず、悟浄は八戒の上に乗り上げる。
「いーじゃん。外も雨だし俺達も濡れようぜ」
「……貴方は……誰にでもそう言うんですか?」
呆れたように言う八戒に軽く口付ける。
「本気で言うのはお前だけだぜ」
「…調子のイイ人ですね…」
「ん…あ…ごじょ……」
いくら天気が悪いとは言えども昼間の部屋はそれなりに明るく、八戒の白い裸体がはっきりと映し出される。
明るい場所でヤった事が無いわけではないが、昼間の、それも居間という場所にいつもよりも羞恥を感じる。
「あ…やだ…ん…」
恥ずかしさで気が狂いそうだった。
「ん?恥ずかしい?」
悟浄の言葉に八戒は何度も首を縦に振る。
その瞳にはうっすらと涙が浮かんでいる。
「でも、いつもよりも感じてるんじゃない?」
「あ…や…ご……」
八戒のモノを根本から強く抜くと八戒の体が大きく揺れる。
「ほら、こっちだって」
八戒のモノから手を離すと、今度は八戒の後ろへとその指を深々と差し込む。
「八戒の中こんなに熱いし、俺の指にすっごい絡みついてくるぜ」
「や…言わないで…」
顔も体も燃えるように熱くて、本当にどうにかなってしまいそうだ。
「そんなに俺がほしいの?」
悟浄が八戒の耳元で囁く。
低く甘い声で……。
「悟浄……」
そんな事は恥ずかしくて言えない……。
でも、体は悟浄を求めている。
早くこの熱を納めてほしい。
「ごじょ……ほしい……」
恥ずかしさに悟浄から少し視線をそらしそう言う。
その言葉に悟浄はにやっと笑い横になる。
「じゃ、来いよ」
「……え……」
八戒は少し固まってしまう。
悟浄は八戒に、自分で入れろと言っているのだ。
「ほら、俺がほしいんだろ?」
八戒はゆっくりと目を閉じ、何かを覚悟するように目を開く。
悟浄の上に跨ると、ゆっくりと腰を下ろしていく。
「そう、そのまま下がれよ」
「ん……あ……ああ……」
時間をかけてすべてを体内に収める。
「動けよ」
「あ…は…んん……」
一度体内に収めてしまえばもう何も考えなくても自然に腰が揺れてしまう。
「あ……は……ごじょ……」
横になった悟浄の上に八戒が乗っている為、悟浄の目に結合部がはっきりと見える。
「なかなかイイ眺めだぜ、八戒。この体位『時雨茶臼』って言うんだけど、それはこうやって入れてるところが見えるかららしいぜ。ホントに丸見えだな。俺のがお前の中に入っていくトコがさ」
「やだ……も…言わないで……」
八戒は恥ずかしそうに目を伏せる。
しかし目を閉じることによって今度は自分が発しているだろう濡れた音が先ほどよりも大きく耳に伝わってくる。
「…や……あぁぁ……」
いっその事、雨音がすべてを消してくれればいいのに……
雨音は聞こえない
でも雨はまだ止んでいない……
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