Un bel di,vedremo ── ある晴れた日に -Op.44-
ある晴れた日、ジープは近くの森を一匹で散歩していた。
「キュ!!」
突然何者かに背中を掴まれる。
振り返るとそこには是音と紫鴛の姿が。
「キュッキュ〜」
「この変な生き物、なんか見たことね〜か?」
是音がジープの背中を掴んだままそう言う。
「……これは……三蔵一行がいつも連れていた……」
そこまで言って紫鴛は少し考え込む。
そしてジープの顔をじっと見つめる。
「……貴方は……傲潤殿、傲潤殿ではありませんか?」
ジープの体がビクッと揺れる。
「やはり、傲潤殿なのですね」
「キュ〜」(首を横に振る)
「傲潤って……西海竜王?」
是音もジープの顔をのぞき込む。
ジープはジタバタと暴れ出す。
「一体そんなお姿で何をしていらっしゃるのですか?」
「キュ?」(とぼける)
「…そういえば三蔵一行の中に貴方が気にかけていらっしゃった……天蓬元帥がいらっしゃいましたね……」
「キュ〜」(首を横に振る)
「そこまでして天蓬元帥の側に居たいのですか?」
「キュ〜」(更に首を横に振る)
「はっきり言って、『ストーカー』ですね」
ストーカーですねストーカーですねストーカーですね……(エコー)
「キュ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
「ジープ、おかえりなさい」
「キュ〜〜」(メソメソ)
「どうしたんですか?元気ないですね」
元気のないジープを八戒がそっと抱きしめる。
八戒の胸元に顔を埋める。
「ジープ?」
「キュ〜〜〜〜〜」(ストーカーじゃない〜)
ある晴れた日のジープの災難でした……。
ノベルOp41〜60に戻る