Denneriana    Op39

 

「……宿がない……?」
「ええ、このあたりは予約なしでは泊まれないみたいで……」

 街に着いたのは前の街をでて10日程たった時であった。
 つまり4人はかれこれ10日程野宿を続けているのだ。
 ……いい加減にベッドで眠りたい……
「……どうしましょう……。次の街まではあと3日程かかりますし……」
 ………………………。
 4人の間に沈黙が流れる。
 疲れもかなり貯まっている。
「お、そうだ」
 沈黙を破ったのは悟浄であった。
「イイ事思いついた。ベッドで寝れるかもしんねーぜ」
 この時4人の疲れは頂点に達する程であった……。
 つまり……正常な判断が出来なくなっていたのだ……。

 

「……もしかして……ココですか?」
 着いた所……それは……。
 ひときわ目立つ派手な建物……。
 そう……ここは……
「……ラブホテル……ですよね……」
「そう、ココなら予約はいらねえぜ」
「でも……男ばっかじゃ入れませんよ……」
 たしかにラブホに男4名で入るのは……
 入り口には「男同士お断り」と貼られている。
 まあ、普通はそうだろう……。
 ゲイが多い地方は別だが。
「……で、どうするつもりだ?」
 三蔵の質問に悟浄は自信気に答える。
「そんなの女装して2・2のカップル作ればいいじゃん」
 ………………………。
 先ほども言ったが、彼らの疲労は頂点に達しており、正常な判断ができない状態だったのだ。
 普段なら通るはずのない悟浄のふざけた意見が……通ってしまうから摩訶不思議である。

 

「とりあえず悟空は決定だな。」
 悟浄の意見に1人をのぞいて頷く。
「えー。なんで俺なんだよ!」
「チビだから」
 悟空の抗議も悟浄の一言で粉砕される。
「悔しかったらデカくなってみろよ。で、もう1人は……」
「身長の順でいくと……三蔵ですね」
「殺すぞ」
 即答で返ってくる。
「え……似合うと思うんですけど……ね、悟浄」
 困って視線を悟浄に向ける。
 悟浄の心理的には「俺にふるな」である。
 いくら疲れていても命だけは守りたい……。
「金を払うのは誰だと思ってるんだ。」
「…………」
 おサイフさまの意見は絶対ー!(王様ゲームのノリで♪)
「……ってことは……」
 無言で八戒に向けられる視線。
「……やっぱり……僕なんですか?」

 

「…僕…身長181cmですよ……」
 だから女装は……という視線を走る。
「大丈夫。ここモデルとかが愛用してる店だから」
 と言って連れてこられたのは大きめの服の店。
 三蔵と悟浄が真剣に八戒の服を選ぶ。
 (ちなみに悟空の服は5分で決定)
「やっぱりココだよな」
 三蔵と悟浄が居るのは……ミニスカートのコーナー……。
「……あの……男の足……見て、嬉しいですか?」
 三蔵は八戒の頭のてっぺんからつま先までじっと見る。
「お前のならな」
「……三蔵……」
「大丈夫だって。八戒体毛薄いし」
「……悟浄……」
 2人の言葉に八戒は、このままこの人たちと旅をしていいものだろうかと考えてしまった……。

 

「……お待たせしました……」
 数分後、着替えと化粧を済ませた八戒(と悟空)が出てくる。
「…………」
「あ……あの……やっぱり変ですか?」
 八戒の服装は……。
 シックな黒のキャミソールワンピ(ミニ)。
 そして肩幅をごまかすための同色のストール。
 髪はショートのままムースとピンで手が加えられている。
「身長があるからモデルさんみたいでしょ♪」
 と、メイクを担当した女性(悟浄が口説いてきた)がにっこりと微笑む。
 悟浄と三蔵は八戒の姿に見惚れて言葉もでない……。
「……恥ずかしいから……そんなに見ないで下さい……」
 顔を赤くして後ろを向く八戒はかなり可愛い。
 思わず押し倒したくなる程だ。
「ちなみにコッチの子はコギャル風にしてみました♪」
「………………」
 短パン・ルーズソックス・厚底スニーカー。
 そしてガングロ・茶パツの悟空のあまりの奇抜さに、八戒とは別の意味で言葉を失う三蔵と悟浄であった……。

 

「それで今日の組み合わせですが……」
「身長的には俺と八戒じゃない?」
 悟浄が八戒の肩を抱く。
 その瞬間、悟浄の頬を弾丸がかすめる。
 何本かの髪がはらりと落ちる。
 頬に手を伸ばすと、風圧で切れたのか手に血がつく。
 ……本気だ……。
 しかし悟浄も引き下がらない。
「だって三蔵サマよりも八戒の方が背が高いし〜」
「関係ない」
 今度は三蔵が八戒の腰を抱く。
 その瞬間、錫杖の刃が三蔵の横をかすめていく。
 三蔵の着物の帯の端が切れて床に落ちる。
 悟浄も本気だ……。
 今ここに血みどろな戦いが……
「いい加減にして下さい。」
 八戒の声に2人の動きが止まる。
「もう、僕着替えてきますから!」
「悪かったって……」
 あわてて2人は八戒をなだめる。
 かくして2人の戦いはジャンケンへと移されたのであった。

 

「こういうホテルの中って…こうなっているんですね……」
 結局ジャンケンの勝者は三蔵であった。
 2人は割と高めの部屋をとって中へと入った。
「あの……お風呂入ってきてもいいですか?化粧も落としたいですし……」
「……ああ……」
 八戒の要求に三蔵は少し考えて応える。
 少しもったいない気もするが、ここでごねられても後々やっかいだ。
 八戒はタオルを持つと逃げるように浴室へと消えた。

 

「……はあ……何でこんな事になったんでしょうね……」
 八戒は1人浴室でため息をつく。
 こんな事なら野宿の方がマシだったかもしれない。
 そう想いながらイヤな事を洗い流すかのようにシャワーを浴びる。
 その時、浴室の扉が開く音が響く。
「さ……三蔵……」
 そこには(全裸の)三蔵の姿があった。
「今日は悪かったな。お詫びに体でも洗ってやるよ」
「け……結構です」
 八戒は体を隠すようにして後ずさる。
「そう遠慮をするな」
 腕を掴むと八戒を引き寄せ自分の膝の上に座らせる。
「やめてください」
 逃げようとするがしっかりと抱きしめられ逃れることができない。
 三蔵は石鹸を手にとり泡立てる。
「動くと洗えないだろううが」
「そんな……いいですから…や……」
 石鹸のついた手が八戒の体を滑るように動きまわる。
 円を描くようにしながらその手が下へと降りていく。
「や……ちょ……さんぞ……」
 三蔵の手が八戒の中心を掴み上下に動かす。
 泡のぬるぬるとした感触が八戒を快楽へと追いつめていく。
「あ……や……あああん」
 その感覚に耐えられず八戒は三蔵の手の中に己を放った。
「……三蔵……何をするんですか」
 八戒が荒く息をつき涙目で訴える。
「洗ってやってるだけだろう」
 三蔵はシャワーを手に取ると八戒の体の泡を流していく。
 八戒が腰を浮かせ三蔵から逃げようとした時、八戒の後穴にシャワーが押し当てられる。
「や……やめてください……や…やだ……あ…」
 八戒の内部にお湯が入り込む。
「洗ってやるよ、隅から隅までな」
 逃げられないように八戒の腰に左手をまわす。
「…やだ…あ…いや……」


「う……うう……」
 浴室に八戒の嗚咽が響く。
 三蔵はそんな八戒を浴室のタイルの上に押し倒す。
「やめてください……こんな所で……」
「そうだな、せっかくベッドがあるしな」
「…や……」
 三蔵は八戒を抱き上げると浴室をでる。
 そのままベッドまで行くと、その上に八戒を降ろす。
 そして自分もベッドの上へ乗り上げる。
「……本気……なんですか……?」
「ここまでやっておいて冗談だと思うのか?」
 枕元にあるローションを取ると大量に指につける。
 そして八戒の後ろにもローションを塗り指を差し込む。
「や……ん……」
 1本から2本へと指を増やし、ゆっくりと広げていく。
「ああ……さんぞ……」
 ある程度慣らしたところでソコに自分のモノを押し当てる。
「……やだ……明日が……ああ…いたっ……」
 八戒の言葉の途中でその身を押し進める。
 八戒の瞳に涙が浮かぶ。
 三蔵はその涙を親指で拭ってやる。
 そしてさらに身を押し進めてすべてを八戒の中に収める。
 「なんだかんだ言って、お前のココは喜んでるみたいだけどな」
「ちが……や……何……?」
 三蔵が枕元のスイッチを押すとベッドが上下に動き出す。
 「明日の事もあるし、疲れないようにしてやってんだよ」
「そんな……あ……や……ああ……」
 八戒の嬌声が部屋の中に響き、吸い込まれるように消えていく……。

 

 

  夜はまだ終わらない……

 

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