ユモレスク  OP32


それは日常的出来事であった。

悟空と悟浄が度の過ぎたじゃれあいをしており、それを三蔵が度の過ぎた躾をする。
そしてそれを八戒がなだめる……。

ただその日は……

何かが違っていた……。

 

「三人とも、落ち着いてください…。周りの方々のご迷惑になりますし……」
「八戒!何とかしてよ。俺コイツらと旅するのもうやだよ!」
「俺も同意見だな。動物と旅をするのはゴメンだな。」
「俺も。ソッチの用事で危険な目に遭わされてその上文句言われちゃたまんねえぜ!」
三人が口々に文句を言い合う。
「「「なあ八戒!」」」
三人の声が八戒に集中する。
「…………」
八戒は俯いたまま何も言わない。
「「「……八戒……?」」」
「……なんで……」
俯く八戒の顔から1つぶ涙が零れ床に落ちる。
それを見た三人の顔が固まる。
「…なんでそんな…みんな好き勝手言うんですか?」
そのまま泣き崩れる。
「…あの…八戒…?」
「触らないでください!」
八戒に向かって伸ばされた悟浄の手を叩き落とす。
「もうあなた達の事なんか知りません!」
そのまま外へ走り出ていく。
「「「…………」」」
部屋の中にはボーゼンとしている男が3人……
「…バカ猿…お前のせいだぞ……」
「えっ!俺?……さ…三蔵が……」
「…俺は…関係ない…お前らがうるさいからだろ……」
「「「…………」」」
三人見つめ合ったまま黙る…。
まさか八戒が泣くとは……。
登り詰めていた血は一転して氷点下まで落ちる…。
「…とりあえず、悟浄。お前八戒を探してこい。」
「…え?…俺…?」
三蔵と悟空は黙って頷く。

 

「…なんでこういう役、俺に回ってくるかなー…。」
と、文句を言いつつも頬を汗が伝う。
三年ほど八戒と暮らしたが…八戒が泣くところなど殆ど見たことはない…。
ましてや、今日は雨ではない。
「……こりゃ、かなりヤベーかな……」
ここまで自分たちが八戒に負担をかけていたなど気づきもしなかった。
八戒の泣き顔が頭についてはなれない。
「…………」

 

「…あ…いたいた…」
宿の裏庭に八戒の姿を発見する。
いざ姿を見つけたものの声がかけづらい……。
一度大きく息を吐き出すと、勇気を出し八戒に話しかける。
「…八戒…その…悪かった……。…お前にばっかり苦労かけて…あの…その…」
言葉にまよう。
「…八戒…?」
八戒の様子がおかしいのに気づきのぞき込む。
その瞬間八戒の体が倒れ込んでくる。
「え?オイ!八戒…」
とっさに体を支える。
その体は異常なほどに熱い…。
「八戒…おい…しっかりしろって…」

 

 翌日………
 
「…すいません…。熱だしていきなり倒れちゃったみたいで…。めいわく…かけちゃいましたね…」
ベッドに横になったまま八戒が言う。
熱は昨日に比べかなり下がっている。
「…なあ、八戒。昨日の事…覚えてる?」
「…それが、全く記憶がなくて…僕何かおかしな事言ってました?」
「「「……………」」」


 数日後……

八戒の体調もすっかり元通りになり、一行はいつも通りジープを走らせていた。
ただ、いつもは騒がしい後部座席の二人は妙なぐらい静かである。
「二人ともどうしたんですか?今日はおとなしいですね〜。」
「……そーか?」
「……はは……」

乾いた笑いが青空にむなしく響いた……

 


大変遅くなりました……。
6666hitきさらサマよりリク「八戒をなかせてしまってあせる話(カップリング指定なし)」でした。
相手だれにしよう〜と思い、思い切って全員にしちゃいました・・。
しかも黄色以上だったのにバリ青です。
すいませ〜ん(泣)
・・・リク・・しなおします?
 


 

ノベルOp21〜40に戻る