恩徳讃 OP30


あの人に命を助けられたその日から…………
…………僕の命はあの人の物に…………

 

「失礼します。」
八戒はそう言うと、ゆっくりと障子を開ける。

毎夜11時……。
それが決められた時間……。
その時間に…八戒はその身を捧げる。
…主に……。

「その場で服を脱げ。」
八戒の方を見ることなく短くそう言い捨てる。
「…はい…」
八戒は小さく返事をすると、身につけているものすべてを取り払う。
「もうどうすればいいかわかっているだろう。」
その言葉に八戒はゆっくりと三蔵に近づく。
自分の唇を三蔵のそれと合わせる。
唇を合わせたまま三蔵の法衣を脱がせる。
すべてを脱がせると唇を一旦離し、そのやわらかな唇を下へと下げていく。
そして三蔵の中心を口に含む。
自分と同じ男のモノを口に含むという行為にもずいぶんと抵抗を感じなくなった。
最初のうちは、こんなことをするなんて信じられなかった。
でも、あの日から数日たって……つらいと思う行為も、今では日常と化している。
もう何もないのだ……。
自分には失うものさえない……。
もう過去もない。
三蔵の体がビクっと一度揺れ、八戒の口内にすっぱい味が広がる。
それを飲むことさえ……もう抵抗はない。

八戒は小さなビンを取り出す。
その中身を指で少し掬い上げ自分の後ろへとそれを塗りこめる。
ソコを自分の指で十分にほぐすと、一度イったにもかかわらずまだ十分な硬度を保っている三蔵のモノに指をそえ自分の中へと導く。
「…ん…んん……」
すべてを体内に収めるとゆっくりと腰を使う。
「あ…ん…さ…さんぞ……ああ…」
三蔵が八戒の腰を掴み八戒を引き寄せる。
「……くっ…」
小さく呻くと八戒の最奥自らをに放った。


「っ……さん…ぞ…」
八戒が荒く息をつく。
うつむいた八戒の瞳の端から涙が床に落ちる…。
「…ぼくは……今…何のために…生きているんですか?」
存在価値が見えなかった。  
最愛の人を失い…。
多くの人を殺し…。
生きる為に過去を捨てて……。
…でも…そこまでして生きる理由は何……。
貴方は……何故…僕を生かしたのですか…?

「俺を喜ばすためだろ…」
「そうですか…」

それが何を意味するのかは分からない……。
それが何処までを指すのかも分からない……。
それでも……生きる理由……。

「それでは…また明晩の11時に伺います…」

 

たとえどんな理由でも……それが生きる意味に……

 


同人誌「アレルヤ」に収録していたものです。
甘い・普通・鬼畜の鬼畜部門の予定で書いたら・・いつも通りダークになっただけでした・・。
修行がたりんなあ。
この話の続きはOp38となっております。


 

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