円舞曲《酒・女・歌》   Op.27


そもそも事の発端は……悟空の
「八戒の酔ったトコロが見たい!」
という一言であった。
まあ、この意見には三蔵も悟浄も同じであり……。
というワケで「三人で八戒を酔い潰そう」計画が発動したわけである……。

 


「八戒。一緒にお酒飲もうよ!」
今回の作戦は、ひとりずつ行く!である。
さすがの八戒も一人ずつを相手に三回も酔うハズ……である。
「それは構いませんけど…悟空まだ未成年じゃないですか……?」
たしかに悟空はまだ18歳である……。
「…八戒は20歳まで一回もお酒飲まなかったの?」
そう言われると、さすがの八戒も視線が空を泳いでしまう…。
「…そういわれると…そうなんですけど…。じゃあ、今日は特別ですよ。」


──── 30分後
酎ハイの空き缶を前に寝ている悟空…。

「…やっぱ、お子様はダメだな。次は俺が行くぜ。」

 

「なあ、八戒。まだ飲み足りないだろ?俺と飲もうぜ。」
ビール片手に現れたのは悟浄。
「ええ、いいですよ。」


──── 2時間後
「…悟浄…寝ちゃったんですか?」
八戒は悟浄をゆすってみるが、まったく起きる気配ナシ…。
「……やれやれ、困りましたねえ。こんな所で寝ると風邪をひきますよ。」
八戒の目の前には大量のビールの空き缶……。
それだけ飲んだにもかかわらず、八戒はまったく酔った様子がない。
三蔵はそれを見て思う…。
──── あいつの体は一体どんな風になってるんだ?

 

「おい、八戒。相手をしろ。」
三蔵はそう言い、お猪口を1つテーブルに置く。
「…三蔵…」


「やっぱり冬は熱燗ですね♪」
八戒はつがれた酒を軽く空ける。
「それにしても、今日はどうしたんですか?三蔵がお酒を薦めるなんて珍しいですね。今日は悟空も悟浄もお酒を薦めてきて……何かあったんですか?そんなに今日はお酒を飲みたくなる日なんでしょうかねえ?」
「…さあな…」
ふふっ、と笑いながら注がれた酒を次々と飲み干していく八戒を見て、これは無理かもしれない、と思ったのはテーブルに10を越すほどの徳利が並び、空の月がかなり傾いた頃であった……。

 


──── 翌朝……
「今日もいい天気ですね。」
晴天の空の下で洗濯物を干す八戒。
真っ白なシーツの端をジープが引っ張る。
「ジープ、お手伝いしてくれるんですか?ありがとうございます。」
ほめられて、ジープが嬉しそうに鳴く。
すべての洗濯物を干し終え、一息つく。
「…それにしても…」
チラッと家の方を見る。
「あの三人…どうしましょうね…。」


家の中には、二日酔いでぐったりしている三人の姿があった……。

サケハノンデモノマレルナ……

……作戦……失敗……

 

 

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