教会カンタータ  OP26


 とある小さな街。
 いつものように八戒が買出しに出ていた。
 その日は少し寒く、空から真っ白な粉雪が少しずつ舞い降りてきていた。
 日が落ち、薄暗い街…。
 街の明かりで雪がキラキラと光る。。

 「…綺麗ですね…」
 八戒は誰に言うわけでもなく小さくつぶやく。
 「…あれは…」
 歩いていた足が止まる。
 目の前に小さな教会があった。
 八戒は少し迷い、その教会へと入る。
 「…失礼します…」
 小さな声でそういうが、中には誰もいなかった。
 中にはたくさんの蝋燭に火が灯されており、明るく……暖かかった。
 暖かい光に包まれているマリア像がなにか神秘的に感じる。
 昔、何度もマリア像を見た。
 でも一度もそんな風には思わなかった。
 冷たい石の像に暖かさなど……。
 ……いつから……。
 いつからこんな風に変われたのだろう…。
 この光を暖かく感じられるように…。

 

 

 「こんな所で何をしている。」
 八戒は後ろからの声に振返る。
 「…三蔵…」
 金色の髪が周りの光を反射させる。
 まるで金色のオーラを纏っているように……。
 「なかなか戻ってこないと思ったら…、こんな所で何をしているんだ。」
 「ちょっと寄ってみただけですよ。…でも、三蔵…貴方教会似合いませんね。」
 八戒はくすっと笑う。
 法衣姿の三蔵は教会という場には不似合いだった。
 …でも…、と八戒は思う。
 柔らかな金色の髪…。
 宝石の様に綺麗な紫色の瞳…。
 坊主よりも牧師のほうが似合いそうである。
 …天使の姿も似合いそうだ…。
 八戒は想像して、ふふっ、と笑う。
 「…何笑ってんだ…帰るぞ。」
 三蔵は八戒の手を掴み歩き出す。
 「…ちょっ…三蔵…」
 八戒は三蔵の手を引っ張る。
 「どうした?」
 「せっかく教会にいるんですから、神に誓います?永遠の愛を……。」
 八戒がマリア像を見て笑う。
 「………。」
 三蔵は八戒の腰を掴み引き寄せる。
 「神じゃなく俺に誓え…」
 「…ええ…誓います…」 
 ゆっくりと互いの唇が重なり合う。

 

この時間が永遠に続きますように………

 

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